君のことが知りたい/星野源『くせのうた』
一気に秋が深まり、冬の気配すら感じる今日この頃。
聴くとじんわり心が温まる、星野源『くせのうた』の歌詞について書きたい。久々に、源さんの歌詞を勝手に紹介するシリーズです。
ファーストアルバム『ばかのうた』収録曲で、源さんファンの間でも人気が高い『くせのうた』。(初期の曲ですが知っている方も多いのではないでしょうか)
君の癖を知りたいが
ひかれそうで悩むのだ
昨日苛立ち汗かいた
その話を聞きたいな
君の良い面だけでなく奥の部分。気づけばついしてしまっているような、自分の中だけに閉まっておきたいような。
そんな“癖”を知りたい、と歌う。
同じような顔をしてる
同じような背や声がある
知りたいと思うには
全部違うと知ることだ
似ているように見えても、知っていくうちに違いが見えてくるもの。同じ人間なんて一人としていないのだから。
暗い話を聞きたいが 笑って聞いていいのかな
思いだして眠れずに 夜を明かした日のことも
明るく楽しい話だけでなく、辛くて悲しい話を聞かせて欲しい。どんな顔をして聞いて良いのかわからないけど。
どんな苦しみがあったのか、あなたの心の奥にある、痛みを知りたい。
同じような記憶がある
同じような日々を生きている
寂しいと叫ぶには
僕はあまりにくだらない
みんな多かれ少なかれ、苦しみや悲しみに打ちひしがれたり、それでも明日に希望を抱いたりしながら生きている。
自分には、寂しい、なんて言う資格はないんじゃないか。そんなことを思ってしまう。
悪いことは重なるなあ 苦しい日々は続くのだ
赤い夕日が照らすのは ビルと日々の陰だけさ
私は特に、この歌詞が好きだ。
辛いことがあったら、次は良いことが待っている、なんて綺麗事。苦しい日々は続く。夕日はビルを照らし、陰をつくる。陰の向こうに光はある、という事実があるだけ。
覚えきれぬ言葉より
抱えきれぬ教科書より
知りたいと思うこと
謎を解くのだ夜明けまで
君の癖はなんですか?
世の中に溢れた情報より、何よりただ君のことが知りたい。君の中の奥にあるものを見せて欲しい。
誰か好きになった時、1番に芽生えるのは、その人のことを“知りたい”という感情じゃないかな、と思う。
相手を想い、自分の中で葛藤する。そんな気持ちを思い出す。若い頃の恋愛で動かされる心の揺れは、他では味わえないものだったな。
君の癖を、そして苦しみを聞かせて欲しい。奥の奥をのぞきたい。
寒さで縮こまってしまいそうな心を、じんわり温めてくれるような。秋から冬へ移り変わる今の時期に、ふと聴きたくなる曲です。