星野源『ばらばら』/重なりを愛おしく想う
今日は久々に、星野源さんの歌詞を勝手に紹介するシリーズです。
過去に書いたものは以下にまとめています。
今日はデビューアルバム『ばかのうた』に収録されている、『ばらばら』という曲について書きたいと思います。
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コロナ禍で世の中が混沌としている。どこの立ち位置から物事を見るかで、その景色は全く変わってくる。それぞれが、お互いを攻撃することに意味はあるのだろうか。何かが生まれるとは思えない。
世界はひとつじゃない
ああ そのまま ばらばらのまま
世界はひとつになれない
そのまま どこかにいこう
そう、世界は一つじゃない。みんなが同じ意見である必要もなければ、無理に合わせる意味もない。一緒でなくてはいけない理由なんて、どこにもない。
気が合うと 見せかけて
重なりあっているだけ
本物はあなた わたしは偽物
心を許して分かり合っていると思っている友人や、家族だってそう。個々が重なりあっているだけ。一つに見えても、一つではない。
あの世界とこの世界
重なりあったところに
たったひとつのものが
あるんだ
違うものだからこそ、重なりあった時に喜びが生まれる。同じだから助けるのではなく、違うものに手を差し伸べる、そんな世の中が良いな。
世界はひとつじゃない
ああ そのまま 重なりあって
ぼくらは ひとつになれない
そのまま どこかにいこう
その重なりを愛おしく想う。いつか離れてしまうかもしれない。けど、それで良い。だからこそ、重なっている時を、大切にしたい。
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源さんのエッセイ『蘇える変態』でこの曲を作ったきっかけについて、25歳当時好きだった女の子に思わせぶりな態度を取られた末に、ストーカーよばわりされて振られ人間不信になった末に作った、と書いてあった。
絶望を少しでも前向きに捉え直せるよう、普遍的と思える歌詞にコンバートし直した、と。それでこんな素敵な歌詞が書けるのだから、すごい。
私の中にも絶望はある。そこで立ち止まらず進んできたからこそ今がある。
私は私。あなたはあなた。
もし、どこか重なる(共感する)部分があるのであれば、嬉しいことだ。ないとしても、それで良い。
こんな世の中だからこそ、聴き直したい好きな曲です。