関節神経学に触れる
【関節神経学】
関節にだって神経があります。これを考慮して臨床を行っている方は
どれほどいらっしゃるでしょうか。
運動において、関節は神経や筋肉にとって重要な情報源となります。
神経終末は全ての滑膜関節に存在しますが、それらは4種類に分類が可能です。今回は、それぞれの特性についてまとめてみました。
こんなマニアックなもの誰が読むんでしょう。
まぁいいや。いってみましょう。
1.TypeⅠ受容器
四肢関節や椎間関節に広く分布している神経終末。
四肢では近位関節に多く存在し、
脊椎では頸椎椎間関節に高密度に分布しています。
受容器は、関節包表層に存在し、運動中は関節包の伸張部にて放電します。
しかし、関節が不動の状態でも持続的に放電を行っています。
放電量は、自動・他動運動にかかわらず
関節包に加わった張力変化や大気圧に対して5~10mHg低い状態の変化が関節包内に加わった時に上昇します。
働きとしては、
静的関節位置や関節内圧の変化
関節運動の大きさ・方向・速度を感知しています。
また、TypeⅠ受容器に刺激が加わると周囲の軟部組織(関節包や靭帯含む)を緊張させてしまいます。
受容器としては、
閾値が低く順応が遅いです。
つまり、小さな刺激で反応し刺激が続いても感度は衰えません。
2.TypeⅡ受容器
TypeⅡ受容器は、関節包の深層に分布しています。
特に、線維膜の深層や関節内脂肪層に局在しています。
四肢関節では、遠位関節に多く存在します。
脊椎では、TypeⅠと同様に頸椎に多く分布しています。
関節が動かなければ不活動で放電しません。
関節運動開始時の突発的変化に応じて高速放電を行います。
このため、関節運動の加速度を感知すると考えられています。
受容器としては、
閾値が低く順応が速いです。
つまり、小さな刺激で反応し反応が続くと感度が落ちます。
3.TypeⅢ受容器
TypeⅢ受容器は、関節包内・外の靭帯に限局しています。
しかし、脊椎では椎間関節の関節包外靭帯には存在しますが
縦靭帯や棘間靭帯には存在していません。
働きとしては、
不動時には不活動ですが、かなりのストレスが生じた時に放電します。
靭帯の限界値にて強く放電する受容器です。
受容器としては、
閾値が高く順応が非常に遅いです。
つまり、小さな刺激では反応せず大きな刺激で反応し感度は衰えません。
4.TypeⅣ受容器
TypeⅣ受容器は他の神経終末とは異なり、
非小体性の受容器です。
簡単にいうと、受容器として存在しているわけではなく
自由神経終末のように神経が途切れているような網状のものです。
TypeⅣ受容器は、
神経終末の叢のTypeⅣaと
無髄神経終末のTypeⅣbに分かれます。
TypeⅣa受容器は、関節包・関節近傍の骨膜・関節包外の脂肪層・関節血管の外壁にくまなく分布しています。
TypeⅣb受容器は、網状ではなく脊椎の縦靭帯を含めてすべての靭帯に存在しています。
働きとしては、
関節の侵害受容器としてのシステムを構築しています。
分布している組織にメカニカルストレスやケミカルストレスが生じた時に放電し、それ以外の時は不活動を呈しています。
侵害受容器として働くTypeⅣは、関節軟骨・滑膜組織・関節円板には欠落しています。
つまり、関節軟骨や滑膜組織、関節円板は疼痛を感じないということです。
※Gilesは、椎間関節滑膜ヒダにはC線維及び小径有髄神経と同じサイズの細い神経線維を確認しており、一般的な痛覚は有していると反論しています。
→Wykeは、滑膜が疼痛を感じるのは、滑膜炎などにより滑液成分の濃縮度変化が化学成分の変化として疼痛を生じているのではと仮説を立てています。
受容器としては、
閾値が高く順応しない。
つまり、大きな刺激で反応し刺激が加わっている間ずっと反応し続けます。
5.臨床応用
臨床的に考えると重要視されるのは、
TypeⅠ受容器です。
上述したように、
TypeⅠ受容器は、関節へ刺激が加わると周囲の軟部組織を緊張させます。
この反応を関節静的反射と言います。
軟部組織が緊張すると関節の可動性を制限してしまうため、長期間持続すると拘縮等につながる恐れがあります。
ですが、一般的にTypeⅠの緊張反射は一瞬で消失します。
しかし、外傷や手術後で持続的に刺激が加わるようであれば関節静的反射は常時作用し続け、可動域制限や軟部組織の過緊張を呈してしまいます。
また、この関節静的反射は同側の関節に作用する事が研究で分かっており、
同側の関節に影響を与えてしまう前に治療していく事が必要になります。
皆さんは、経験した事がありますか?
右膝関節の疼痛・制限の患者様が経過が長くなると
右肩関節や右の腰に疼痛を訴えるというケース。
僕はこれも関節静的反射の影響があるんじゃないかなと
考えているのですが、もっと勉強してみないとわかりませんね。
では、具体的にどのように治療していくかですが、
関節包内運動の改善を図っていく事が必要になります。
従来のROMexやモビライゼーションでは関節包内運動(副運動)、
そこまで重要視されていないんですが、関節神経学の観点からいくと結構重要になります。
これらを治療するためには、
関節包内運動や治療について学ばなければ対応できません。
そこで、少しずつ関節マニアの僕がこのnoteにすこしずつ記事を書いていこうと思います。
まぁ勉強も含めてですが、
なので、次回以降も記事を見てくださると幸いです。
6.まとめ
●治療法は、関節包内運動の改善が必要
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