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2024年3月前半日経平均相場の振り返り
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① 日経平均チャート
3月前半相場を振り返ると、日経平均株価は2月22日に最高値を更新して以降も上昇基調はなお続き、一気に40000円を突き抜けた。
3月7日には40472円まで最高値を更新したが、その後調整に入った。
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② 信用買い残高
この一連の動きの中で大きな変化があることに気が付いた。
前回レポートで日本の個人投資家の逆張り投資について触れたが、ここに大きな変化がみられる。
東京・名古屋2市場合計の信用買い残高が2月末に4兆円を超え、3月8日までの買い残は4兆3380億円まで膨らんでいる。
前回4兆円を上回っていたのは2007年で、このころはインターネットによる個人の株取引がブームになっていた時期である。
以前は日経平均が上げる局面では信用買いが減り、下げると増えてきたが、年明け以降は両者の動きが一致してきている。
ここから読み取れるのは、長い上げ相場で逆張りが機能せず、個人も恐る恐る順張りに転換しつつあるということである。
個人投資家の逆張り色が薄れた結果、海外勢・個人とも日本株の買い手になる場面が増えてきた。
いままではあまり見られない傾向であることから、日本株の需給構造が変わってきた可能性がある。
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③ 大和証券日本株フォーラム
最近ニュースで大和証券が500人余りの海外投資家を招き都内で大規模な日本株フォーラムを開いたというのを目にした。
運用担当者へのインタビューでは、日本株の持ち高を引き上げることを検討しているというコメントが多く聞かれた。
海外投資家の日本株への投資意欲は衰えていない、日本株買いの戦列に国内投資家も加わり始めたとすれば、上昇相場はより深く、長いものになるかもしれない。
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④ 日経平均当該チャート
相場は7日の最高値を更新したあと、反転下落し終値は40000円を割れて引けてしまい、そこらら調整に入った。
14日は38807円で終わり、この日の安値38400円を考慮すると高値から約2000円の下げ幅となったが、年初から約7000円の急ピッチの上昇であったことを考えれば、驚く数字でもなく25日移動平均線を挟んで推移している所などは、ごくごく自然の流れと考えられる。
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⑤ 日銀「2%ルール」
この下げの解説は見通しレポートを参照してほしい。
この期間で日銀の動きにも変化があった。
11日の東京株式市場で、日経平均株価の前週末比の下げ幅が一時1200円近くに達し、終値も868円安だった。
従来の経験則では日銀が上場投資信託(ETF)買いを入れてもおかしくなかったが、日銀は買い入れを見送った。
経験則とは東証株価指数(TOPIX)の午前終値が前営業日終値比2%超下落すると日銀がETFを買うというもの。
いわゆる「2%ルール」だ。
日銀は認めていないものの、2021年春以降このルール通りに動いてきたのも事実。
だが11日午前のTOPIXが約2.2%下落したのに買いはなかった。
11日の株価は急落したものの、日経平均株価が過去最高値を更新するなど最近の株価は高い水準で推移している状況で買い支えは適切ではないと日銀が判断したのではないだろうか。
日銀が今春、マイナス金利政策の解除を決める公算が大きくなっている中、前にレポートに記述したが、内田真一副総裁が講演で「大規模緩和を修正するときにはETFの買い入れもやめるのが自然だ」と語っている。
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⑥ 春季労使交渉の集中回答日
2024年の春季労使交渉は13日、集中回答日を迎えた。
製造業の主要労働組合が加盟する金属労協によると、回答を得られた52組合のすべてで基本給を底上げするベースアップに相当する賃金改善の回答を得た。
このうち86.5%は満額や要求以上の回答をえている。
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⑦ 日銀金融政策決定会合
中小企業は下旬になるものの、マイナス金利政策解除の外堀は埋まりつつあり、日銀は18~19日に金融政策決定会合で決めるのか、それとも次回(4月25~26日)になるのか、市場関係者の最大の関心事である。
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⑧ 日経平均構成銘柄見直し
最後に日経平均株価の構成銘柄の定期見直しで3銘柄を入れ替えると発表があった。
新規採用として、ディスコ、ソシオネクスト、ZOZO。除外されるのが宝ホールディングス、住友大阪セメント、太平洋金属。4月1日の算出から反映される。
この6銘柄の株価がどのように動くかは各自で追跡してみてほしい。
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