見出し画像

大学受験予備校「ニチガク」の倒産から考える、今後の塾のあり方とは?注目企業も紹介!

初めまして!
大学院生として研究を行う傍ら、昨年20キロのダイエットに成功したインターン生の渡辺です◯

大学受験予備校「ニチガク」が破産申請の準備をしている、というニュースが年始に話題となりました。

私も塾講師として働いた経験があるため、このニュースが出たときは心を痛めたとともに、学習塾業界の厳しい現状について考えるきっかけともなりました。

そこで今回は、ニチガクのニュースを少し深堀りしつつ、学習塾業界の問題点と今後のあり方について解説したいと思います。
また、これからの塾業界のあり方を変えるかもしれない企業を筆者がピックアップしたので、そちらについても詳しくご紹介していきます!


大学受験予備校「ニチガク」破産申請

まずはニュースを少し深堀りしましょう。

共通テストを目前に控えた1月10日、大学受験予備校「ニチガク」を運営する日本学力振興会が破産申請の準備に入ったことがわかりました。

ニチガクは東京都の西新宿に校舎を構え、少人数授業や個別指導を特徴とする予備校で、設立から40年以上経つ歴史ある予備校でした。
そんなニチガクの経営が立ち行かなくなった原因は何でしょうか…?

報道によると、一時は200人を超える生徒が在籍していたものの、近年は130人ほどまで生徒数が減少しており、資金繰りが難しかったということがあるようです。
生徒数が減少すればその分売上も少なくなるわけですから、資金繰りが難しくなるのは当然ですよね。

またニチガクは、一流大学在籍の大学生講師にいつでも質問できる自習室を年間360日(!)開放していました。
しかし、この利用者側にとって素晴らしいサービスにはリスクもあったのです。
このサービスでは、生徒数が減少しても大学生講師は常駐しなければいけませんし、自習室を小さくすることもできない。
大学生講師の人件費や自習室の賃料といった固定費が経営を圧迫してくるんですよね…。

資金難ということで、2024年の秋頃からは講師・アルバイト含め給料が支払われていない状況だったみたいで、相当厳しい状況だったことが伺えます。

ここまで、ニチガクの破産申請について解説しました。
私も塾講師として働いた経験があるので、通っていた生徒の気持ちを思うといたたまれないです。

ただ、ニチガクは「歴史ある予備校×共通テスト目前」の教室閉鎖という状況だったため大きく取り沙汰されていますが、塾業界全体に目を向けると、こういった厳しい状況はニチガクだけではなさそうなんです。

学習塾業界全体でも見られる厳しい現状

実は、学習塾業界全体が難しい状況に置かれています。
大学受験予備校などを含む「学習塾」の倒産件数が、2000年以降で過去最多を更新しているのです。

東京商工リサーチによると、2024年の学習塾倒産件数は53件(前年比17.7%増)、負債総額も117億4,400万円(前年比827.6%増)となっています。
2024年は博多を拠点とする中堅学習塾「個別指導塾スタンダード」が倒産するなど、中堅以上の学習塾も危険な状況に置かれているみたいですね。

東京商工リサーチより

中堅~中小の学習塾が厳しい状況に置かれている理由は様々あると思いますが、重要だと考えるポイントを3つご用意したので紹介します!

  1. 少子化による生徒数減少

  2. 学習塾の競争激化

  3. 受験の多様化

少子化による生徒数減少

皆さんもすでにお気づきかもしれませんが、少子化によって
少子化→受験生の減少→より少ない受験生を学習塾が取り合う
という流れができてしまいます。
学習塾業界にとって、少子化は業界全体の縮小を意味するのです。

Kei-Netより

上のグラフでは、18歳人口の減少に対して大学志願者数の減少は緩やかであることも見て取れます。
この理由として、近年の大学進学率の高まりから、人口に占める大学志願者の割合が増えていることが考えられます。

ただ、今後も少子化に伴い受験者数は緩やかに減少していくことでしょう。

学習塾の競争激化

近年の学習塾業界は競争を激化させています。
市場動向はどうなっているのでしょうか?

まず、大手学習塾のシェア率が高まってきています。

三井住友銀行レポートより

大手がこれだけ市場シェアを伸ばしつつあるということは、中堅以下の学習塾にとっては脅威でしょうね。

また、最近だとオンライン塾や推薦対策特化型の塾など、様々な特徴の塾が現れてきています。
私が調べてみた、特徴的な学習塾を挙げてみます。

各社HPを元に作成

例えば、総合型選抜(旧AO入試)も、面接や小論文だけではなく、プレゼンテーションやレポート、英語でのディスカッションなど志望校によって特殊な対策を行わなければなりません。
個人的には、特に今年度の大学入学共通テストから加わる「情報Ⅰ」科目の専門塾が既にあることに驚きました…!

このように、最近は目まぐるしく変わる受験形態に対応した塾も増えてきていますが、そのような対策を行える学習塾は限られてしまいます。

特に地域に根ざしているような小規模な学習塾では変化に対応するノウハウがないということも、近年の塾業界の厳しさを加速させているでしょう。
変化に迅速に対応できるのは大手や専門型の塾からになってしまい、どうしても中小規模の学習塾は後れを取ってしまいがちなのです。

では、中小規模の学習塾は今のまま衰退を待っていればよいのかというとそうではありません。
ここからは、そんな厳しい状況にある学習塾業界を変える可能性のある企業について紹介していきます!

これからの塾業界を変える!? AI学習教材を提供する「atama plus」について解説

塾業界の今後を考えるうえで私が注目する企業として、「atama plus 株式会社」(未上場)があります。

同社は、AIを用いた学習システム「Atama+」を全国の塾に提供する、2017年に創業されたスタートアップ企業です。
また、全国の学習塾にサービスを提供するだけでなく、自社でAtama+を活用した進学・オンライン塾も展開しています。

(余談ですが)実はatama plusは、ニチガクに通っていた高校3年生の生徒に対して、自習室の利用や個別の質問対応を無料で提供することも発表しました。
このような活動も素晴らしいですよね!

話は戻りまして、そもそも同社のサービス「Atama+」ってなんだろう?って気になりますよね。
塾講師としてAtama+を活用した経験のある私がお答えしましょう!

Atama+は各科目の単元学習や問題演習ができるオンライン学習教材です。
問題を間違えると、関連する単元のどこが苦手なのかをAIが分析し、復習すべき単元まで戻ってくれます。
わからない部分はAtama+内で質問することもでき、一つのサービスで完結します。

現在対応している科目は、英語・数学・古典・小学国語・中学国語・社会(地理探求/日本史探究/世界史探究)・理科(物理/化学/生物)・情報
とのことで、高校現代文以外すべて網羅されているようです…!

詳しくAtama+について知りたい方は、こちらをぜひ。

現在Atama+を導入してる塾の教室は4,000を超えていて、中には駿台予備校のような有名な予備校もあります。
2024年4月には駿台とAtama+が資本業務提携を結んだことでも話題になりましたね!

また、最近は青山学院大学、関西外国語大学、日本大学などでは、学生の基礎学力の向上を目指して、入学前教育にAtama+を活用する動きも出てきています。

Atama+が塾業界にもたらす影響

では、Atama+というサービスが塾業界にどのような影響を与えるのでしょうか。

Atama+を導入することにより、学習塾はティーチングを行う必要がなくなり、生徒の目標設定の支援や面談を行うコーチングに集中することができるようになります。
これは特に、中小規模・地域性の強い学習塾に大きなメリットをもたらすと私は考えています。

いわゆる「地元の学習塾」は、地域密着で高い信頼を置かれている一方、問題点として以下のようなことがありました。

  • 高校受験までは全科目指導可能だが、大学受験レベルになると数学や理社といった特定科目が対応できない

  • 情報科目の追加や歴史総合といった、変化の激しいテストに指導が対応できない

このような問題は、Atama+がティーチングを担うことで解決できるようになります。
また、先生の役割が従来から大きく変化するようになり、従来よりも少ない人員での運営が可能となり、人件費の削減にも繋がります。

以上のことから、Atama+によって地元から信頼されている地域性の強い塾の強みは残しつつ、弱みを解決することができるのではないかと考えました。

ただ、現状は高校現代文に対応していないことや、問題演習部分が少ないことが課題だと思うので、さらなる進化に期待します✨️

atama plus株式会社、ぜひ注目してみてくださいね!

まとめ

ここまで、塾業界の現状と今後を左右する可能性のある注目企業について解説してきました。

学習塾業界は難しい状況にあります。
だからこそ、時代に対応した企業が生き残っていくということですね。

今回紹介したatama plus以外にも注目すべき企業はあると思います。
興味のある方は、ぜひ業界の動向を追ってみてください!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
本noteでは、個別株の分析やインターン生が気になったニュース等を発信しているので、ぜひ他の記事も読んでみてください。👀

また筆者も喜びますので、スキ・コメント・フォローお願いいたします!!!

本noteはインターン生の渡辺がお届けしました◯
今後ともよろしくお願いします!

いいなと思ったら応援しよう!

(株)インベストメントブリッジ
SNSでのシェアやブリッジサロンの活用をぜひお願い致します♪