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パリ蚤の市で見つけた「伯爵夫人のハンカチ」に纏わる考察話

某日、ヴァンヴ蚤の市にて。長年お世話になっているスタンドのマダムが「これはね、とっても面白い物よ!!」と、見せてくれた19世紀の美しいハンカチが、フランス史の一部ともいえる、スペシャルレアなお品だったのです。とにかく注目して頂きたいのが、画像中央の冠モノグラム刺繍のものなのですが、これら6枚のハンカチが入っていた箱に書かれていたのが・・・

Mouchoirs anciens
dentelles
Comtesse de Montebello

なんと、モンテベッロ伯爵夫人( Comtesse de Montebello )のハンカチと書かれています。モンテベッロ伯爵夫人というと、ナポレオン3世の皇后であるウジェニー・ド・モンティジョの女官の一人であり、絵画も残っています。

L'impératrice Eugénie entourée des dames d'honneur,
WINTERHALTER Franz Xaver,1855

左上の菫色リボンドレスの女性がウジェニー皇后で、右下の緑色ドレスの女性がモンテベッロ伯爵夫人です。なんて美しい!画面中央で、ウジェニー皇后よりも目立っている感すらあります!

さて、この麗しのモンテベッロ伯爵夫人のハンカチと箱に書かれていたものの、きちんと裏付けを取ることができたらと調べてみましたところ、これがなかなか複雑で・・・

まず、Comtesse de Montebelloで調べてると出てくるのが、 Adrienne de Villeneuve-Bargemon(以降、アドリエンヌと呼びます)なのですが、下記リンク先の記事では、これに異を唱えていて、アドリエンヌではなく、 Marie Augustine Mathilde Périer(以降、マリーと呼びます)こそが、Comtesse de Montebelloであると書かれています。アドリエンヌもマリーも同時代に、モンテベッロ家の男性と結婚しています。Qui est Madame la comtesse de Montebello 

Comtesse=伯爵夫人であるためには、夫がComte=伯爵でなければならないわけで、comteに視点を当てますと、アドリエンヌの夫Gustave Olivier Lannes de Montebelloは「男爵」、マリーの夫Alfred Lannes de Montebelloは「伯爵」なので、アドリエンヌは伯爵夫人ではなく男爵夫人となるはずです。しかし、アドリエンヌの夫であるGustaveは男爵でありながら、通称で「モンテベッロ伯爵」と呼ばれていたのだとか。

では、ここで、件の冠モノグラムハンカチを見てましょう。

まず、冠には9つの立ち上がりがある伯爵の冠と断定できます。次に、アルファベットの組み合わせは、MとLです。つまり、Lは LannesのL、MはMarieのMに一致します。また、Mが二つのMが重ねられているようにも見えるデザインですので、MarieとMathildeのMが表されている可能性もあるのでは?

次に、マリーが伯爵夫人であるのは間違いないとして、彼女はウジェニー皇后の女官でもあったのでしょうか?上記のリンク先の記事では、マリーは、皇后の女官であったと記載されていますが、この記事以外で、マリーが女官であったとする記載は見つけることはできませんでした。そもそも、マリーに関する記述自体がとても少ないんです。。

もう一度、モノグラムを良く見てみましょう。ちょうど中央あたりに、伯爵の冠とは別の冠の刺繍があり、こちらは王冠タイプに似た冠のように見え、皇后へ仕えている者だという印と考えることもできるのではないでしょうか?あるいは、箱の記述にあるMouchoirs ( Comtesse? de St Empire =神聖ローマ帝国伯爵夫人?)の部分を表しているのでしょうか??

その他の箱の記述には、
B de Montebello
couronne fermé Baron
等があり、箱記載の全てのハンカチは入ってはいないこともあり、謎は深まるばかりです。

マリーこそが、ウジェニー皇后に仕えたComtesse de Motebelloであるのか、本当にこのモノグラムはマリーのものであるのか、インターネット上の情報だけでは100%の確証を見つけることはできませんでしたが、非常にフランス史のロマン感じるお品と思います。19世紀の伯爵夫人に纏わる冠モノグラムハンカチ、ぜひお手元で検証を続けて頂けましたら。

伯爵夫人の冠モノグラム&レース刺繍ハンカチ6点セット


さて、本日は伯爵夫人のハンカチの他にも5点の新着品を更新いたしております。どうぞ合わせてご覧くださいませ♪

鈴蘭×ピンク色の琺瑯カフェティエール*ワケ有りプチプライス
スペシャルレアな、ピンク色ベースのスズラン琺瑯カフェティエです♪ワケ有りのためのプチプライス価格ですが、完品でしたら最低でも4万円はするでしょう。シックなグレイッシュピンク~くすみピンクといった雰囲気のお色ベースに、ぷっくりとしたスズランが目を惹きます。蓋を外して、お花をどさっと活けても素敵ですし、ジョウロ風にご使用頂くのもいかがでしょう?


クリスチャンフレーム*褪せた金色円天井
まるで古城の窓のような、美しいフォルムのこちらのアンティークフレームですが、Cadre a Christと呼ばれている型のフレームで、おそらく元々はキリスト磔刑の十字架が中に飾られていたのではと思われます。小さめサイズですので使い勝手も良く、アッサンブラージュのように小さな小物とのディスプレイをお楽しみ頂けると思います。年代は1900年頃のものでしょうか、時々ハッと目を惹くお品を見つけることができるヴァンヴ蚤の市のムッシューのスタンドで買付けたもの。


布花帽子と布花色々&カード*福袋セット
お花好きさまの為のお花モチーフをまとめた福袋セットです♪ヴィンテージ~アンティークのお花モチーフのものを色々取り揃えております。布花お帽子、布花各種、お花カード2点をまとめて、春が待ち遠しくなる雰囲気に仕立ててみました。


ロココ薔薇パーツ4点と薔薇テキスタイルバッグ
ぷっくりとしたフォルムが可愛い薔薇ロココパーツに薔薇柄の布ケース&おまけのレース端切れを合わせたセットです。布ケースは、淡いサーモンピンク色ベースにピンク色と薄赤グラデーションの薔薇模様が乙女チックな雰囲気です。ハサミを入れて、ドールやぬいぐるみ用のベッドなどにハンドメイドされてもいかがでしょう。


スミレ刺繍リボンとブドワールセット
スミレ刺繡リボンに、シックなハンキーケース&モードコースターを合わせた、ブドワールなセットです。スミレ刺繍は、約190cmにスミレ刺繍が17点入っています♪リボンのベースは黒色・薄手でマットな質感で、スミレ刺繍部分はシルク糸ではと思います。ハンキーケースは、グレイッシュピンクモーヴといったお色ベースにグレイ×黒の模様が入っています。貴婦人のモードがプリントされたコースターは近代のものですが、ギャラリーラファイエットの販促品だったもののようです。


1月のアンティークコレクションをご覧頂きありがとうございました!引き続き、1月のアンティークが入荷して参りますので、どうぞお楽しみにお待ち頂けましたら光栄です♪