地方のマイクロツーリズムを考える
コロナ渦が少しずつ終焉を見せてきました。終焉という書き方が適切かどうかは置いておいて、コロナが去ったから、その前のような客足が観光地に戻る!と思ってる人に少々考えてもらいたくて筆をとっています。
さて、コロナ渦後の話で、アフターコロナという言葉を聞いたことがあると思います。筆者自身は、未だポストコロナだとの認識を持っています。だからアフターコロナの世界はまだ1年とか2年とか其のくらいだと考えてます。
じゃあ、アフターコロナになるにはどの基準で?との意見も聞きます。はっきりと答えが出るのは、コロナウィルスのワクチンが完成して、それが市民権を得てから。詰まるところはコロナがインフルエンザのように市民権を得て、当たり前になった辺りでやっとアフターコロナの世界が始まるのではないでしょうか?
では、将来、インバウンドが戻ってこないで観光事業者が今以上に困窮するのか?というと、それは少しだけ違うかなと。考えてもみてください、ほんの10年前の犬山を。城はあったけど、今のような城下町はありましたか?路地裏にお店なんて無かったですよね?人力車も走ってなかったし、神社に若い世代の女の子が写真を撮りに来るなんて考えてましたか?
今回は10年前の犬山を思い起こしながら、文章を読み進んでくれるとわかりやすいと思います。あくまでも考察なので、その後誰がこの意見と同じことを発するかはわかりません。また、犬山の観光を筆者自身どうこうしようなんて考えてません、其の辺は所詮ライターですから。
マイクロツーリズムの復活に路線変更を!
マイクロツーリズムという概念をご存知だろうか?一昔前の鉄道会社のコピーで「安、近、短」ってやつだ。安くて近くて短期で済む旅のこと。今、このマイクロツーリズムが見直されている。
ニュースピックで星野リゾートの星野社長がわかりやすく語っているので時間のある人はご覧あれ。
では犬山におけるマイクロツーリズムとは?筆者が感じていることをそのまま出すとすると、コロナ前と変わらなくていいと思う。強いて挙げるなら日帰りで犬山じゃないと体験できない事があれば、非日常を体験しに来たいお客さんを迎えることができる。
コンテンツである。思いつくだけ挙げてみると…
お城はもうツーリズムの一つではない。
犬山城はプロガイドを置くべきだ。このままだとどうせ入場人数に制限がかかるのだから、プロガイドを付けて、一人2000~3000円で、お土産付きなら相当数の見込み客を見込める。ネットで予約入場だけにして、確実に収入につなげる。
なぜなら、お城を知りたいから。細部までくまなく知り尽くした人材を、今育てて2~3ヶ月後に備えるべき。
ここで下手にボランティアなんて絶対に駄目だ。お金を稼がなきゃいけない時に、ボランティアなんてのは絶対に駄目。ツーリズムでスタッフに一人1000円でもお金が発生する仕組みを作らないと、そして今その仕組を作るタイミングだ。
お土産は入場料と御城印を合わせればいい。御城印は絶対に日付を入れること、月に一度、城主だった成瀬家の1代目の命日に合わせてプレミアムのちょっとしたサービスを提供すればいい。そうすれば話題にもなる。
城下町は観光協会から離れるべき
城下町で営業されているお店は個人、法人関わらず、観光協会から少し距離を置くべき。独自に城下町マップを可愛く作り込むタイミングに差し掛かっている。観光協会のマップと張り合うくらいでも面白いし、スポンサーを市外からつけるべきだ。
また、コンテンツを独自に発信しているメディアを味方につけて、展開するのもいい。発信者が生の声を発信すればそれだけでもコンテンツになる。
ここだけの話、読みたい記事の中で最も素敵なのはそこにいる人の話だ。どんな人で、なぜ犬山で、どんなことをこれからやりたいのか?って記事は本当にたくさん読まれる。
また、町のコンテンツは若い世代も入れて、自分たちで作り込んでみたらどうだろう?犬山焼なんて素敵な陶磁器があったり、桃太郎の伝説が残る神社があったり、尾張を開墾した豪族の神社があったりするのだ。大河ドラマに引っ掛けて、織田家ゆかりの何かを発掘したりもいい。
また、織田信長は寂光院から犬山を落としたのだから、防災の日に洒落の効いた避難訓練を行うのも面白い。市民も参加できるし、まなぶ姿勢にもなる。
マイクロツーリズムの顧客に照準を絞れ
マイクロツーリズムの顧客とは一体だれ?という質問が出るだろう。
犬山を起点に車、電車で1時間の範囲がマイクロツーリズムの顧客になりうる見込み客である。
ここまで書いて、気がついた人はいるかと思うが、そう、昭和40年代の犬山がまさにそれ。名古屋が大都市に変貌する中で、犬山は観光地化を進めた。当時、陣頭指揮を撮っていたのは名鉄で、その後は知ってのとおりである。名鉄が犬山を観光地にすると掲げたのには2つ理由だある。一つは名古屋から30分という立地、もう一つは著名人の足跡だ。
今、名鉄がなぜ犬山を観光地に開発したかの理念に触れれば、どれだけ文化的にも地政学的にも名鉄が尽力したのかが触れられると思う。名鉄の功績は大きいのである。
インフラは既に鉄道、道路が揃っている状態、過疎地区でもなければ、大抵の物が揃っていて、城下町だけのコンパクトな観光地化になった犬山は、整備次第で岡崎や岐阜に大きく差をつけることができる可能性を持っている。
今こそ、城が町を救う位の気概を!
ここまで書いておいて無責任では済まされないので、ここで少し整備するための原資について書き残しておこう。
犬山城には犬山市が持つ13億円という整備基金があるのをご存知だろうか?この基金は犬山城のための基金であると認識している。決して自由にできるお金ではないが、プロガイドの養成、人力車の人足、石垣、景観の整備など、できることは多々ある。
条例を改正して、この基金を町のために投じることができたならば、言うに及ばず「独立採算自治」が完成する。これがマイクロツーリズムの良さであると考える。
要するに稼ぐ自治体を早々に作り込む事。これがポストコロナの今のタイミングで行う整備だ。人材を整備し、そこにまつわる資金を投資し、更に稼ぐ自治体になったとしたならば、市民サービスの向上にもつながる。スポーツ施設やプールの充実だって、保育料の無償化だって、給食費の無償化や充実だって、自治体そのものが稼げば、何だって国の顔色を伺うことなくできてしまう。
ぼやっとした「犬山市民憲章」ではなく市は稼ぎます!中央に頼りません!と宣言してしまえば、ちょっとした疫病にも怖がらなくて済むはずだ。またそこから産業が勃興すれば町としての価値ももっと上がる。
これは妄想でもなんでもないのだが、日本に一つくらい稼ぐ自治体があってもいい。米国で言えばフロリダ州の様に、中央に環境面も観光面も介入されない自治体を目指せばいい。町としての価値が上がれば、若い人口は留まるし、高齢者も生きがいを搾取されなくて済む。
そのために原資のある犬山城が気概を見せて投資する側に回ってみたらどうだろうか?間違いなくニュースになる。
犬山が東海1の観光地になるために
というわけでマイクロツーリズムから犬山がどうこの困難から立ち直るべきかを提言してみた。
狂犬木下さんも佐賀の動きに注目されている。
観光は市議会議員にとって票にならないと言われている。確かに、観光票はつながらないかもしれない。が、困難を終局させた後に、地元経済をV字で回復させた!という実績はとてつもなく大きい。しかもテーマパークやら鉄道インフラやら揃っていて、オーバーツーリズムにいももう少し耐えられそうとあれば、インバウンド需要が復活した時に、名古屋の大須商店街と並ぶ「日本で行ってみたい観光地○選」のうちの一つになれるかもしれないのだ。
あと、僕としては犬山に寿がきやがあったらいいのにといつも思う(笑)
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