犬のピピの話　３１４　呼んだらちゃんと来た犬に

おすわりをしているピピの首輪に引き綱をつけると、わたしは、ピピの頭や肩をせっせとなでました。
なでながら、こう言いました。
「ねえ、ピピ。呼んだらちゃんと来たじゃ？　いい子ちび。ちょんちゃんは、いい子ピピ！！」

ピピは、目をそらしたまま座っています。
わたしは、立ち上がります。
「帰ろう」

するとピピは、つま先だけで踊るように、ほとんど浮き上がってしまいそうに歩きだしたのです。
つくつく、ふわふわ、つくつく、ふわふわ！！
　
その様子を、わたしはふしぎな気持ちで見おろしました。
自由に走り回る時間が終わり、楽しいお出かけも終わり、うちに帰らなくてはならないのに、どうしてピピは、こんなにウキウキしているのでしょう？