「今さら聞けない」という言葉が、今さら聞けなくさせている。
テレビでも、ネットでも、雑誌でも、「今さら聞けない」という言葉は、いつもどこかでいわれているような言葉でございます。何かしらの情報を発信する時に、まくら言葉の様に「今さら聞けない」とつけられているのかと思うほどですよね。
ただ、この前思った事なんですけど。
この「今さら聞けない」という言葉自体が、今更聞けなくさせてると思いませんか。
別に今更聞けない事なんてないと思うんですよ。そもそも誰だって初めてはありますから、知らないことだって別に恥ずかしい事でもないでしょ。加えてネットが主流になって、情報ソースが多様化してますから、当たり前のライン引き自体がこれまで以上に難しくなってるじゃないです。
そんな中で「今さら聞けない」という言葉って、「他の人からしたら当然なのか…!」という煽りしかないと思うんですよね。その文字を見る前から「今さら聞くのは恥ずかしいな…」と思ってる人にとっては問題ありませんけど、そう思ってなかった人からしたら「これを聞くことは恥ずかしいのか!」って、余計な心配をかけさせることしかないと思うんですよ。
「今さら聞けないから教えてあげます!」と優しい顔をしておいて、「今さら聞けない恥ずかしい事」というマイナスの価値観を植え付けてるのも、その優しい顔の発信者だと思うんです。
というのも、この前本屋に行ったら書いてあったんです。
「今さら聞けない! アンディーウォーホルの基礎知識!」
聞けるよ!!!
アンディーウォーホルの基礎知識なんて、90になっても聞けるよ!!!
いや、ほんとにびっくりしたんすよ。全然聞けるじゃないですか。書いてる人は、素直に「今さら聞けない!」と思ったのかもしれませんけど、全然聞けるでしょ。
そう思って本屋を眺めてみると、ほんとに「今さら聞けない」系の本ってめちゃくちゃ多いんですね。「今さら聞けないインターネット」とか「今さら聞けない料理の基本」みたいな、まだわからなくもないものも多いんですよ。
もちろん別に恥ずかしい事でもないんですから、今さら聞けないって言う必要はないですよ。でも、個人的にこの本を読む前から「今さら聞くのは恥ずかしいな」って思う内容だったとは思います。
でも「いまさら聞けない心電図」は違うくね?
でも「いまさら聞けない計算力学」は違うくね?
でも「今さら聞けないペルソナ」は違うくね?
なら逆に、いつ聞くべきやったのか教えてくれ!!
俺は離乳食食いながら「ママ!心電図って何?」って聞くべきやったのか!
逆にこれを聞かれて「今さら…w」って思う奴を呼んできてくれ。
もし僕が大金持ちになったら、「今さら聞けない」と言った人をたくさん集めて、それぞれの今さら聞けないを浴びせあわせ、浴びたほうが今さら聞けないことを知らずに悔しがる様を見ながら、ワインでも飲んでみたいものですね。