小説の読み方がわからない人におすすめの本がある
数ある小説の読み方系の本で、何度も読み返しているものがある。
そのうちの一つが、この『批評理論入門』だ。
【どんな内容か?】
小説を面白く書くテクニック、小説を読みこむテクニック、
その両方を分かりやすく書いたのが『批評理論入門』である。
「小説が好き!でもどこが面白いのか説明するのは難しい…」という人なら買って絶対に損はない一冊だ。
「でも入門ってことは、あまり大したことは書いてないよね?」
『批評理論入門』は違う。
もうかれこれ10年以上、私は熱心に小説を読んでいるが、
いまだにこの本からは新しい発見がある。
たとえば「性格描写」の章を見てみよう。
この章によると「登場人物の性格こそがストーリーを決定する」らしい。
ぼくは気づいた。あれは高校生のころだ。
森鴎外『高瀬舟』の痛ましい内容に、当時のぼくは感情移入せざるをえなかった。
弟に兄想いの性格がなければあんな結末にはならなかったのに。
いまでも、そう考え込んでしまうことがある。
『批評理論入門』を読んで、ぼくは納得した。
「登場人物の性格こそがストーリーを決定する」
これこそが、長いあいだ『高瀬舟』に心を惹かれていた理由だったのかと。
【この本の使い方】
この本は例として、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』を18の視点から読み解いている。
個人的にベストな使い方は、著者と同じように、自分が好きな作品をこの本の読み方で読んでみることだろう。
「いやー長いこと小説読んでなかったけど久しく読んでみるか」
どうだろう?そんな気にならないだろうか?
ぼくなんかは、この書評を書いているあいだもずっと興奮している。
ぜひとも一度、手に取ってみてほしい。
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