随筆(2020/9/15):「人の代わりに決める」系の手助けの難しさ
1.引き継ぎのことを、そろそろ真面目に考えねばならない
私は今の出先機関にかなり長くいるのですが、来年くらいには人事異動があって、別の出先機関に転勤になるかも知れない。
ということで、私が一生懸命やって来た、パソコン周りの作業の引き継ぎを、そのうちやらねばなりません。
役所は、インフラとして、パソコンやサーバやネットをもちろん使っているし、ここを整えれば整えるほど仕事は楽になる訳です。
ただし、最初に整えるのがどうしても難しい。
それに、自分は使い方が分かっていても、他人が使えるかは、マニュアルをちゃんと作れるか、ちゃんと説明出来るかにかかっています。
ということで、ちゃんと引き継ぎをしなきゃならないんですよ…
2.引き継ぎは、仕事組織においては、価値ある技能である
ということで、私もええ加減、「後輩に教える」ということを、ちゃんとやるフェーズに入る訳です。
これが出来なきゃ、人事異動で次の担当が超困るし、元の職場は大迷惑するので、きちんとやっていかねばなりません。
逆に言えば、仕事組織にとっては、引き継ぎの技能は、非常に有難みがある、強く望ましいものである。ということでもあります。
(異動がなくても、ある程度教えれば、作業分担として手伝ってもらうことになった時に、基本的にはかなり楽になるでしょう。これはこれで仕事組織にとっては有難いことです。作業分担のみならず、集団作業にも効いてくるので嬉しい)
3.知識、技術、そして心構えの引き継ぎ
引き継ぐのは、知識的・技能的なことだけではない。
情報資産管理は、どうしても「面倒ごとが起きたら自力でやる」という姿勢が求められる。
そもそもテキパキ会計担当に相談して業者を呼んだ方が安全に対処できることもあるが、幸か不幸かそういうのはたいてい私が直していた。
追加作業に追加料金が発生しないで、労力だけ持ち出しになるの、どう考えても理不尽なんですが、役所は「予算を節約出来れば出来るほど偉い」文化圏なので、どうにも出来るだけ内製でただ働きをさせたがるところがありますね。
とはいえ、当然、ある程度はそれはしなければ、仕事が回らないことも多々ある。じゃあ、やるしかないな。
それもこれも、知識と技能と、「やってやらぁ」という心構えのなすところだ。
4.引き継ぎの一環としての意思決定支援
ということで、肝心なこととして、「自力で調べて自力でやれる」という姿勢が、とてつもなく要求されます。
というか、これなしで、マシントラブルの対処、無理やろ。
もちろん、最初から「自力でやれ」と言っても、何が何だか分からず途方に暮れる可能性はとてつもなく高い。そこは、いくら何でも、百も承知です。
だから、やってもらって、横で
「ここはこうして下さい」
「こうすると安全ですし早いですし楽です」
「ギャーちょっと待て! それをやったら壊れる! やめろ!」
みたいな軌道修正を行う。ということが、どうしても必要になるでしょう。
要は、引き継ぐ方に意思決定と実践をしてもらい、私は意思決定支援をする、ということをしなければならない訳です。
(実践そのものは支援しません。仕事のスキルは、「自分の手で実践して感覚が身に着く」という側面が非常に大きいため、やはり自分の手で実践して感覚を身に着けていくのが一番です)
5.意思決定支援の匙加減
既に分かっている罠があります。
意思決定支援は、途切れなく行われると、受けた側は口出しされまくっているので、不快になる。
それ以上に困ったことに、意思決定支援がほぼ意思決定そのものを決定するレベルで行われているのなら、そして意思決定者がそれに慣れて、要は意思決定支援者に全部用意させようとしたらば、そもそも意思決定者はガチの意思決定をやらなくなる。というか、必要な前提を自分で整えることもないだろう。これでは困る。
そこは少しずつやらねばならない。というか、そのために引き継ぎをしているのだ。
それが出来なければ、仕事組織は、意思決定支援者にも、意思決定者にも、何らプラスの査定を下さないだろう。
「このままでは、意思決定者の意思決定が育たず、いつかガチの意思決定を迫られた時に磨り潰され、最悪死ぬ」
と思ったら、「補助輪を外す」と明示した上で、意思決定支援を少しずつお断りしていく。ということをしなければならない。
6.意思決定支援は、ちゃんと意味のあることで、サボってはいけない
それでも、それまでは、補助輪は、あるととても安全なものなので、出来れば引き継ぎ者はこれを用意しておかなければならない。その上で、意思決定支援でも何でもやるのだ。
引き継ぐ相手、意思決定者が潰れたら、それまで引き継ぎに費やしたリソースは、実は全部ゴミになってしまう。
シラフに返ったら、そのような労力の持ち出しは、内臓が裏返るほど腹立たしいことであろう。
ちゃんと、そこは、リソースの投入が実るよう、尽力した方が、後で腹立たしいことも少ないはずだ。
7.何の指導もしないで、軌道を外れた相手を放置して、偉そうな顔してるんじゃあない
今の仕事が忙しすぎて、引き継ぎが嫌な時に、仕事の八つ当たりで、引き継ぐ後輩相手に
「お前何で出来ないの?
もっと自分の安全をサクリファイスする勢いで、リソースをドブドブ投入して知識や技能を磨け。
自分がお前に技能や知識の磨き方をちゃんと教えない限り、これは「博打に全額貼れ」と言っているのと同じことになるが、とはいえやり方をちゃんと教える気はさらさらない。
バカみたいなデタラメなフォームでバカみたいに素振り一万回をやって、博打に全額貼れ。すってんてんになって心身ぶっ壊しても俺は知らない。興味がない」
と言いたくなる人、いるでしょう。
気持ちは分かりますが、同じ仕事組織の後輩を、そんな超ツマンネー愉悦のために、ぶっ壊してはいけません。
だから査定がもりもり下がるんですよ。
やめましょう。
8.未来へ…
そんな訳で、近々引き継ぎを行わなくてはいけません。気が重い…
だが、やっていきましょう。いじょうです。