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〈POP/ROCKお茶の間ヴューイング〉アグネス・オベル(Agnes Obel)インタヴュー【2020.2 144】

■この記事は…
2020年2月20日発刊のintoxicate 144〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された、SWW、アグネス・オベル(Agnes Obel)のインタビューです。

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intoxicate 144


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© Alex Brüel Flagstad

デンマーク出身の才媛シンガー・ソングライターがドイツ・グラモフォンからデビュー!

interview&text:渡辺亨

 アグネス・オベルはデンマーク出身で、現在はベルリンを拠点に活動しているシンガー・ソングライター。キーボードの演奏、プロデュース、ミックスも一人でこなす才媛だ。このほど通算4作目にあたる新作『マイオピア』のプロモーションのために初来日した。


 「子供の頃にクラシックのピアノを始めましたけど、主にロックやポップに影響を受けてきました。母は地球上でいちばんと言っていいほどのローリー・アンダーソンのファンで、私も大きな影響を受けてきました。子供がおのずと親が贔屓しているサッカー・チームのサポーターになるようなものですけど(笑)、母には感謝しています。音作りの面でいちばん刺激を受けてきたのは、スコット・ウォーカー。自分の内面をすべてさらけ出し、サウンドによって表現するといった彼の勇気に感銘を受け、とても尊敬しています。それとジョニ・ミッチェル。ジョニの音楽を聴いていると、すべての音符に彼女が存在していると感じます」


 音楽以外の分野では、写真家のマヤ・デレン、小説家兼詩人のエドガー・アラン・ポー、映画監督のアルフレッド・ヒッチコック等に影響を受けてきたという。また、アグネスは、人気コンピレーション『Late Night Tales』のキューレーターを務めていて、2018 年リリースの同作品ではデンマークの詩人インガー・クリステンセンの詩を朗読した曲をはじめとするオリジナル曲に加えて、ニーナ・シモンやカンなどの曲を選曲している。これらの事柄からも、アーティストとしての彼女のくっきりとした世界観が伝わるだろう。


 「シンプルでありながら、ものすごく複雑なことを表現している。そんなパワフルな詩や映像作品に惹かれます。たとえばヒッチコックの映画を観ると、人間のジレンマというものが実に巧みに表現されていると感じます。そして私自身も、そうした奥行きのある豊かな音楽を作ることを目指しています」


 『マイオピア』は、欧州ではドイツ・グラモフォンからリリースされる。近年のドイツ・グラモフォンは、マックス・リヒターや一昨年急逝したヨハン・ヨハンソンなど、映画音楽の分野でも名高いポスト・クラシカル系のコンポーザーと積極的に契約している。


 「ストーリーテリングの点で、クラシックより映画音楽に強い影響を受けてきたこともあって、マックスやヨハンの音楽には親近感を抱いています。ただ、私は自作曲を歌うシンガー・ソングライター。音だけではなく、言葉によっても表現するという点で、彼らとは大きく違う。だからこそドイツ・グラモフォンは、私に興味を持ってくれたんじゃないかしら」


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『マイオピア』
アグネス・オベル
[Deutsche Grammophon/ユニバーサルミュージック UCCH-1058]


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