〈JAZZお茶の間ヴューイング〉TOKUインタヴュー【2020.4 145】
■この記事は…
2020年4月20日発刊のintoxicate 145〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された、TOKUのインタビューです。
盟友ジョヴァンニ・ミラバッシと初のヨーロッパ録音に挑んだニュー・アルバム
interview&text:桑原シロー
「初のヨーロッパ録音ということをはじめ、初めて尽くしのレコーディングでした。初めてのことを課そうとたくさん曲を書いたし、アフリカン・ビートやボレロなどあらゆるリズム・パターンを試しながら、どこまで自分色で染め上げられるのか試してみたんです」
パリ・レコーディングを敢行した3年ぶりのオリジナル・アルバム『TOKU in Paris』についてそう語るTOKU。アンドレ・チェッカレリやピエリック・ペドロンといった経験豊富なジャズメンと共に音を紡ぐというまたとない機会を得た彼は、可能なかぎりハートをオープンにしながら刺激的な会話を試みたわけだが、予想以上に濃密な空気が発生していて驚かされる。
「彼らが僕のポテンシャルをわかってくれて一緒にやりたいと思ってくれたことがすごく嬉しい。そんな皆の想いが寄り集まって出来たアルバムだといえるかも」
今回TOKUのチャレンジに力を貸したのは、長い付き合いのあるピアニスト、ジョヴァンニ・ミラバッシ。そしてミラバッシとレーベル〈ジャズ・イレブン〉を共同運営しているヴォーカリスト、サラ・ランクマン。ぜひアルバムを作るべきだ、と熱烈に激励したふたりは共にプロデュースを担当。なかでもランクマンは楽曲提供を行い、ミシェル・ルグラン《I Will Wait For You》のカヴァーでは素晴らしいデュエットも披露するなど八面六臂の働きをみせる。
「彼女はすごくポジティヴで感覚的な人。スイスの音楽学校でジャズを学んだはずだけど、彼女が書く曲は決して難解ではなく、内面のナチュラルな部分が滲み出ていて、歌っていて楽しい。僕は音楽学校に通ったことはありませんが、どこか近いものを感じる。ヴォーカリストとしては一声発するだけでガラリと雰囲気を変える力があり、驚かされるんです」
それから盟友ミラバッシとの会話はどうか。アルバムのハイライトといえるデュオ曲《Blue Smoke》では、親密感と緊張感が同居した特別な時間が育まれていて、ただただ聴き惚れてしまう。
「彼のスタイルは十分に理解していたものの、今回初めてのスタジオということで新鮮でしたね。そういえば、レコーディング前のライヴでも『俺たちがこうやっていっしょにツアーしているなんて、出会った頃は考えられなかったよな』って笑いあったんですよ」
パリという街が持つ、アートに対して寛容で、誰彼分け隔てなく受け入れる部分を愛してやまないTOKUが描いた魅惑的なシティーミュージックの数々。抜け感のあるエレガンス、エモーショナルかつ開放的な音色に彩られた世界を心ゆくまで楽しんでほしい。
『TOKU in Paris』
TOKU
[Sony Music Japan International(SMJI)SICJ-30019]
Blu-spec CD2 〈高音質〉
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