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〈JAZZお茶の間ヴューイング〉寺井尚子インタヴュー【2020.4 145】

■この記事は…
2020年4月20日発刊のintoxicate 145〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された、寺井尚子のインタビューです。

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intoxicate 145


寺井尚子a

©Katsunari Kawai

ジャズ・ヴァイオリンの女王、寺井尚子 7 年ぶりのクァルテット作品『フローリッシュ』

interview&text:早田和音

 2018年にデビュー30周年&CDデビュー20周年を迎え、『ザ・スタンダードⅡ』とベスト・アルバム『寺井尚子ベスト』の2作品を同時リリースして話題になった世界的ジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子。その彼女が4月15日に発表したアルバム『フローリッシュ』は、2013年発表の『セ・ラ・ヴィ』以来、7年ぶりとなるクァルテット作品だ。


 「昨年迎えたダブル・アニヴァーサリーという節目の後の作品ですので、アルバム制作に入る際に頭に浮かんだのが、このアルバムは自分にとっての再スタート、新たな原点になるだろうという思いでした。そう考えた時、『セ・ラ・ヴィ』もそうですが、デビュー作『シンキング・オブ・ユー』もクァルテット作品。自然な流れでこの編成へと向かいました。新たに加わってくれた古野光昭(b)さんは、優れたグルーヴ感と美しいベースラインが最大の魅力。アルバム参加は初めてですが、ずっと以前から共演している、頼りになるベーシストです。これまでずっと一緒にやってきている北島直樹(p)さんと荒山諒(ds)さんとともに昨年からサウンドを作ってきました」


 確かに、以前のクインテットからクァルテットへと変化したが、そのサウンドは、大きな広がりと緊張感を備えたものになっている。


 「編成はひとり少なくなりましたが、その分バンドの中に音楽的な空間ができて、バンドの音がクリアになりました。お互いの音に反応し合うスペースが大きくなったのが緊張感に繋がったのでしょうね。レコーディング中に、メンバーのみなさんの意識の変化を感じることがしばしばありました」


 その最たるものが、ドラマティックな展開を持つ《トゥーランドット~誰も寝てはならぬ》の演奏だろう。アルバム・タイトル“ フローリッシュ” に相応しい華やかなテイクだ。


 「この曲は、リハーサルの中でじっくりと練り上げていきました。オペラの世界を4人で表現するわけですから。でもとても楽しく充実した時間でした。その積み重ねの中で、“ あっ、これはいける! ” と思った瞬間は本当にワクワクしました。この曲はライヴでもとても評判が良くて、終わると観客のみなさんから歓声をいただくのですが、それがなぜか“ブラヴォー! ” 普段の“イエーイ! ”ではないんです(笑)。アルバム・タイトルの“フローリッシュ”は、蕾が膨らんで花開くという願いを込めたもの。現在、日本だけでなく世界中が大変な時を迎えていますが、みんなで頑張って乗り越え、お互いに心配しないでコンサートやライヴ会場でお会いできる日が来るのを楽しみにしています」


寺井尚子j

『フローリッシュ』
寺井尚子(vn)
北島直樹(p)古野光昭(b)荒山諒(ds)
[ユニバーサル UCCJ-2177]


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