〈JAZZお茶の間ヴューイング〉ホセ・ジェイムズ(José James)インタヴュー【2020.4 145】
■この記事は…
2020年4月20日発刊のintoxicate 145〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された、ホセ・ジェイムズ(José James)のインタビューです。
intoxicate 145
Photo by Yuma Sakata
自身のレーベル“ レインボウ・ブロンド” からの幸せに満ちあふれたニュー・アルバム
interview&text:林剛
ホセ・ジェイムズの3年ぶりとなるオリジナル・アルバム『No Beginning No End 2』は、2013年のブルーノート移籍作に因んだ表題に注目が集まる。恋人ターリとの結婚や自身のレインボウ・ブロンドからの再出発という意味も込めて、“新章”を謳った作品だ。
「ブルーノートでドン・ウォズが自分にしてくれたように、レインボウ・ブロンドはアーティストを尊重して自由な権利を与える。ターリいわく“インサイド・アウトなレーベル”、つまり表に立つ人と、エンジニアや写真家などの裏方もフォローしているんだ」
同じく新作を出したベン・ウィリアムスもそのひとりで、彼がベースで参加した今作は盟友ブライアン・ベンダーとの共同制作。過去最多のゲストも話題だ。
「ひとつのジャンルに縛られず、人々が期待するコラボとは違う意外性を出したかった。《I Need Your Love》ではR&Bのレデシーとジャズのクリスチャン・スコットが一緒になり、《Nobody Knows My Name》ではローラ・マヴーラがクリス・バワーズとハード・バップをやったり。ターリとの《I Found Love》も、僕と正反対の彼女と一緒になることで違うものが生まれたしね」
歌唱も含めビル・ウィザーズのトリビュート作『Lean On Me』(2018年)での経験も滋養となったのだろう。特に前半には、冒頭で日本語のカウントが入る《You Know What It Do》、セシリーと歌う《Feels So Good》、
ミネアポリス出身者らしくプリンスを意識したというアロー・ブラック客演の《Turn Me Up》など、スコット・ジャコビーが関与した軽快なソウルが並ぶ。
「R&Bとポップスの良さがあるよね。スコットは以前《Trouble》も手伝ってくれたけど、小さな細胞をさらに大きくしてくれる存在。曲はジャマイア・ウィリアムスやクリス・バワーズらとバンドで作って、一度録り終えてからシンセをレイヤーしたり、マーカス・マチャドのギターを加えることで深味と色合いを出した。クインシー・ジョーンズが手掛けたマイケル・ジャクソンの『Off The Wall』みたいに、二度三度聴くうちに細かい音に気付くような仕掛けを施したんだ」
「J.ディラ風にした」というビリー・ジョエル《Just The Way You Are》のカヴァーも快演。インディ・ザーラとエリック・トラファズを迎えたバラード《Oracle(高尾山)》での幕引きにも心を洗われる。
「“オラクル”は神託だけど、高尾山に登って自分がその一部になることによってスピリチュアルなエネルギーをもらえて心が穏やかになる。この曲で希望のある終わり方をしたかった。今回はいろんな国のミュージシャンとコラボをしたけど、人間という意味では皆ひとつ。その中で自分の個性を発揮したかったんだ」
【CD・LP】
『ノー・ビギニング・ノー・エンド 2』
José James
[Rainbow Blonde/ユニバーサルミュージック UCCU-1621(CD)
Rainbow BlondeBLONDE022V(LP)
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