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〈CLASSICALお茶の間ヴューイング〉幸田浩子インタヴュー【2020.2 144】

■この記事は…
2020年2月20日発刊のintoxicate 144〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された、ソプラノ歌手・幸田浩子さんのインタビューです。

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intoxicate 144


幸田浩子a

こどもたちの未来に歌い継がれる日本の名曲を

interview&text:服部のり子

 幸田浩子が7年ぶりに日本の歌をレコーディングした。タイトルも『このみち~日本のうたII』だ。美しい四季をテーマにした歌など23曲を歌う。


 「東日本大震災後にコンサートで観客のみなさんと《故郷》を歌った時に、会場に満ちる優しいエネルギーをもっと大勢の方々と共有したい。その思いから前作『ふるさと~日本のうた』を作りました。その後、各地で日本の歌をさらに歌うなかで、こんなに美しい歌がたくさんあるのか、という発見と共に、みなさんと歌を通じてひとつになるという経験を重ねたことがこの新作につながりました」


 23曲の選曲が興味深く、日本の歌にイメージする古い唱歌ばかりではなく、2000年代に生まれた童謡《おちば》があったり、アルバムの最後は、彼女自身が「美しい竹林の風景のなかで、日本人の心を歌っているこの歌をぜひ入れたい」と希望した歌劇『竹取物語』からの2曲のアリアが飾る。具体的な編成は、春から始まり、冬まで四季を歌った歌が続き、後半は《見上げてごらん夜の星を》など昭和の名曲や新曲を聴ける。


 「選曲するにあたって、過去、現在、未来を意識しました。未来に歌い継がれていってほしい古い歌もありますが、全てが懐古的なものではなく、池田綾子さんが書いて下さった新曲《時は風のように》もあるし、菅野祥子さんの《春なのに》に続く、東日本大震災から時間を経た今をテーマにした《涙雫》もあります」


 陸前高田出身の菅野祥子さんが書いた《涙雫》もそうだし、《みかんの花咲く丘》なども歌詞の表現がとても素直で、その歌を美しいソプラノヴォイスで、優しく慈しむように歌っている。小さな子供にも親しまれている歌をどのように歌ったのか、と質問すると、「涙をこらえるのが大変でした」と笑いつつ、「ピアニストの藤満健さんと1 曲ごとにディスカッションを重ねて、オリジナルを生かしつつ、でも、この大正時代の歌の和声は、今あまり聴きなれないので、少しアレンジを加えようかとか、《どこかで春が》では春の小川が流れる様子を藤満さんがピアノで弾いてくれたり。そうやってレコーディングしました」と言う。


 タイトルになった《このみち》は、山田耕筰の名曲ではなく、金子みすゞが書いた詩に曲をつけたものだ。


 「メインの曲とか何も決めないままレコーディングを始めたなかで、話し合うこともなく、プロデューサーとこの曲がタイトルだね、と自然に決まりました」


 タイトルに込められた思いは、インタヴューで何度も口にした” 未来” に馳せる心として歌から伝わってくる。2013年に始まった「日本のうた」は、今後ライフワークとして長く続くシリーズになりそうだ。


幸田浩子j

『このみち〜日本のうたII〜』
幸田浩子(S)藤満健(p・編曲) 沼尻竜典(作詞・作曲・p)
コール・ジューン・ジュニア
[Columbia COCQ-85483]  UHQCD 〈高音質〉


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