【小説】ビール傘ではなくて(#毎週ショートショートnote)
「ブー! 正解は傘!」
「ああ〜なるほど。だから両手広げてたのか」
ジェスチャーゲーム。
「次これ!」
握り拳を立てて、口の前へ。
拳と顔を斜め後ろに同時に倒す。
「え、わかった、ビール!」
「正解! よくわかったな」
「これは簡単だった」
宴会中なので、ヒントがそこここにあった。
「では次!」
右手の親指と人差し指で円を作る。
「お金?」
「ブー!」
作った円をそのまま耳たぶ近くに付けたり、あいている左手の薬指第二関節付近に付けたり。
「はぁ? 指輪?」
「ブー!」
「耳に円……イヤリング? ピアス?」
「ブーブー!」
「わかりまてん、ギブ!」
「正解はルビー!」
「……なんで? 他の宝石かもしれねえだろ」
お互い、不服そうな顔。
切り替えて。
「じゃあ最後ね! いきます!」
さっきのビールのジェスチャー。
さっきの傘のジェスチャー。
「ビール、傘?」
「ブー! 正解は、酒飲んで態度がデカくなる、大原部長!」
「お前それは」
宴会の空気が凍る。
《終》(410字)
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