『公〈おおやけ〉日本国・意思決定のマネジメント』の書評・レビューを紹介させていただきます。その②

出口正之さん(2020.08.15、Facebook)

猪瀬直樹『公』
作家のアイデンティティと人生の一貫性
 小生の周りには猪瀬直樹のことを誤解している人が多い。「権力者に近づいたり、自ら政治家になったりした人」だという印象を語る人たちだ。その姿を皮相的に追えば、迷路に入り込むのも止むを得ないところかもしれない。ところが、これはとんでもない誤解だ。
 実は、猪瀬直樹とは何者なのかを理解するには、確実な方法がある。彼は作家である。どこまでも作家なのである、彼の著作を『天皇の影法師』から順を追って読み進めば、それは一目瞭然である。猪瀬直樹ほど作家というアイデンティに固執し、自らのテーマを一貫して追い続けている作家はいないからだ。それほど稀有な作家であるから、多くの人は余計に猪瀬を貫く一本の糸に気が付かないのではないか。表面的に見える姿はいくつもの人生を並走しているようにさえ見える。しかし、そうではない。猪瀬は一本の道をひたすら追い求めている求道者である。猪瀬ファンは間違いなくそのことを理解しているだろうが、それを第三者に語る表現力を持ち合わせている人は少なかろう。
 まさに、そのような状況の中で、本書において自らの作家としてのアイデンティを強烈に打ち出し、その問い続けた一貫性を何と漢字一文字で表現した。「公」である。一体、これまでの日本人で自らの一貫性を漢字一文字で表現しえた人はいただろうか?本書は作家としての名刺であり、身分証明書でもある。
 したがって、猪瀬ファンよりも、アンチ猪瀬の人々にとって必読の書であろう。本書を読まずして猪瀬直樹を語ってはならない。(https://www.facebook.com/masa.deguchi/posts/10221357562080347)

石戸諭さん(2020.07.07、Twitter)


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