猪瀬直樹
作家
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財務省(税金)が分配する予算(第一の動脈)に対して、寄付の総本山・公益庁(第二の動脈)をつくることで官僚主権から国民主権の元気が出る経済を目指せ! 日本維新の会の国家改造計画です。
日本は官僚国家であり、その官僚の集積地である東京を中心に近代化が展開してきました。国民や企業から税金を集め、政府が予算案をつくり、富の再分配をする。これが国家の役割の重要な部分です。しかし、官僚機構による分配はだんだん既得権益化されてきてしまい、固定化されていく構造になりがちです。 この状況を打破するために、首都・東京の機能分散として副首都・大阪に「公益庁」をつくろうと、日本維新の会は提案しています。単に東京の機能が大阪に移すという意味ではありません。それでは根本的な変化
アメリカの分断は「OK牧場の決闘」から始まっている。Netflixの実録「ワイアット・アープ&カウボーイ・ウォー」(1シーズン6話完結)を読み解く。
雲よ岩よ岩よ我らが宿り、俺たちゃ街には住めないからに、という「雪山讃歌」を聴いたことがありますよね。 あの歌の原曲は「愛しいのクレメンタイン」です。 同名のジョン・フォード監督の映画、日本のタイトルは『荒野の決闘』(主演ヘンリー・フォンダ、1946年、僕の生まれたころ)でした。その6年後には『OK牧場の決闘』(主演パート・ランカスター、カーク・ダグラス、1952年)のタイトルで再映画化。というか決闘の主役・正義の味方のワイアット・アーブの物語はその後、再三映画化やテレビ化さ
押見修造・漫画版「悪の華」はアニメ版を前半だけ、その後は実写映画版をお薦めします。思春期から大人になるまで心のトンネルをどう抜けるか、どのくらいの毒を飲めば免疫ができるか、そういうテーマとして描かれている。
ボードレールの 『悪の華』(堀口大学訳・新潮文庫)は、文学青年なら一度は通過儀礼として、突き刺さるような言葉の群れを容赦なく浴びて仕舞う、そういう有名なフランスの古典文学です。 その『悪の華』をヒントに同名のタイトルで押見修造という漫画家が2009年に「別冊少年マガジン」に連載を開始し、その後コミックが累計300万部も売れた。 ストーリーは、田舎の山に囲まれた袋小路のような出口のない小都市、新しい産業があるわけもなく電線が垂れ下がり看板も色褪せている。衰退する日本の典型