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いい子の鎧をまとっていた

精神疾患になるまでのわたしは、学校でも優等生、職場でもいい子、持病や出産の入院中もいい患者と、周りに気を遣いながら生きてきました。

周りから気に入られていないと不安でしたし、すべての人から好かれたいと思っていました。それが精神疾患になると、周りの人がどう思うかという余裕がなくなり、「寝たい」「食べたい」という欲求しかなくなりました。多くの薬を飲んで、考える力が低下したのだと思うのですが、これは気を遣いすぎて疲れていた私にとって大きな変化でした。

病院で入院している時嫌なことが3つありました。一つはアラジンの映画を英語でみたかったのに、「あなたは日本人だから、日本語でみないといけないのよ」みたいなことをキツイ口調で言われたことです。あともう一つは2人部屋で同室だった子に「わたしのことが嫌いなのね。」というようなニュアンスの手紙をもらったことです。そして最後、わたしのお気に入りのテディベアのぬいぐるみが病棟内でなくなったことです。結局テディベアは見つかったのですが、ぬいぐるみの紛失で心がポキッと折れてしまいました。
「わたしのぬいぐるみをどこに隠したのよー」と大声で暴れて三度目の保護室にいくことになりました。

保護室ではユーミン(松任谷由美さん)の歌ばかりうたっていました。電気治療をこれ以上はできなかったみたいで薬をたくさん増やすことになりました。フラフラして歩けなくなりました。拘束ベルトで手足を拘束され、毎日天井をみていました。

主治医の「いちばんの患者になりたかった」これが率直な思いです。ここでも、いい子でいたい、先生に気に入られたいという想いが根底にありました。それで先生の気をひきたくて、暴れたのかもしれません。どうやったら先生の「いちばんの患者」でいられるのか、その時だした結論が「もう一回保護室に入る」ことだったのかもしれません。なんと愚かなことでしょう。結局保護室には2ヶ月近くいました。

いい子でいなきゃいけないというプレッシャーが自分を苦しめていたのだとおもいます。以前は外ではいい子なので、家で爆発というかヒステリーを起こすこともありました。いまは、人にどう思われるかを気にしすぎないようになりました。これは薬を飲んでいるからなのか、歳を取ったからなのか、よくわからないのですが、たしかに薬をのんでるいま、ヒステリックになることもなくなりました。

人によく思われたいというのが強かった当時のわたしを「大丈夫だよ、ありのままで」と抱きしめてあげたいです。精神疾患になって何もかもさらけ出して、あたらしい自分になったのだとおもいます。こう振り返ってみると、治療をきちんと頑張って今生きやすくなったわたしを「よくがんばった、のりこえた」と褒めてあげたいとおもいます。

なかなかnoteでも、入院中のことをあっさりとしか書いていなかったのですが、こうやって今日書けてよかったです。


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