2021年夏・東京~谷崎由依著『鏡のなかのアジア』より「国際友誼」~
2021年7月末。
1年遅れの五輪開幕により「突如出現した4連休」明けの東京郊外。
朝の通勤の印象は連休前とさほど変わらず、「五輪という『祝祭』」の雰囲気はどこにも感じられなかった。
電車内でもスポーツ紙はおろか日経新聞でさえ開いている人はおらず、だから五輪関連のニュースを目にすることもなく、東京で開催されているという実感は湧かなかった。
鞄から本を取り出す。
本を取り出すのは日常だが取り出す本はその時々で変わり、その日は読みかけの谷崎由依著『鏡のなかのアジア』(集英社文庫