夢への憧れと現実「トラぺジウム」感想
見てきました!
今公開中の「トラぺジウム」!
そもそもアニメ映画大好きなので、以前から気になってました!
ここ最近の私の映画熱が高まったタイミングでの公開!
見に行くしかねぇと行ってまいりました!
おおまかに
とにかく「見に行ってよかった!」これに尽きる!
「すごくおもしろい!」「見てて楽しい!」とかではなく、
「見に行けてよかった」ですね。
彼女たちの青春時代を見ることが出来てほんとによかった。
途中の展開とか、本当に苦しかったり、「やべぇきつい」となったりしたけど、それがあったからこそ最後の終わりにつながったのだと感じました!
とにかく今感じたことをを書き留めておきたいので、
ここからがっつりネタバレします。
感想
主人公東さんについて
この映画を見る前にXにて「サイコ」「怖い」「狂気」と物騒なことを言われていて、どういうこと?となっていましたが、まぁ半分納得。
彼女結構やばいです。
先ず、映画冒頭に一人で他校に乗り込んで、壁に蹴り入れてますからね。
もうこの時点で「なんやこいつ」と思いつつワクワクしてみていました。
アイドルへの憧れと挫折。
そして執念。
「どうすればアイドルになれるか」という途方もない夢のために、全力を捧げている東さん。アイドルに憧れてアイドルを目指すなんて、ありきたりかもしれませんが、その熱量は、憧れではなく執念とも言えるものです。それこそ狂気とも。
この憧れから執念になるきっかけが、「全部のオーディションに受からなかったこと」なのかなと思いました。
そもそも、映画の前にすでに挫折してるんですよね。
途中のシンジくんとの会話でアイドルのオーディションに全部落ちてると語っていました。この全部ってのも彼女の行動力や情報収集能力からするとマジで全部なのかもしれません。
いや、この挫折があったからこそ培われた行動力なのかもしれませんけど。
そこから、「オーディションにも受かることが出来ない自分(才能がない自分)が、それでもアイドルになるための方法」を模索しているんですよね。
アイドルになるために
なんども映画中にでてくるノートですが、アイドルになるための計画が綿密に描かれていました。
「東西南北の学校から、美少女を集めて話題性を作る。」
「みんなに興味を持ってもらうために一緒にライブをみる」
「ファンに過去を探られた時の保険にボランティア活動をしておく」
「地元の観光地で働くことで、テレビとのつながりを作る」などなど
しかも自分でしっかり調べて、土台作りまで済ませてる。
そして自分がスカウトする少女たちのこともしっかりリサーチ済み。
南さんがお蝶婦人が好きなこととか、くるみちゃんがロボットすきなこととか、ちゃんと相手に合わせて仲良くなるきっかけ作りもしている。
ここまでする理由として
「自分がアイドルになるため」の方法として
「他者の力をかりること」を考えたのだと思いました。
自分よりも魅力的な女の子を集めて、グループとして売り出していく。
これに東さんは活路を見出したのかと感じました。
ある意味これって、「自分一人ではアイドルになれない」という考えの裏返しともとれると思うのですよ。
諦められないけど、ある一面では諦めてはいる。そんな危うい存在が東さんなのかなと。
夢見ているようで、ある意味一番現実を見ているのが東さんですね。
実際に、ほか3人はアイドルとして東さんよりも人気がありました。ファンレターの数も、配信のコメント数やいいねの数も。
東さんの計画は成功したともいえるのですが、それが東さんが憧れた姿かというと違っていたのかなとも感じます。
計画の破綻
物語中盤で、それぞれの思いや考え方の違い、そしてなにより東さんの人並外れたアイドルという職業への執念から、グループは壊れます。
ここら辺、マジで苦しくて見ていられんかった。
東さんの計画が破綻した理由として挙げられるのは
「アイドルへの向き合い方」ですね。
そもそも、東さん以外の3人はアイドルがしたいのかというと、そうではないと思うんですよ。実際、くるみちゃんはずっと悩み続けて壊れていたし、美嘉さんは日常との折り合いに苦しんでいた。
唯一蘭子さんは「新しいものに挑戦する」という楽しさで前向きではあったけど、それが他者や自分を犠牲にしてまでのものとは考えていませんでした。
一方の東さんからすると、自分が目指して、自分が考えて、やっとたどり着いたアイドルになっているわけですから、もう手は抜けない。ダンスも歌も完璧にこなすし、番組やラジオにも出演しなければならない。
東さんは、くるみちゃんが壊れてしまったときに
「きれいな服を着て、かわいい髪型をして、スタジオでたくさんの光を浴びて、それがどれだけ幸せなことか」
と話しています。これは東さんにとって目指した幸せであり、ほかの3人にとってはこれは幸せではなかったんですね。
みんなも自分と同じように、アイドルを好きであると信じて疑わなかった。
これまでアイドルという夢に取り憑かれた彼女からすれば、それをないがしろにするかのような他3人の言動は信じられなかったのでしょう。
もしかしたら東さんの計画は、「アイドルになる計画」であり、「アイドルであり続けること」「アイドルになった後」を考えられていなかったのかもしれない。
文化祭のライブをみる提案の時に「結束力!」という話を東さんがしていたので、もしかしたら、「アイドルの良さを伝える」「アイドルとしての心構えを学ぶ」みたいな計画もあったのかもしれませんね。
テレビの取材から、深夜番組のコーナーを任され、気づいたらアイドルデビュー。とんとん拍子に進む計画は、すでに東さんの手を離れていたのかもしれません。
「夢」について
どうなりたいか、将来どうしたいかといったことですね。ここも東さんとほか3人で大きく違いました。
ほか3人はアイドルとしての活動が始まっても、学校との両立に悩んでいたようだし、作詞の件はそれがはっきりと描写されていたように思える。
他の3人は、まだ高校生でその先のことを考えているんだよな。
中間テストもそうだし、なんだったら恋愛も。
一方東さんは、将来どうしたいかとかではなく、すでに夢がかなっているのである。「アイドルになる」という「夢」が現実のものになっている。だから全力で歌も踊りも、自分の日常を捧げてでも取り組むことが出来たんだと思います。
夢がかなっている東さんと、そのかなえたい夢すら曖昧な3人という。
そりゃ、スタンスに違いが生まれるわけですね。
東さんは歌も踊りも完璧で、なんだったら3人に教えているレベル。
フェスでも一人だけ、生で歌うことを許されているので、そうとう仕上げています。実力も認められてる。
こんなに頑張っているのに、恋愛とか、自分のことで悩んでいるとか、東さんからすれば理解できなかったんでしょうね。
SNSに「こんなに頑張ってるのに、自分だけ損してる」みたいなことを投稿しようとしてやめるシーンがありますが、そりゃそうしたくなる気持ちもわかる。
夢がかなっている東さんがそれに執着するのは当たり前だし、夢をかなえる途中の三人がアイドルにすべてを賭けることがことができないのも仕方ない。
ある意味あのグループの崩壊は必然だったのかもしれません。
挫折とその先
そして、またもや挫折というか、もはや絶望とも言えるくらい落ち込みます。
見ていた私も落ち込みます。
ここで私の好きなシーンが2つあります。
まず学校で嫌味なクラスメイトに話しかけられたとき
「ありがとう。裏で私の悪口言ってるの知ってるよ。」
強すぎです。メンタル落ち込んでも、アンサーが強すぎます。
2つ目はお母さんとの会話。
自分と醜い部分と向き合い、自己嫌悪になる東さんに
「そういう所(性格が悪いところ)もそうじゃない所も、あなたでしょ」とこんな感じのこと言ってくれます。
東さんの悩んでいる自分の欠点も含めて、受け入れてくれるお母さん。
自分泣いてました。
ここから東さんは自分の醜い部分を受け入れて、また3人と本音で向き合います。
最後のシーンマジで好き。
自分の夢のために、3人を利用していたということを、はっきり伝えるところは、辛いし、苦しい。
マジで思春期に他人に対して、正面から謝れる奴いないから。
どんだけ誠実なのよ。
みんなを笑顔にしていた東さん
東さん以外の3人がなんで東さんについてきてくれたのか、なんで最後も一緒にいてくれたのか。
これについてですが、3人は東さんに「すでに笑顔にしてもらったから」「救ってもらったから」だと思います。
蘭子さんは、「私を見つけてくれてありがとう」と言っています。
あだ名すら付けられたことがなかったとのことなので、マジで友達いないか、そこまでの関係を築いた経験がなかったのだと思います。あのお嬢様学校の中でも、おそらく飛びぬけて金持ちだと思うし、家柄もあったのかもしれません。だからこそ、計画があったとはいえ、仲良くしようとしてくれた東さんのことをずっと気にかけてくれています。
そこから、さらに自分が知らない世界を教えてくれた。友達とのお泊りや花火、ロボットコンテストにボランティア体験、そしてアイドル活動。
彼女にとって、東さんは新しい世界を開いてくれた恩人なのです。
最後の夢も、今までの経験から繋がっているのがほんとに最高。
くるみちゃんは、友達と日常ですね。
自分の肩書きではなく、自分を見てくれる友達を求めていました。そんなときに仲良くしようとしてくれる東さんは、彼女にとってとても救いになったのだと思います。ロボットコンテストや文化祭のシーンがかなり印象的ですね。
彼女が求めたものである「普通の学生の日常」を、東さんは計画とはいえ、与えてあげていたんですね。
東さんは、アイドルになるために結束力を高めていたのですが、それは偽りのものではなく、ちゃんとくるみちゃんたちと向き合ったからこそ生まれた結束力なんですよね。
よく考えるとかなり対照的な2人ですよね。
元々天才で人気者で有名人のくるみちゃんと、才能とアイドルとして人気になることを欲している東さん。
素の自分で人気が出ているくるみちゃんと、努力しているけど人気とはいえない東さん。
東と西でもありますし、彼女たちは分かりやすく真逆の存在として描かれていたのかもしれません。
そして、美嘉さん。
彼女は既に小学生の時に救われています。
東さんは何気ない一言で彼女をいじめから救っており、そこから変わろうと努力してきた美嘉さん。劇中でも「東さんのファン一号」と言っています。
美嘉さんの中で、東さんはずっとヒーローであり、間違いなくアイドルだったのだと思います。
最後の「恋愛ってそんなに大事?」の会話は、東さんの「アイドルを目指すものとして変わらないスタンス」を見せながら美嘉さんへ心を開いて本音で話す大事なシーンだと思いました。
アイドルという存在
ここまで振り返ると、アイドルを意識している時も、していない時も、関わる人を笑顔にはしているんですよね。
そして東さんの嫌なところも、良いところも受け入れてくれる友人を得ることができ、最後は東さんも救われるという。
マジで泣ける。
東さんがアイドルになるために選んだ3人は、間違いなく東さんにとってのアイドルだったし、東さんもまた3人にとってのアイドルになっていたのだと思う。
そこから互いに偶像を押し付けるのではなく、本音で話し合えたからこそ友達という関係が出来上がっていたのだと感じました。
この映画の裏のMVP「シンジくん」
最初の「制服がすき」発言から、大丈夫かと思っていましたが、
ものすごい良い奴のシンジ君。
東さんの裏の顔を唯一知っていながら、その夢を支えてくれている。
物語序盤で、ある意味で東さんの良いところも悪いところも肯定してくれている存在がシンジ君でもある。東さんは既に、得難い存在を得ていたのね。
後半全く出番がなかったのが、残念なポイント。
グループが解散したと知れば、真っ先に連絡してくれそうなものだが。
と思いましたが、彼が途中から全く登場しなくなったのは、ある意味で東さんを想ってのことかと考えました。
妄想なんだけどね。
アイドル活動で、男の存在はかなり邪魔になるのは劇中でも描写されていたし、ちゃんと東さんとの喫茶店での会話で言ってるのよね。
「最後のデートだ」って。
これからの東さんを邪魔しないために、徹底して会うことを避けていたんだと思うと、マジで泣けてくる。ほんとにいい男だよお前は。
出来れば、東さんが落ち込んで爺さんたちに話しかけられるシーンで登場してほしかった。
最後の写真のシーンもいいよね。
一番大きな写真が、あの文化祭の写真だからね。
もしかしたらシンジ君にとって、東さんは最初に会った時からすでに、アイドルに見えていたのかも。
それは言い過ぎかもだけど、シンジ君は星を撮影することに自身の夢を見出していたので、星のように輝いている東さんや他愛のない青春を送っている彼女たち4人が輝いていると感じていたのかも。
星の写真の展覧会に、彼女たちの写真を展示してるのはそういうことだったのかも。
彼女たちの青春は、自然の輝きに負けないくらい輝いていたんだと、伝えたかったのかもしれません。
最後に
映画を見終わって、トラぺジウムについて調べてみたら
もうさ。この作品にピッタリじゃない!
星の名前なのもそうだけど、どの辺も平行でない四角形って!
みんなが同じ方向を見ていないけど、4人でちゃんと形を作っている。
東西南北のみんなを綺麗に表現してくれているのよね!
天才やん。
長くなりましたが、これがトラぺジウムをみた直後の感想となります。
見終わってすぐに本屋に走り、原作を入手いたしましたので
そのうち追加の感想が入ります。
なんだったら、来場者特典の新しいものが来週から配布なので、2回目も見に行ってきます。
そして、劇中歌もよかったのでCD買います。
オタクってこういうとこあるよね。
マジで見てよかったと思いました。
興味がある方はぜひ劇場へ!
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