逆光
沖合から見つめる
炎を
囲むように
言葉の
見えない影たちは
回る、熱は息を
巻き込んで昇る
舞い灯籠の夢の中、
生きている
見たこともない街や蝶の羽ばたき、はじめて
転んだ痛みに耐える子供、日向のベンチを
選んだ猫の背に風の白い毛並み、流れるように
渡る海鳥、いつか打ち上げられて
朽ちたボートの惜しみない記憶に
耳をあてる、砂を鳴らす
ここに
来た時には
はじまりと終わりが溶けた回転に
うまく刃を入れて
開かれていた、
未来の痕跡が、途切れたままの時間から
漕ぎ出して向かう、みなもで
雪のにおい、空に知らない植物の
綿毛の群れ