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冬扇



口もとを
行き来する影が、不用意な言葉を
隠せずに、つづくメロディーも
滲んだ あたたかい
冬に孵す
歌の、そばで咲こうとしている
花々は、
自分たちのために ここへ来たわけではないと
知っていた
眼差しに
 
耳を澄まして
 
花弁が降り注いでいた背中の
とどかない場所に
触れていた大きな影、声にならない
歌が、舞い上がっていた世界、少しの間
覚えていてくれる人がいた、世界、ここから
送る風が
灰を
崩す柔らかな






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