全米が泣いた、夫婦が泣いた、娘からの手紙
「父の日」。出張から帰る新幹線の車内。
おっ!珍しい。少6長男からでした。
奥さんに「今日は父の日よ」と言われ、思い立ってメールをくれたのでしょうか。こんな事は今までありません。新幹線の車内で、思わず顔が赤くなりました。
家へ帰り、すぐに息子に「ありがとね。嬉しかった」と伝えると、苦笑いしながら
「1円しか持ってなかったから……」
健気のかたまりか…金じゃない。その気持ちが大きなプレゼント。ありがとう。ポケットに入っていた100円を息子にあげました。
🎁 🎁 🎁
リビングへ行くと、5歳末娘が走ってきました。今日は、奥さんと鬼滅の刃のイベントを楽しんできたそうです。
「楽しかったかぁ?」と聞くと、今日、手にした戦利品を色々見せてくれました。それらの脇から、こんな可愛いものが出てきました。
「はい、パパこれあげる」
奥さんのお腹に子どもが出来てから、完全にママっ子になった娘はここでも「ままパパ」とまま優先。ウケる。
中には、私の一番好きな鬼滅キャラ時透無一郎のアクアビーズやプラバンにお手紙まで。
また、まま優先……ままにパパが、サイドメニューのようにくっついている感じなのかな?まぁいいか。
ちなみに左のは信号機。ではなく炭治郎の耳飾り。ままとパパ、一つずつ、つけるようにと命じられました。
ありがとう。これは可愛い贈りものだ。
家族からのプレゼントを集めているボックスに入れました。宝物がまた増えました。
🎁 🎁 🎁
喜びに浸りながら風呂に入り、出てくると、リビングのテーブルに、私の好きなソフトサラダせんべいとみんなに内緒でよく食べていたクリーム白玉ぜんざいがありました。
「はいどーぞ」と中3長女。
せんべいに貼られていた紙を見ると、裏側にびっしり文字が書かれていました。
「あかん……これは全米が泣くやつや……」
長女の手紙……
少し前の母の日を思い出しました。
💭 💭 💭
母の日に、長女は大きなイチゴがたくさん入ったフルーツサンドを奥さんにプレゼントしました。手紙を添えて。
その手紙を読んだ直後、奥さんの頬からすぅーっと音も立てず、涙がこぼれ落ちました。
えっ、どういうこと?と思った瞬間、
奥さんは無言で長女を抱きしめました。長女も大きな声を出し、泣きだしました。1分ぐらい何も言わず、抱きあっていました。
それは、とてもとても温かく素敵な光景でした。
翌朝、奥さんにお願いし、手紙を読ませてもらいました。
✉ ✉ ✉
この前、子どもができた。と聞いた時、素直に喜べなくてごめんね。自分勝手な事ばかり言ったことをずっと、後悔してた。
こんなわがままな娘でも、いつも話を聞いてくれて、大切にしてくれるママのことが大好き。
これからはもっと自分の事をちゃんと出来るようにがんばる。わがままも言わない。ご飯もまた頑張って作るからね。これからもよろしく。
これは全米がなくやつや……と言って朝から二人静かなキッチンで、鼻をすすりました。
以前、子どもができたと伝えた時、長女は複雑な胸中をのぞかせていました。
なので、まさかこのような想いを伝えてくれるとは思ってもいませんでした。
そんな娘の手紙にやられた母の日。
父の日もまた手紙……。
心を十分に落ち着かせ、ゆっくりと手紙を読んでいきました。2度も同じワナには、かからないよ。
面白くて料理も上手な自慢のパパ。
いつもありがとう。
ふんふん、嬉しいな。こちらこそありがとう。
順調に読み進めていましたが、最後の一文を読んだ瞬間、私の中で、何かが崩れ落ちました。
賑やかで、さわがしいこの家が大好き。
生まれ変わっても、この家に生まれたい。
また、全米が泣きました。
これは、余命3か月の花嫁しか書いちゃいけない文章です。
全米が泣いた。夫婦で泣いた。子どもにたくさんのプレゼントをもらった。そんな父の日でした。
伝えなくても分かっているだろう。と思っていることも、伝えることで、より絆が深まることもある。
大切なことをまた娘に教えてもらいました。
私もみんなの誕生日には手紙を贈ろう。
あっ!!
そういえば、中1次女ちゃん、父の日の「ち」の字も言ってこなかったな。
まぁそれぐらいのバランスが、ちょうどいいのでしょう。
子どもたちが、自然にありのままに過ごせる家庭でありたい。
みんな大切にしよう。