春はもうそこまで来ている

久しぶりに奥さんと雰囲気が悪くなった。

理由は、ささいなことでした。

風呂にスマホを持っていくか、否か、問題。

以前より、やめて欲しいと言い続けていました。スマホを水没させて、故障してしまったら、それこそ大変なことです。

また奥さん＋子４人（中２・小６・小５・5歳）、みんなスマホを楽しみながら、ゆっくり入浴していると、大渋滞が発生します。

小5の息子ちゃんまでも、風呂にスマホを持って入り、お気に入り　B T S「ダイナマイト」の無限ループ。

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ダイナマイッ♪」と聞こえるたびに、私の導火線も短くなっていくようです。B T Sは関係ないね。ごめんね。

1人45分×4人、スムーズに入ったとしても３時間かかるのに、何度、風呂に入りなさい。と言っても、タラタラとスマホをさわっています。

どっちが先に入るかジャンケンをして、ようやく入った！と思ったら風呂でまたスマホ。そして、出てくる気配もない。。。。

ついに、私のダイナマイト爆発！

「スマホは、風呂で禁止じゃー！」

家族一同「えーーっ！！！！！！！」子どもたちから一斉のブーイング。長女は発狂。奥さんともけっこうな口論になりました。

その日、奥さんは「わかった」とは、言ってくれませんでした。しかし、翌日、家族のグループLINEを作り、こんな投稿をしていました。

故障したり、事故になったりする可能性があるし、大切なデータも全て消えてしまうから、スマホを風呂で使うのはやめとこうね。

と子どもたちにも伝わるように、丁寧にノートに書いていました。

いつも一歩も二歩も、私の気持ちの先を行く。奥さんはそんな人です。

グループLINEに招待されても参加せず、不機嫌あらわだった長女も2日後には、仕事で深夜に帰った私に「おつかれさま」と美味しい料理を作って待ってくれていました。

長女までも、私の1歩も2歩も先を行きます。奥さんと本当によく似ています。このように私の気持ちを追い越して、春がすぐにやってきます。

それ以来、奥さんとあまり話も出来ていませんでした。

数日後、私が休み。奥さんがリモートワークでした。仕事の合間にのんびり二人で、近くの河津桜を観に行こうと話していました。

しかし、家を出る直前に仕事のトラブルが発生し、奥さんはキャンセル。

1人、カメラ片手に実施した桜を観る会。

東京　旧中川の河津桜。20°近く、ぽかぽか春の陽気。

風が強く景色も澄んでいて、スカイツリーも綺麗に見えました。

しかし、暖冬で開花が早かったこともあり、すでに半分以上、桜は散っていました。

開花宣言前に雄大に咲き、ひっそりと散る河津桜。いつも先を行く奥さんに見えてきて、何だかおかしくなってきました。春の陽気のせいでしょうか。

春はもうそこまで来ていました。

まだ咲いている桜を見つけては、夢中でシャッターを押していました。

奥さんと一緒に観たい景色でした。

取り残された私のように今頃、満開を迎えた桜も少し。

写真を撮っているのは、私と、彼女がピンク色の綺麗なアオザイを着ている東南アジア系のカップルのみ。

彼らに「チョットソコイイデスカ？」と言われるほど、夢中になって撮影していた風景。

ここ満開だったら綺麗だったろうなぁ。奥さんがそこにいたら最高だったね。来年は一緒に来よう。


寝そべって、ニヤニヤしながら、写真を撮っていたら、散歩中のお婆ちゃんが、優しく微笑みかけてくれました。

不審なものではありません。わたしは妻を探しています。

春はもうそこまで来ていました。

家へ帰る途中に、美しい桜に出会いました。

寒緋桜（かんひざくら）

河津桜の原種と呼ばれている桜。下を向いて恥ずかしそうにしている姿が愛らしい。寒緋桜を撮りながら、奥さんにメールしました。

「仕事終わりそう？昼、ラーメン行く？」

「絶対行く。頑張って終わらせる」

桜に誘った時より、数段いいレスポンス。

奥さんは、ラーメン大好き女子。まさに花より団子とはこのことです。

こういうところも、とても好きです。

奥さんが愛する田所商店のコッテリ濃い「炙りチャーシュー北海道味噌ラーメンDX」

ここにチャーハン、餃子を加えたゴールデントリオを食べながら、今朝の会話を思い出しました。

👨「今日、河津桜　観に行かない？」

👩「目玉焼き食べる？」

👨「えっ！さっきの僕の話、聞いてた？」

👩「とりあえず食べる？食べない？」

👨「食べる……」

常に私の一歩も二歩も先を行きます。そして目の前で、ラーメンを幸せそうに食べています。

ラーメンを食べ終わって「あー幸せ！このまま目をつぶってしまいたいね」と二人であたたかな陽光に包まれ、微睡んでいる時間に春を感じます。

また桜を一緒に見にいこう。

そして、またラーメン食べよう。

春はもうそこまで来ている。

ここに春がある。