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40−3. 最新版☆「ゲーム依存」の理解と支援

(特集:心理職の専門性の基盤を創る)

花井博(愛知県公立学校SC みよし市教育センター)
下山晴彦(跡見学園女子大学教授/臨床心理iNEXT代表)

Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.40-3

注目新刊本「著者」研修会

「ゲーム依存に対するスクールカウンセラーの総合力」を養う
−今の時代に必要な「ケース理解×チーム作り×スキルアップ」−

【日時】2023年11月23日(木曜:休日) 9時〜12時
【講師】益子洋人  北海道教育大学准教授
    花井博   愛知県公立学校SC みよし市教育センター
    松丸未来  東京都公立中学校S C 私立小学校S C

【注目新刊書】『ガイドブック あつまれ!みんなで取り組む教育相談』
(明石書店)
https://www.akashi.co.jp/book/b614338.html

【申込み】
[臨床心理iNEXT有料会員](1000円):https://select-type.com/ev/?ev=Wo6LMv_U6To
[iNEXT有料会員以外・一般](3000円) :https://select-type.com/ev/?ev=QqpgKZVmLgU
[オンデマンド視聴のみ](3000円) :https://select-type.com/ev/?ev=rdtauk6yLHY

https://www.akashi.co.jp/book/b614338.html


ご案内中の注目新刊本「訳者」研修会

「精神科診断に代わるアプローチPTMF」を学ぶ
−心理職が医学モデルの“くびき”から自由になる道筋を知る−

【日時】2023年11月12日(日曜) 9時〜12時
【講師】石原孝二/白木孝二/辻井弘美/松本葉子(訳者)

【注目新刊書】『精神科診断に代わるアプローチPTMF』(北大路書房)
https://www.kitaohji.com/book/b620327.html

【申込み】
[臨床心理iNEXT有料会員](1000円):https://select-type.com/ev/?ev=zuGfiknaIIU
[iNEXT有料会員以外・一般](3000円) :https://select-type.com/ev/?ev=78utH-Epp5A
[オンデマンド視聴のみ](3000円) :https://select-type.com/ev/?ev=H1aIsjlV0ko

https://www.kitaohji.com/book/b620327.html


1.「ゲーム依存」対策は、心理職全体の必須課題

私たちは、デジタル技術の発展で半ば現実(real)世界を生き、半ば仮想(virtual)空間を生きるようになった。そして、それが心理的問題と深く関わってきている。特に子どもや若者にあっては、不登校も、イジメも、引きこもりも、「現実と仮想の往来」が問題の発生要因となり、維持要因となり、悪化要因ともなる。

それと関連して最も手強いのが「ゲーム」である。ゲームは、子どもにとっても大人にとっても豊かな体験をもたらす。しかし、現代のデジタルゲームは、利用者を虜にする刺激を繰り出す。しかも、ネットゲームは、オンラインで現実の他者とも繋がり、深刻な「ゲーム依存」を引き起こす。現代の心理支援は、このゲーム依存に対処できることが必須課題となる。

そこで、冒頭で示した研修会では、「ゲーム依存とは何か」を知り、その対処法を学ぶことを通して、現代の心理職として総合的なスキルアップを目指す。そして、現代社会における「スクールカウンセリングの新しいスキルモデル」を提案する。以下に、研修会講師の花井博先生に「ゲーム依存」に関する理解と支援の最前線のお話を伺う。スクールカウンセラーでありゲーマーでもある花井先生は、現場で「ゲーム依存」に日々向き合っている。

なお、ゲーム依存のような現代的問題に対しては若手と中堅、ベテランの心理職が協力して新しい心理支援の方法を創造していかなければならない。そのために臨床心理iNEXTでは、全国の心理職、さらにはスクールカウンセラーが参加し、助け合い、知恵を出し合ってスキルアップをしていく場となるiCommunity※)を開設した。研修会では、そのiCommunityの紹介も行う。

https://cpnext.pro/lp/icommunity/


2. 今、なぜゲーム依存なのか?

【下山】今日は、ゲーム依存の問題をどのように理解し、問題の解決を支援したら良いかを伺いたく思っています。私が若い頃には、今のようなゲームはなかったので基本的なことから教えてください。まずは、花井先生がゲーム依存に取り組まれるようになったきっかけからお話いただけますか。

【花井】コロナ禍がきっかけでした。コロナ禍になって親御さんから「子どもがゲーム依存状況になって困っています」というご相談がすごく増えてきました。ゲームの売り上げ規模で見ても、2020年に17%ぐらい跳ね上がったんです。ゲームはコロナ禍の中でもできるということで爆発的に広がり、依存状況になってしまう子が増えてきたわけです。
その時、「これから先、ネット社会が縮小することはない中で、ゲーム依存が広まっている。それなのに、僕たち心理屋は、ゲーム依存にある子たちの支援ノウハウがどれくらいあるのか」と考えたんですね。結局、「ゲームは1日1時間だよね」とか「できれば少なくしようね」とか、お仕着せ的なことしか言えない自分がいるなと思ったことがきっかけです。


3. ゲームにハマるということ

【花井】その反面、自分自身が、子どもの頃も、今もですが、ゲーマーだったということがありました。だから、「そのようなお仕着せ的な言い方が子どもの頃の自分に届くか?」と考えたとき「届かないな」と思ったわけです。そこから、ゲーマーであるクライアントさんに自然に言葉が届くようにするにはどうしたらよいだろうかと、支援者・心理士としての自分とゲーマーとしての自分両方に軸足を置きながら考えはじめました。

【下山】今のお話を伺うと、ゲームが魅力的に進化しながら子どもに取り憑く事態が確実に進行していますね。ゲームは、コロナ禍を通して子どもにとって、より身近になった。それは、子どもがゲームを求め、ハマっていく社会状況に、どんどんなってきているということですね。
まさに子どもや若者がゲームにハマる仕組みを提供した社会が、逆にそのゲームにハマる子どもや若者にどのように関わるのかといった課題と直面するようになってしまった。ゲームの特性もあって、大人が「ゲームを止めなさい」と言って済む話ではないわけですね。確かに美味しい食べ物を与えておいて、それを取り上げることは、酷い話ですね。
花井先生はご自身がゲーマーであるということで、ゲームの魅力にハマる気持ちも共感もできる。だから、十分ゲームの特質を理解しないで介入しても、それは問題をこじらせるだけになることをよく承知しているわけですね。とはいえ、ゲームにハマってしまう事態は、依存状態でもある。依存症という観点からは放っておけないですね。


4. 子どもがハマる最新ゲーム事情

【下山】では、どうしたらよいか、ということですね。この難題に取り組むにあたって、まずは昨今のゲーム事情を教えていただけますでしょうか。

【花井】私は、ゲーマーの中ではちょっと古いタイプのゲーマーだと思います。つまり、ファミコン(任天堂)を出してきてカセットをガチャッと挿して電源つけてというようなゲームです。そこから今のゲームを眺めると、圧倒的にスマホの中のゲームが多くなります。
もちろん今もSwitch(任天堂)やプレステ5(PlayStation 5:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)というゲーム機を使うゲームやPCを使うゲームもありますが、75%ぐらいはスマホの中のゲームアプリを使ってプレイという形になっています。常に持ち運んで、アプリをポチッとするともう始めることができるわけです。ちょっと座ったときに開いて始めてしまう。そうなると、よりコントロールが難しい。生活の要所要所に染み出してしまう。
それから、通信機能が備わっているので、ゲームの先に友達がいる。リアルの友達であることもあればネット友達の時もありますが、そこには友達がいる。「あの子がログインする時間だから自分もしよう」となって、日々ログインしたくなる。また、昔だと5000円〜8000円くらいでゲームカセットを買わなければ始められなかった。しかし、今は、基本プレイは無料でできたりする。そのような間口の広さ、入り易さがハマり易さを助長しています。


5. 生活に侵入し、日常化するゲーム

【下山】ゲームは、本当に生活の一部になっていますね。本来であれば、夜は家族の生活の時間だったのが、通信を介してそこに家族以外の人が入ってくる不思議な現実が日常になってきている。ゲームが日常に入ってくることは、そのような今までなかった生活のあり方が出てくるということですね。

【花井】それは、ゲームだけの特殊な状況ではなくなっています。昔は会社から帰宅すれば家族の生活になった。しかし、今はオンラインで会社のミーティングもあるようになっている。そのように色々な仕切りをつけにくくなっていることがある。会社のミーティングならイヤイヤやっているかもしれませんが(笑)、自ら望んで行うゲームは特に生活に入り込みやすいですね。

【下山】10年ほど前に「虐め」の調査研究をしました。以前は学校で虐めがあっても、家に帰れば逃れられた。しかし、ネット虐めになると、帰宅してからも24時間虐めがついてくる。しかもその情報が一気に拡散する怖さが、新たに生じた。そうなると、虐めに関わる関係者だけでなく、虐めのあり方そのものが本質的に変化し、その対策も本質的に変更することが迫られた。ネットゲームの出現は、同様に本質的な変化をもたらしたわけですね。

【花井】本当にそうですね。実際に会っていなくても、人とのやり取りができる。物理的に遠くにいても、指先の操作一つで会えてしまう。指先一つで相手を傷つけてしまう。そこには、物理的な遠さとは関係なく、“近さ”が出てきている。人間関係が非常に難しい時代になってきていると思います。


6. 一人一人のゲーム体験は異なっている

【下山】今の子どもは、私たち世代が経験したものとは異なる人間関係を生きているとも言えますね。そうなると、どのような心理支援をするのが良いでしょうか。心理支援の基礎となるのは、共感ですね。では、ゲーム依存の子どもにどのように“共感”したら良いのでしょうか。
子どもがハマっているゲームがどのようなものかをある程度知らないと、そもそも共感はできないでしょう。その点で心理職は、子どもを惹きつけるゲームとはどのようなものかを知らないといけない。今回の研修会では、それについてぜひお話をいただきたいと思っています。

【花井】やっぱり最低限を知っておくことは大切ですね。例えば、学校で多くの子どもに関わるときには、この中にトラウマを抱えた子がいるかもしれないということで、トラウマに関して一定程度知っておくことは必要ですね。その上で、その子の状況を聞いていく。それと同様にゲームにおいても、ある程度ゲームに関する知識を持つ。
その上で、それを押し付けずにその子の体験を聞いていくことが重要だと思っています。それは、一人一人のゲーム体験はそれぞれ違っているからです。
それを無視して、持っているゲームの知識を押し付けたならば、「この人、何言ってんだ!」となってしまう。ですので、やはり「君の経験を聴かせてほしい」という態度が大事ですね。

【下山】なるほど。ゲームの知識だけでなく、一人一人のゲーム体験は違うことも知っておかなければいけないですね。


7. 単純に「止めなさい」では済まないゲーム依存

【花井】そうですね。最終的にその子が自分の生活の中のゲームのあり方をコントロールできるところが目標としても、最初はアンコントローラブルな状況から始まります。そういった状況の時にゲームのことを肯定的に聴いてくれる相手がいるとなったら、「このように聴いてくれる人にだったら、ちょっと話してみてもいいかな」と思ってもらえる。そこで関係をつないでいくことが重要だと思います。

【下山】ゲームは、ネットを通して生活の中に入りこみ、そこには人間関係も深く関わっている。そうなると、ゲーム依存があったとしても、単純に「ダメだ!」とは言えないですね。ほどほどにゲームを楽しむならば良いのでしょうが、それが“依存”となると難しいですね。そもそも「ネット依存」というのは、どのような状態でしょうか。

【花井】子どもたちを対象としたゲーム依存に関する実態調査はまだまだ少ないのですが、富山大学が小学校高学年を対象に行った実態調査によると「5.6%の児童が、ゲーム依存を疑われる状態にある」とのことでした。ただ、ゲーム依存の概念そのものがまだ確立しきっていないということもあります。診断基準としては、ICDでは第11版から「ゲーム障害(Gaming disorder)」が収載されていますが、DSMの方では「インターネット・ゲ一ム障害(Internet Gaming Disorder)」が今後調査研究を進めていくべき項目として挙げられている段階で、現時点ではまだ診断基準として定まったものにはなっていません。
「物質的刺激の薬物依存などに類する離脱症状が果たしてあるのか」、「行動刺激として離脱症状が生じるまで強いものなのか」といったところが、まだ確定しきっていないのだと思います。それと関連して私たちも、ゲーム依存にある子どもの困難はどのようなものかを学んでいかなければいけないと思っています。

【下山】物質依存とゲーム依存では、共通点と相違点があるのでしょうね。


8. ゲーム依存の背景にある複合的要因

【下山】ところで、ゲーム依存の独自な点とは、どのようなところでしょうか。

【花井】単にゲーム単独で依存状況を引き起こしているというよりは、他の要因が絡んでいることが「ゲーム依存」の特徴と思います。例えば、その子が他に楽しめる余暇活動やホッとできる居場所を持っていなかったり、不登校などでその子自身が辛い状況があって逃げ出す先が欲しい気持ちを強く持っていたりといった要因も関連しているでしょう。
さらに、その子の周りに支援者がどれくらいいるかといったことも含めた複合要因の中で起きてくると思います。だからこそ、総合的なアプローチをしていかなければいけない状況だと思います。

【下山】なるほど。「ゲームばかりしているから勉強しない」とか「ゲームをしないように言ったら親子関係が悪くなった」などと言われることが多くあります。しかし、今のお話で行くと、「勉強が面白くないからゲームをする」「親子関係が良くないからゲームをする」という逆の因果もあるわけですね。


9. ゲームだけが悪いわけではない

【花井】そこはすごくあります。私が、ゲームの問題に取り組み始めたのは、親御さんから「子どもがゲーム依存で困っています。」とか「子どもがヘッドセットして夜な夜な殺し合いのゲームしている。それで夜眠らなくて昼夜逆転が起きているんです。」「それで学校に行かないんです。家族にも暴言吐くんです。」という相談が増えたということがありました。
そこには、「ゲームが元凶で、その結果として色々と弊害が起きている」という見方が強くなり易いということがありました。しかし、ゲームは要因の一つではあるけれども、実際には、それ以外の複合要因が関わっている状況なわけです。そのような困難にある子どもたちを支援する心理士としては複合要因が関わる環境全体を見ていくことが必要ですね。

【下山】子どもや若者にとってゲームは、生活そのものであり、自分の在り方そのものにもなっている場合がありますね。それに対して「問題の原因はゲームだ」「ゲームが悪いんだ」と決めつけられたら、それは、その子を否定することにもなりますね。それで、その子は、追い詰められていく。そして、ますますゲームにハマっていく。このようにしてゲーム依存の問題が作られていくことになりますね。


10. ゲームにハマっていく負のスパイラル

【花井】そうですね。さらに親は、「今度のテストいい点数取ったらゲーム1本買ってあげるよ」と言ったりする。しかし、それは、ひっくり返すと「点数落ちたら、ゲーム取り上げね」ということだったりする。
そのような辛い状況になればなるほど、子どもたちはゲームからますます抜け出せないことになっていく。しかし、大人からすれば、ゲームばっかりやってますます点数が落ちたり子どもとコミュニケーションが取れなくなったりと生活が難しい状況になっていく。その繰り返しの中でさらに対立構造が深まっていく。このスパイラルは本当に難しい部分だなと思います。

【下山】成績低下にしても不登校にしても、問題形成の悪循環の中にゲームが入ってきているわけですね。このような問題の解決をどのように支援していくかは、子どもと関わる心理職全体の重要テーマですね。特にスクールカウンセラーにとっては、日々の活動で直面する最重要課題と言えるでしょう。


11. 動機づけ面接を活用する

【下山】この点について、現場のスクールカウンセラーとして、ゲーム依存にどのように関わっていくのが望ましいと考えておられますか。

【花井】私がすごく頼りにしているのは、動機付け面接の考え方、捉え方です。「やっぱりこのままでいたい」という部分と、「でもこのままだとさすがにね」という部分の両価的な感覚は持っている子が多いですね。しかも、それを分かりやすい言葉で言ってくれないということもあります。
最近あった例では、「そろそろゲーム抜けたいんだけど」という意味で、「今、作業ゲーになっとる」という言い方をした子がいました。それは、「もうゲームが楽しくなくて、ただ単に日々のゲーム上のクエスト(ゲーム上の任務)をこなしているだけ」、「新しいアイテムが手に入っても今はもう何の嬉しさもない」、「レベルが上がっても“ふ〜ん”みたいな感じでやってるだけ」、「もう他にやることがないし、だからといって勉強をやろうと思っても内容が分からないし」という状態を意味している言葉でした。つまり、「本来楽しいはずのゲームが作業になってしまっている」という意味で、「作業ゲーになっとる」という表現になっていたわけです。

【下山】「作業ゲー」というのは、そういう意味なんですね。知らなかった。

【花井】そういった時の、この子の中にある変化への希望、変化へ向かいたい気持ちがあることを捉えていくことが大切と思っています。そのために、その子の言葉に合わせていくことです。


12. チームでゲーム依存に関わる

【下山】ゲーム依存には、その子を取り巻く心理社会的な要因が関わっていますね。しかし、だからと言って直ぐに、心理的な問題は認知行動療法で支援し、社会的な要因は教師や親とのチームで支援するというわけではないのですね。まずは、子どものアンビバレンツな気持ちに寄り添うことが重要ですね。その上で、心理社会的な支援はどのようにしていくことになりますか。

【花井】自分は主にはスクールカウンセラーの立場で支援活動を行っていますが、スクールカウンセラーが単独で「ゲーム依存」に関わるというわけではありません。登校している子であれば、担任の先生が一番長い時間関わることになります。教育相談担当の先生や養護教諭なども関わります。そのようなメンバーがチームとして関わる場合には、その子のゲーム依存に対して誰がどういう役割を取るかという役割分担はすごく重要になってきます。
その点で11月23日の研修会で益子先生が解説する教育相談体制の構築が重要となります。学校の持つ教育相談体制を、その子に合わせてアジャストしていく。それがすごく大事な視点となります。
それと関連して、注目新刊本となっている益子先生のご著書は、ゲームに取り組むという形で見立てた教育相談の解説になっているので役立ちます。今の子どもは、クエストをこなしていくゲームに日々親しんでいるので、そういったクエスト的なゲーム的な要素が入っている雰囲気については、親しみが持ててホッとするという面があると思います。
それから、子どもが自分自身を変えていきたいという気持ちが出てきたときに、松丸先生が解説する認知行動療法が役立ちます。自分の変化をモニタリングしていく。そこで自分自身の次の目標を立てていく。そこにカウンセラーが寄り添っていく。そのためには認知行動療法のアプローチがすごく役立ちます。


13. 心理支援の総合力が試される

【下山】先ほど話題になったように、一般的にはゲームが悪者にされがちです。しかし、実際には、「ゲーム依存の問題の背景」として家族や地域や、さらには学校の状況が深く関わっている。そのような複合的な問題がゲーム依存という事態として現れてきているとみることができますね。
そのように考えると、「ゲーム依存の背景にある本当の問題とは何か」を探り、それを解決していくことをクエストとして、本人、心理職、家族、教員などがチームを組んでゲーム依存に取り組むことが大切になりますね。そこでは、心理支援の総合力が試されるということになりますね。

【花井】本当の問題は、その子自身の学力の不振なのかもしれない、あるいは対人関係や友達関係なのかもしれない。自室に篭りたくなる要因を抱えた家庭なのかもしれない。どこにその子の困難があるのかをアセスメントして、トータルに支援していくことが何よりも大事だと思います。

【下山】11月23日の研修会「ゲーム依存に対するスクールカウンセラーの総合力」を養う−今の時代に必要な「ケース理解×チーム作り×スキルアップ−」が益々楽しみになってきました。今日はどうもありがとうございました。

■記事校正 by 田嶋志保(臨床心理iNEXT 研究員)
■デザイン by 原田優(公認心理師&臨床心理士)

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臨床心理マガジン iNEXT 第40号
Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.40-3

◇編集長・発行人:下山晴彦

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