ハラハラドキドキ!発達支援−これで良いのか!知能検査−
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1. 発達障害支援は、心理支援のど真ん中
今回のマンガ☆ジンのテーマは「発達支援」。特に発達障害のある人の心理支援は、どの分野の心理職にとっても主要業務となっている。教育分野では学校などでの教育支援、産業分野では就労支援、福祉分野では生活支援、司法分野では犯罪対応、医療分野では症状化した2次障害の治療など、すべての分野で発達障害支援が重要なテーマとなっている。
しかし、発達障害者支援法が2005年施行であることからわかるように、発達支援は、まだまだ新しいテーマでもある。そのため、発達障害の理解と支援においては、さまざまな混乱が生じている。特に発達障害の診断には誤りが散見される。そもそも発達障害はスペクトラムであり、疾患ではない。正常と異常の区別が明確ではない。正確な診断ができないのは当然なのだ。
そこで発達障害支援では、心理職もクライエントも試行錯誤しながら支援の方法を探ることになる。試行錯誤といえば、ハラハラドキドキ心理職の出番だ。ドタバタの中で、より良い発達支援を探っていく。
2. とあるメンタルクリニックで出会った心理師3名
3.いよいよ始まる!ハラハラドキドキ!発達支援
4.ところで、「発田けんし」とは何者だ?
まず「発田」は、「はつだ」ではなく、「はった」と読む。私のP Cでは、「はった」を漢字変換すると、なぜか「発達」が最初に提示される。
次に「けんし」の漢字はないのだろうか。私は、「剣士」や「犬歯」を連想した。一見すると、「剣士」のようにニヒルな印象だ。検査が得意ということである。「剣士」のように検査を使いこなしているのだろうか。「犬歯」と言えば、一般的には10歳〜12歳頃に生えてくる。ここでも何か「発達」と関連しているニオイがする。
そういえば、シンガーソングライターの「米津玄師」の名前は、「けんし」となっている。彼は、シンガーソングライター以外に音楽プロジューサー、イラストレーター、映像作家
など、幅広い活動をしている。
「発田けんし」は、「優秀な心理師」として絹無心理師と不破心理師に紹介されている。「発田けんし」は、「米津玄師」のように多彩な能力を持っていて、知能検査や発達検査を縦横無尽に使いこなしているのかもしれない。そう考えると、「けんし」は、「けんさ」と発音が似ていることも気になる。考え過ぎかな。
5. 何故か? 知能検査依頼で頭を抱える発田心理師!
6. 発達障害アセスメントに切り込む発田心理師!
7. 発田心理師の“こだわり”は、メンコ愛を超えるか?
発田心理師は、かなりのメンコ好きのようである。それが高じてケンサ愛に発展したようだ。メンコ愛の進化系が検査を得意とする発田心理師の現在の姿と見ることできる。まさに自己実現なのだろう。
ところで、発田心理師は、「発達障害があるかどうかは、知能検査を受ければわかる」という言説の誤解を強く指摘する。この誤解は、医師、さらには心理職の間でまだまだ残存しているようである。確かに今だに「発達障害診断のために知能検査をお願いします」との依頼がクリニックなどから来ることが多い。
これは、「発達障害は、知能検査の結果に凸凹があるかどうかでわかる」という都市伝説が未だ信じられているためである。このような誤解の結果、発達障害と誤診され、誤ったラベルを貼られた場合、どのようなことが起きるのだろうか。
発田心理師は、このような誤解や誤診が起きている深刻な問題事態を改善しようと戦っているのかもしれない。あるいは、メンコ愛の進化系として検査への“こだわり”が、誤った検査使用を許せないだけなのかもしれない。これについては、今後の成り行きを見ていきたい。
8. 発田心理師も懸念する遊戯療法の限界
日本においては、発達障害の診断やアセスメントに問題があるだけではない。発達支援の方法においても多くの課題を抱えている。発達支援でしばしば用いられるのが遊戯療法である。ところが、従来の遊戯療法では、発達障害のある子どもの支援に適していないという限界があった。
日本における従来の遊戯療法では、プレイルーム内での遊戯療法のみに焦点が当てられていた。しかも、子どもを基本的に自己実現の力を持った善の存在とみなし、遊びを通して子どもの自己表現を促すことに主眼を置く「子ども中心プレイセラピー」が中心となっていた。
そのため、従来の遊戯療法では、プレイルーム内での行動や表現に焦点が当てられ、その意味が解釈される傾向が強かった。また、一定程度の自己実現の能力(≒遊ぶ力“)があることが前提になっていた。
このような従来の遊戯療法の方法論では、発達障害や虐待などの定型発達が困難なケースや、現実場面での行動調整が必要なケースにおいて、発達支援のためにどのように遊戯療法を活用するのかについての見通しが持てないという限界がある。おそらく発田心理師は、このような遊戯療法の限界を知ったら、知能検査同様に頭を抱えるだろう。
9.発田心理師に教えたい「認知行動☆遊戯療法」研修会
そこで、臨床心理iNEXTでは、子ども支援のエクスパートである小倉加奈子先生(成仁病院 こころの発達支援室)を迎え、「認知行動☆遊戯療法」を学ぶ研修会シリーズを開催する。本研修会では、日本では紹介されてこなかった「認知行動療法をベースとした遊戯療法」を基礎から応用に向けて段階的に、そして体系的に学ぶことができる。
「認知行動☆遊戯療法」は、クライエントの問題の見立て(ケースフォーミュレーション)に基づく構造化を行うので、発達障害の子どもにも適用できる。本誌の冒頭でご案内したのは、その第1回となる「現場で役立つ遊戯療法の基本」研修会となる。
10. 「認知行動☆遊戯療法」研修会シリーズの目的
「認知行動☆遊戯療法」研修会シリーズでは、上記の第1回に続いて、第2回と第3回の研修会が、下記要領で開催される。心理職が現場で出会う子どもの事例では、「問題が維持されている背景がわかりづらい」、「子ども自身の動機づけが低い」、「長期間支援をしているのに日常生活での変化が起こりづらい」、「保護者の理解が得られない」等、子どもの事例特有の “つまずき”が起こることがある。
そこで、「認知行動☆遊戯療法」研修会シリーズでは、このような“つまずき”に対処するのに役立つ、認知行動療法のアプローチをご紹介する。子どもの主体性を育む遊戯療法を基礎として、その主体性を現実場面に定着させるために認知行動療法のケースフォーミュレーションを活用して環境を調整し、「考え方」や「行動のあり方」を変えていく「認知行動☆遊戯療法」の方法論と技法を解説する。
第2回、第3回の参加受付は、後日、臨床心理マガジンや臨床心理iNEXTサイトでご案内する。
■記事制作 by 田嶋志保(臨床心理iNEXT 研究員)
■デザイン by 原田優(公認心理師&臨床心理士)