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1990年 工業製品と手作り製品の価値が逆転した瞬間をさぐってみた

いつの時代にも歴史の教科書には載らない、その時に生きた人しかわからない空気感みたいなものがあります。

私が小さい頃、1980年代、母親が「それはメーカー品だからいいものよ」と良く言っていたのを記憶しています。

「メーカー品」って言葉は今は使う人がいませんが、日立製作所とか松下電器産業とかちゃんとしたメーカーが作った製品ってことですね(たぶん)。

あの当時は、工場で大量生産される規格品が何より価値がありました。なので、有名メーカーが作る製品は、いまで言う「ブランド品」みたいな文脈で「メーカー品」と言ってありがたがっていたのだと思います。そして、工芸品などの「手作りの製品」は、なんとなく品質が安定しておらず、下に見られている空気感があったのを覚えています。

そして私が中学生の頃、1990年、社会の授業で先生が
「工場で作られたものと、手作りのものどっちがいい?」
って質問したんです。何の話の流れかは覚えてませんが。

そして私の友達が指名されて、かなり悩み「う〜ん、手作りのほうがいいですね。」って答えると、先生は予想した答えと違ったのか「手作り?工場で作られたものの方がいいでしょ」と言いました。

このとき、教室中に「???」の空気感が漂ったのを覚えています。

おそらくこの頃1990年頃に、工業製品と手作り品の価値が逆転していると思います。

例えば、この豆腐は一つ一つ職人が手作りしていますと言ったら、これ以前の時代は、いや手作りならおばあちゃんが作るやつと変わらないから、ちゃんと機械で作ってくれよって言っちゃうような価値観。それがこのとき以降は、職人が丁寧に作ってくれてとても手間がかかってておいしそうだとありがたがる価値観に逆転したのですね。

こんな風に社会の空気感が変わることってありますよね。でも歴史の教科書に記録されるわけでもなく、何となく忘れ去られていくのでしょう。この調子だと、戦前戦中とかも教科書に載らないもっといろんな空気感があったのだろうなと勝手に想像しております。

おわり。

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