【読書感想文・池上彰の行動経済学入門(池上彰 著)】システム1の反応を理解する
Audibleで「池上彰の行動経済学入門(働く君に伝えたい「本物の教養」)」を聴きました。
それ以前に、ダニエルカーネマンの「ファスト&スロー」という本を聴いていたのですが、行動経済学が初めてな自分には理解するのに少々難しかったので、途中から本書に鞍替えしました。(改めてファスト&スローは聴く予定です)
なので、少しファスト&スローの言葉や知識も入っているとは思います。
本書(池上彰の行動経済学入門)を聴いて、世の中は行動経済学で成り立っているな〜、と認識させられました。
本書によれば、元々経済学というのは、「人間は理性的な動物である」という仮定があり、その仮定の元で経済がどう回るかを予想していたら、予想とは違う結果が出て、「人間は非合理的な行動をとるぞ」という考え方に基づいてできた経済学とのことです。
例えば、スーパーなどでの商品の値段設定が298円となっているのは、300円よりもほんのちょっとしか変わらないのに、3より2が小さいがために、直感が買う気持ちになってしまうから、とか、「半額シール」があるだけ(実はその半額が定価だったとしても)で買ってしまいそうになるとか、がそうで、そういう直感に基づいた反応により、人間は行動しがちである、という考えに基づくと、色々辻褄が合うようです。
そこで、理性的に行動するよう人間は努めようとするわけですが、その「理性的な行動でさえ直感に左右されている」ということを知り、「理性的に行動しているつもりが。。。」と少し落ち込んでしましました。
本書の内容から学んだ教訓は、
「すべての」自分の判断・決定には偏りがあることを理解する。
偏りがあるから、その偏りは許容できるものか情報を得続ける。
ということです。
ファスト&スローでは、直感による思考をシステム1、理性による思考をシステム2と呼んでいます。
これは脳の機能と深い関わりがあり、システム1は確か海馬など人間の原始脳で構成されます。よく、「逃走か闘争か」の例がありますが、システム1の判断は非常に早く、無意識的な反応です。一方システム2は、前頭葉をはじめとした人間の理性を司る部分で行われる思考で、システム1に比べその判断は非常に遅くなります。
どこで得た情報か忘れましたが、脳の機能として、海馬などでの反応を前頭葉の理性で抑えている、という話を聴きました。なので本書を読むまでは、しっかりと理性を保てるよう整えて入れば、理性的に行動することができる、と信じていました。
しかしながら、その理性的な行動ですら、システム1に影響されているということですので、その対処法を学ばなければなりません。
人の判断や行動には必ずバイアスがかかるのだそうです。例えば、統計的には反対の事象でも、自分が接した回数が多く、記憶として呼び起こしやすい方が、確率が高いと予想してしまいます。
例えば、夫婦がお互いの家事の分担について自己申告すると、必ず100%を超えるのだそうです。なぜかというと、自分がやる家事はよく記憶し、配偶者の家事は見えていないので、自分の家事の量を過大評価するのが原因だそうです。これを聞いてから、自分のやっている家事について「たくさんやってるな〜」と思うことを、反省の意味で抑えるようになりました。
そのような例から、自分の考えには必ずバイアスがかかってるんだな〜と認識するようになり、「本当にそれ正しいのか?」と思う回数が増えたように思います。
行動経済学を知ることで、経済的な行動以外が変わるとは思っていませんでしたが、ありがたい副産物です。
おそらく、脳に対するシステム1、システム2の考え方は、マインドフルネスとか、宗教の教訓などに共通するところが多いにあると感じています。
自分の行動に対する偏見(バイアス)に目を向けることで、それを理解し、なるべくマシな判断・行動へつなげたい、そう思った次第です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。