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【教育格差】 書評#32
みなさん、いつもお世話になっております!
本日も、私の投稿の軸とする一つ「本」に関する第32弾を書かせていただきます。
自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
こちらの本は、私にとってはなかなか難しかったです。
その中でも、私の感じ取った精一杯のことを書いてみたいと思います。
基本情報
松岡亮二(著/文)
筑摩書房 出版
2019年7月10日 第1刷発行
ページ数:360
読書期間:8日
私が本書に出会うきっかけ
最も大きい要素としては、「子どもがいるから」ということになるだろうか。
タイトルがとてもシンプルかつインパクトがあり、読んでみようと思った。
出会いもいたってシンプルである。
この本の本質・言いたいこと
教育は自分の経験に基づいて自説を持ちやすい分野です。
そこで、過大評価も過小評価もせずに現時点でわかっている教育格差の全体像を一人でも多くの皆さんと共有する
本書では執筆時点でわかっている「現実」を紙面が許す限りまとめた。
おそらく、多くの方が「ない」とは感じていないであろう教育格差。
これを解決するための結論をただ待っているだけではなかなか現状は変わらない。
だから、現段階で示すことができるデータを出せるだけ出して、少しでも早く現状を変える方向に向けていきたい。
こういった強い想いを私は感じている。
本書は、
第1章で貧困度合いや出身等の尺度を用いて格差に関する分析を行い、
第2章から第5章で、幼児教育から小学校→中学校→高校の各段階においてみられる格差を指摘し、
第6章で他国と日本の状況を比較した後、
第7章で具体的な提案を行う
という構成になっている。
これらを通じて見えてくるのはやはり、教育格差は明確に「ある」ということだろう。
本書では、これを指し示す明確な研究データがたくさん整理されている。
私が感じたこと
1点目 〜格差は何から生じるか
本書を見るに、格差は各人の「生まれ」から生じるとまとめることができるだろうが、この「生まれ」から生じる様々な格差があることが、膨大なエビデンスとともに明確に指摘されている。
逆に、格差がないフラットな意味での
「”ふつう”とはいったい何なのか」
を考える機会を本書は与えてくれる。
2点目 〜格差の埋め方
「生まれ」により生じる格差を埋めるには、どの層にも扱いを同じくするだけでは困難だということを読み取ることができる。
どの層にも実際に手に取ってもらう、受けて取ってもらう必要がある。
つまり、用意して待っているだけでは来ないということだ。
これは、福祉の分野でも往々にして起こることだろう。
だとすれば、教育も福祉も同じ構造を抱えているということだろうか。
3点目 〜膨大な研究とその限界
本書では、膨大な研究結果を示してくれるが、これはあくまでも、そのほとんどが「外側」からの分析であると著者は指摘する。
なぜならば、「内側」たる学校や教育行政が収集しているデータを活用することができなからだとしている。
加えて、その収集が科学的でないと筆者は言う。
この「外側」と「内側」の関係性が少なくとも日本の教育においては存在するのだということを知った。
この関係性が良いのか悪いのかという個人的批評は避けるとして、ここでは私にとって興味深かった研究について少しご紹介したい。
相続される文化資本
蔵書数と学力に関する研究に触れられている。
ウソのような信じられない事実が・・・
社会関係資本と学力との関係
どういった親が、どれだけ学校の行事などに参加するのかに関する研究
習い事の地域・学校間格差
いつ頃まで多種多様な習い事を子どもにさせるかが、階層ごとに明らかとなっている。
むすびに
冒頭にも書いたように、本書は私にとってかなり難しい内容だった。
特に、第6章までは基本的に研究結果の説明に多くのページを割いているという印象。
しかし第7章「わたしたちはどのような社会を生きたいのか」では、私にとってもかなり分かりやすく具体的に提言などがまとめられている。
#4で書いた「ビジネスの未来」で見出される新しい社会を実現するために、教育側からできること、やらなければならないことが示されているように感じた。
余談
少し格差とはズレるのですが、来年度受験生となる長女の話です。
先日高校の同級生と話をしたり、本書の「トラッキング」という考え方を知ったことで、長女の選択(行きたい学校)が、彼女自身に合っているのではないかと思う瞬間がありました。
著書が直接言いたいこととは別のところでも学びがある。
考える時間をくれる。
これが読書のみだと言い切ることはできないかもれませんが、メリットの一つではないかと感じます。
本日もご覧いただき、誠にありがとうございました!
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