【読書感想文】ミッキーマウスの憂鬱ふたたび | 松岡圭祐
こんにちは。
突然ですが、ディズニーランドはお好きですか?
混んでるから嫌い
リピーターになるほど大好き
ちょっと気になるかも
いろんな意見があるかと思いますが、私は好きで菌が猛威を振るう前は年に1〜2回ほどは行ってました。
世界観というか、大人も童心に戻りワクワクできるところがいいですよね。
ここ2年くらいは自粛していますが、久しぶりに行けたらいいな。
さて、今回はディズニーランドが舞台の物語。
主人公はディズニーランドで清掃員アルバイト(カストーディアルキャスト)として働いている女性。
フィクションとなっていますが、バックステージやパーク内の様子がこと細かに描かれているので本当にフィクション? と疑ってしまうほうど。
色々な都市伝説や噂のあるディズニーランドですが、本書ではどんなことが描かれているのか。
努力や仕事について考えさせれらるお話になっているので、ディズニーランドが好きな人も、そうでない人も読み応えのある作品です。
「ミッキーマウスの憂鬱ふたたび」の概要
主人公はディズニーランド(以下、ランドとする)でカストーディアルキャストとして働いている女性の永江環奈。
働き始めてちょうど1年。
仕事自体には慣れてきたけど、待遇としては不満があるようで・・・
キャスト(アルバイト)は半分ゲスト扱い。
キャストには立ち入り禁止区域があり、行動制限されている。
カーストの中で、カストーディアルキャストは底辺である。
カストーディアルキャストの衣装が地味でダサい。
不満いっぱいで働く毎日。
高校卒業後、大学に行くでもなく、就職するでもなくバイトの道を選んだために母親とは不仲で、姉からもなんだか見下されている。
家に居場所はなく、家族と食事をするのも憂鬱。
できれば顔を合わせたくない。
仕事やプライベートも、なんだか憂鬱な日々を過ごす環奈。
そんなとき、任期満了にともない次期アンバサダー候補募集を知ります。
アンバサダーとは、ディズニーのPRキャラクターとなる存在。
ディズニーの顔と言っても過言ではないもの。
この応募をキッカケに環奈のなかの何かが動き始めます。
応募の事実がキャスト間で共有され、トレーナーの吉島に呼び出され、
「何を考えているのか」と詰められます。
カストーディアルキャストからの応募は初であり、アンバサダーに選出されれば快挙。
周りからは受かるはずもないとバカにされます。
特技も何もないままでは、どうにもならないと思いパーク内にあるマジックショップへ。そこで1つのマジックに出合います。
それは、宙を舞うステッキ。
このマジックを普段使っているホウキで行い、ホウキに魔法がかかり、勝手に掃除しているよう見せれば、特技になるのではないか。
そんな想いから、練習の日々が始まります。
マジックショップにメーカーからの派遣としてきていた、里美の力も借りて猛特訓。
そして、「お砂糖ひとさじで」の曲に合わせてゲストの前で実際に披露してみると・・・
これが大うけ。
瞬く間に環奈は有名人となります。
アンバサダー候補の中でランキング2位を勝ち取ります。
この頑張りを聞きつけ、ディズニー専属のファッションデザイナーが環奈にメリーポピンズを意識したドレス風の衣装を制作してくれることに。
本来、カストーディアルキャストは清掃のみを行うため、パフォーマンスは禁止ですが、トレーナーの吉島が交渉してくれて特別に許可がおります。
環奈のがんばり、努力が周りを巻き込み、応援ムード一色に。
でも、そんなに上手くいくはずもなく。
有名になればなるほど、ネット上で露出が増え、タネを明かす内容の動画が動画共有サイトに多数アップされ始めたのです。
ディズニーとしては、このままではゲストの夢を壊しかねない、人だかりが出来ることで、けが人が出るかも知れない。
そんな理由からパフォーマンスを中止するように指示。制服も元に戻されます。
全てが元にもどってしまった環奈。最終選考会まで数日。
ありのままの自分を見せようと決心する環奈ですが、選考会当日にパーク内で居残りゲストの捜索を命じられます。
ほどなくしてゲストは捕まります。
このゲストは大事な婚約指輪を探すためにパーク内に忍び込んでいたとのこと。
落とし物はすぐに遺失物センターに届ける決まりで、約9割の落とし物が持ち主のもとに返るランド。
ランドから一向に連絡がなく高価なものだから、キャストの誰かが盗んだのではないかと言い出す始末。
そこで、環奈含めカストーディアルキャスト、セキュリティキャストが総出で指輪の捜索にあたります。
そうこうしているうちに最終選考会で、環奈の出番が近づきます。
環奈は最終選考会に間に合うのか。
指輪は見つかるのか。
家族との関係は改善されるのか。
結末はぜひ、読んでみてください。
うるっとくるような感動的な結末になっています。
人物相関図
人物相関図です。
これ以外にも登場人物はいますが、重要かつ登場回数が多い人を抽出しています。
印象に残った一文
主人公たちが、あることをきっかけに本社に立ち入り、キャストがなぜ半分ゲスト扱いなのかを理解した後の一文。
社員となりディズニーの裏側を全て知ることへの焦燥感や辛さが感じとれます。胸にグッとくるものがあります。
パーク内は夢や魔法が広がり、ミッキーマウスが絶対的な存在。
しかし、裏側では税金、固定費削減や利益を考えなければいけない現実がある。施設である以上は利益を出さなければ存続できない。
ディズニーランドでもそれは同じこと。
そういった現実の世界を知って虚しくなるのは社員だけでいい。
キャスト達には夢や魔法という楽しい部分を少しでも残したまま働いて欲しいという社員の願いや配慮が見えました。
この事実を知って、不満のあった環奈の心持が変わっていきます。
感想
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
いかがだったでしょうか?
タイトルからは想像できない内容で、どんなお話の展開になっていくのだろう、ミッキーマウスの憂鬱とは。
と、終始考えながら読み進めました。
結局、ミッキーマウスの憂鬱を発見し、理解することはできませんでした。
(できなかったのか! ってツッコミが飛んできそうですが。。。
憧れの会社、場所で働くというのも楽ではないですね。
それなりの覚悟がないと、長く続けることは難しい。
憧れは外側から見てできたものであり、内側を見たときの現実感に耐えられるか。
そんな中でも自分の仕事にプライドを持ち、一生懸命になることの素晴らしさ教えられました。
それでは失礼します。
本の情報
タイトル:ミッキーマウスの憂鬱ふたたび
著者:松岡圭祐
ISBN:978-4-10-135752-2
発行日:2021年10月1日
発行所:株式会社 新潮社