趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.296 読書 三上 延 「ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は読書 三上 延さんの 「ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~」についてです。
ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ第十弾、娘の新シリーズでは第三弾。
第1巻から10年も経っている。
デビューなされた最初の頃作者の三上さんを取材撮影する機会があり、とても紳士的な方だった印象もあり、もちろん大好きな本を巡るミステリーなので、長い付き合いになりました。
7巻で終わったかなと思いきや、主人公の娘のシリーズが始まり、続いております。
もうここまできたらどんどん続けてください。付き合います!
今作は主人公は娘の扉子、彼女も母ゆずりのものすごく本好きで、洞察力、本の知識は凄い。ちょっとコミュ障な感じだが、割と明るく振る舞おうとする感じが良い。
7巻までの主人公だったお母さんの栞子さんは今回はちょっと控えめ。
ただまたその祖母である智恵子がかなり裏で暗躍していて面白くなっています。
悪(身内ですけど)が強ければ強いほど物語は面白くなりますね。
親子三代の(サーガ)話になってきてますますこのシリーズから目が離せません。
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物語は、ビブリア古書堂の店主栞子のもとに、ある女性から依頼があります。
依頼内容は、その彼女の息子に相続権がある古書千冊が数日後に古書即売会で売られてしまうのでそれを止めて欲しいと。
その遺産である古書は離婚した亭主の物で、数ヶ月前癌で亡くなった。
古書を売ろうとしているのは亭主の父親で、栞子も知っている古本屋の店主だった。
ビブリア書店もその即売会に参加するので、栞子は依頼を受けることにします。
その息子は祖父から即売会のバイトを依頼され参加することに。
そこでビブリア古書堂の栞子の夫大輔と娘の扉子と知り合います。
扉子は高校の1年先輩で、次第に即売会の仕事を通して仲良くなってきます。
栞子は海外の仕事が入り、そのイベントには参加できないので、大輔が依頼を受けていろいろと調べていきます。
即売会でいろいろな些細な事件が起こり、それを扉子の推理で解決していきます。
祖母、母親、と同じように圧倒的な本の知識と洞察力を持ち合わせています。
扉子によって依頼された、裏の真実が明らかになってきます。
その裏には祖母の智恵子の暗躍があるとは・・・。
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今回出てくる小説はなんとあの夢野久作の「ドグラ・マグラ」。
日本三大奇書の一つ。
読んだら狂ってしまうといわくつきの本。
割と最近読破したのでとっても嬉しくなりました。狂いませんでしたが、強烈な印象を受けました。
このドグラ・マグラの説明がとってもわかりやすく書かれています。
かつ千冊の古書の遺産を残して記憶喪失になった父親の生涯ともリンクするのでより面白くなってきました。
そうこのシリーズの魅力は、本の解説と、またその本に関わってくる物語が面白いんです。
本好きにはたまりません。
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そしてやはりこのビブリア古書堂の面白さは、祖母、母、娘の三人の関係です。
祖母の智恵子は圧倒的な本の知識と人を見抜く洞察力は多分世界一。ただ気まぐれで自分本位で優しさも見せますが冷たい部分もあります。謎の多い女性。
母である栞子はこのシリーズの7巻までの主人公。ビブリア古書堂の店主。圧倒的な本の知識がありますが、奥手で体も少し不自由です。
高校生の娘の扉子も知識も洞察力もあり、性格も割と明るい。
今までも祖母と母の敵対関係が面白かったですが、三人になり余計に複雑になっていきそうなところが楽しみです。
三人の異常な本好きの女性と、一般人であり常識人である語り部である栞子の夫の大輔、そして今回古書を相続することになった普通の高校生。
その普通の高校生も今度物語に絡んでくるのでしょうか。
今日はここまで。
「本が好きな人の考えは、その人の好きな本、大事にしている本から分かるものです。」
/P.71「ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~」より