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ずーっと観ていたい映画『音響ハウス』

長野相生座ロキシーで映画『音響ハウス』。

こんなに幸せな映画はそうない。最初の一分から、「え、これは最高なのでは…」という幸福な予感がそのまま最後まで継続する。ずっと観ていたかった。

内容とか物語を語る前に、とにかくずーっと観ていたいという映画が希にある。ぼくはそれを温泉映画と呼んでるのだけど、『音響ハウス』は正にそれで。

登場する音楽家たちが口々に「ここは実験の場で、楽しくて、だからずっとやってちゃうんだよね」「一時期、音響ハウスに住んでるようなものだった」的なことを言うのだけど、この映画にもその雰囲気が一杯に詰まってました。

「音響ハウスで演奏してると、自分の鳴らした音がとても気持ちよく聴こえる。そのことが自分の演奏を良くしてくれる。それは演奏にとても大切なことだと思っている」的なコメントもとても印象的でした。
ぼくは演奏できないけど、「何かを書く」ということは、自分の鳴らした音を聴くのに似ている。

とにかく気持ちのいい映画でした。ずっと観てたいから、終わるのが寂しくて。
細野晴臣さんの『NO SMOKING』も『マイルス・デイヴィス クールの誕生』も似た気分だった。音楽家共通なのかしら。

また映画館で観たいし、BDが出たら家でヘッドホンつけて観たい。最高でした。

テーマ曲『Melody-Go-Round』を佐橋佳幸、飯尾芳史、大貫妙子、葉加瀬太郎、井上鑑、高橋幸宏、HANAらが作っていくのが映画の軸の一つになります。
この曲、74年生まれのぼくにとって、すごく「子どもの頃にキラキラしていた曲だ!」と思える曲なのです。分かる人いるかしら…

映画『音響ハウス』のテーマ曲『Melody-Go-Round』を聴いて、何だかとても「あ!こういうの好きだった!」と思わせる揺り起こしみたいのがあるのです。
シュカーベイブの『Down Town』がぼくにとってはそうでした。音楽がキラキラしていて、少し大人で、憧れを抱いたような。

書きながら気づいたけれど、それはつまりシティポップですね。小学生や中学生のぼくはTVの向こうから聴こえてくるキラキラしたシティポップに憧れていたんだと思います。30年後に気づきました。そうか。そうだったんだ。

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