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外部との協働は社員さんのスキルやマインドの変化を促す仕組みになり得る。
Webサイト制作やWeb活用支援は基本的にクライアントワークです。でも、ぼくはやるとなったらやるので顧客より成果にこだわります。クライアントワークだけどすごく自分ごとです。そうしていると、「稲田さんの姿勢を見習って◯◯をやるようにします」とたまに顧客から言ってもらえるようになります。
顧客の案件で、クライアントワークで、ぼくは当事者ではないのだけど、「稲田さんの姿勢を見習って◯◯をやるようにします」「チーム稲田の一員としてがんばります」と顧客から言ってもらえるようになる。何かが逆転しています。だってぼくは顧客事業の成果のためにやっている訳で。主体者ではない。
当事者意識の効能
この現象はなんだろうなあ…と考えるに、「これが当事者意識の効能か」と思いました。いくらクライアントとはいえ、担当者の皆さんは100%の気持ちで自社サイトに向き合っているわけではありません。特に地方企業の場合、他の業務と兼務もしているし。専門でのWeb担当者やマーケ担当者なんていません。そもそも部署がない。つまり「Webで成果を出す」という目的は理解しているけれど、それが担当者様の仕事の100%ではない。ぼくは100%です。だってそれが仕事なので。
只でさえやってみなければ分からないWeb活用なんてとにかくガムシャラにやるしかありません。どこかに成果の種が落ちてないかと目を皿にして探しています。営業さんのふとした一言も滑り込んでキャッチします。つまり全部が自分ごとです。だって自分ごとなんだもん。
その姿を見ていると、担当者さんから「私も◯◯するようにします」と言って頂けるようになったり。自分ごととして汗をかいている人を見ると、見ている人にも当事者意識が芽生えてくるようです。こうなるとチームのスピードはぐんと上がります。
逆転関係からスタートするクライアントワーク
どうもここがポイントのようです。つまり、いくら自社のWebサイトであったり、自社の事業のことであったとしても「全部が自分ごとではない」という地点から担当者様はスタートする。一方、制作会社や支援会社は100%自分ごとでスタートする。それが仕事なので。ここに差分がある。別に悪いことではありません。そういうものだと思います。
ただ、クライアントワークだと勘違いしやすい領域です。それはそうですよね。「クライアント側はまだ当事者意識が薄く、外部の制作会社の方が当事者意識が高い」そんな逆転からスタートするなんて、ぼくも言語化するまではっきり意識できていませんでした。
社員さんのスキルやマインドの変化を促す仕組み
逆に言えば、これは大いに利用できる手法かもしれません。「社員さん全員に当事者意識を持ってほしい」という理想はどの企業も持っていると思います。大いに共感しますが、掲げただけではまあ無理です。組織に所属している時点で当事者という気分の一定量は埋めてしまえるので。「何か」がいる。
その「何か」が外部企業とのワークかもしれません(制作会社側から見たらクライアントワーク)。外部企業とのワークで成果物も手に入れて、社員さんのスキルやマインドの変化を促す仕組みとしても機能する。これってとてもお得なことじゃないでしょうか。意識するかどうかで得るものが何倍も違いそう。
これからの地方企業は人手不足になるのは決まっているんだから「外部のスキルやナレッジをいかに活用するか」が重要になると思ってましたが、外部との協働の付加価値として「社員さんのスキルやマインドの変化を促す」という機能を発見できたのは個人的に大きな収穫でした。これからも考えていきたいです。