骸骨巡礼(イタリア、ポルトガル、フランス)養老孟司 著
ジェットコースターに乗っている感覚。
膨大な活字が飛び交う。
脳が追いつかない。
虫を無邪気に追いかけていると思えば、イタリアで命の生死に思いを馳せる。
振り幅が壮大すぎて、活字に溺れる。
もがいてももがいても空を目指しているのか、深海に溺れているのかわからない…行を目で追う度に、もがく、必死に。
そして私の脳のシナプスの信号は混乱をきたし、悲鳴を上げる。
膨大な情報量、知識の波が絶え間なく訪れ、そして高速回転で回るジェットコースターの貨車がキーキーと鳴り響く。
疲れる。
まるで箱根駅伝の天下の剣、5区を素人が走った後のような壮絶な後悔を味わう。
「語彙のなさ」なんて書けば少しは知識があるように見えるそんな#なんて陳腐なものだとつくづく痛感する、本物の活字を見れば。
『生きた文字=活字』
せめて片鱗でも触れてみたいと思うのだが、函谷関のように聳える門を前に竦むばかりである。
いつか、いつかその片鱗でも触れてみたい。
そう思い、読み漁る日々を生み出す『活字』を操るおそるべき小説家。
人の人生をも操る才能が…この本からはまるで神社にいるように重い空気を纏っている。