![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159861927/rectangle_large_type_2_aad7f786f111d21c4d90de40907c766c.png?width=1200)
芸術なんて理解できるわけないのだけど〜北アルプス国際芸術祭に行ってきました〜
芸術なんて理解できるわけないのだけど。
そうやってまず言い訳をしておかないと、この経験をどのように説明したらいいのかわかりません。残像がものすごくてちょっと戸惑っています。
長野県大町市で開催されている北アルプス国際芸術祭2024に行ってきました。
9月からやっていて、この今週末11月4日まで。
行こう!と決意したのが遅すぎたことが悔やまれます。油断していたら、仕事をほっぽり出してでもう一度行きたいくらい。
1日では回りきれないので3〜4日かけてゆっくりとまわるのがおすすめです、と公式情報にも書かれていたのですが……。そんな用意はできぬまま弾丸子連れで決行、それが26日(土)のこと。翌日も日曜日じゃん!というわけで、用事を済ませてそのまま芸術祭へ車を走らせます。(どこ行くの?ま、木崎湖まで遊びに行こうよ!と子どもを無理やりに説得。)そして、ああ、もっと前に決行すればよかったのにと後悔しながら今に至ります。
こうやってパスポートを3000円で買って
![](https://assets.st-note.com/img/1730243561-Tey6vgRdsUPKNOF8Et9oqp0S.jpg?width=1200)
キッズはほとんどを無料で回れて
![](https://assets.st-note.com/img/1730243660-ELWt3hA4dP5FUIkzl9SOfgeN.jpg?width=1200)
地図を見ながら車と徒歩で移動して
![](https://assets.st-note.com/img/1730245056-CP3tDebINAk0LiGhTVZuKE6X.jpg?width=1200)
ときどき遊んで
![](https://assets.st-note.com/img/1730201397-Uu2Ekfah3CWxbqwvNiOzot1c.jpg?width=1200)
呆然とする。
最初は見たいところだけ単発で見れば良かろうと思っていたのに、最初の1個目で断念してパスポートを購入。(※もちろん1作品だけ鑑賞するのもアリ。無料のところもあるけれど300円かかります。)
この芸術祭、基本的に撮影OKなので事前情報も結構ありました。だからこの作品とこの作品を見よう!のようなざっくりとした計画を立てて、下調べもして。県知事と市長の名前が並ぶ横に、総合ディレクターが北川フラムさん、ビジュアルディレクターが皆川明さん。大変失礼な言い方をしちゃうと、なんだか重厚な芸術祭じゃないかとワクワクもして。
そして、おおよそこんな作品に出会うのだろうと”知っていた”作品に出会って呆然とする。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159821827/picture_pc_215cb88d4192245f1453f7efe3d52cbc.jpg?width=1200)
すごい。ヤバい。きれい。
それしか語彙がない自分を呪いたくなるのは、作品そのものというよりもそこに存在していること自体の圧力。
情報過多の時代に生きていると事前情報が邪魔をします。
そうそう。これ。こんな感じのこれ。
ちゃんと来たことを記録しておかなくちゃ。写真撮らなくちゃ。
実際に対面したときにどこか答え合わせをしようとしている自分に気づくことがあります。
そういうのを吹き飛ばすのは作品のインパクトはもとより、その場所・空間とそこにいるという自分の体験。作品たちは、空き家や廃校で展示されているものも多く(そもそも場所自体を作品にしているものもあって)、その場所と連帯して不思議な存在感を醸し出してきます。作品スポットごとにいらっしゃるスタッフの方々もあたたかく(事務的な感じがまったくしない)、人間味のあふれる場がそこにはあって。おそらく私が芸術祭の「残像がものすごい」と圧倒されてしまうのはこのあたりに原因がありそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1730244187-54GvEFoyPnbTtRU3fwh1MDZa.jpg?width=1200)
大町市っていうところはお世辞にも栄えているとは言えない場所です。正確に言うとかつては市として栄えていたけれど……という寂れ具合が目立つ地方都市。駅からほど近い商店街はシャッター街、空き家も多く、湖の周りの観光地も老朽化が進み営業しているところもまばら。よくある寂れた地方都市。
そんな街に芸術祭の旗がはためき、魅力的な作品が随所に埋め込まれ、そこに人が押し寄せる不思議な感じ。一方で寂れているとは言っても、そこで暮らす人たちの息づかいも感じられて。
![](https://assets.st-note.com/img/1730234699-yHswIYWm38u6qJpVASxRNEOc.jpg?width=1200)
シャッター街の商店街を歩いていると、暗い店舗の軒先で椅子に座ってぼーっと佇むおばあさんがいたり、道路の脇でひなたぼっこしているおばあさんがいたり。空き地にポストだけ置いている家、空き家に立ち入らないよう看板を立ててロープで囲んであるスペース。年季の入った家屋の横には、新しい自転車が佇んでいて。シャッター街の中で営業している人気の飲食店はやたらと混んでいて、ぽつりと佇むおしゃれなカフェにはゆるやかな時間が流れていて。そして目線をあげると市街地の向こう側に広がる北アルプスの山々。車を走らせると自然の近さと美しい田舎の風景、丁寧に手入れされた畑と民家。
「寂れている」と言ってしまうとなんだかマイナスイメージだけど、そこがいい味を出してもいるし、一方でただただ「いいね」を言うのはなんだか違っている気もするし。きれい、ワクワクする、楽しい、さびしい、なつかしい、憤り、いろんな感情がごちゃ混ぜになって漂っている場所。確かなのは、この場でボーッとするのは悪くない、ドライブするのも悪くない、ときどき帰ってきたいと思えること。
![](https://assets.st-note.com/img/1730236337-41dj7NUIGKtsfTwMi0cmgVDC.jpg?width=1200)
廃校になった高校(大町北高)にゆかりのある方がSNSに投稿していた言葉が印象的でした。
「北高、またね。」
それでいいのかもしれない。芸術祭は、そんな体験でした。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
お読みいただきありがとうございます。このnoteはアラフォー農業専従者・2児の子育て中の私、長野県在住のimoえんぴつが農業以外で自分の看板を立てようとして始めました。ですが最近のnoteは日々の暮らしの中で「考えてしまったこと」が中心になっています。そろそろプロフィールを「エッセイ書いてます」に変えようかと悩みながら……。イラストを時々描いています。