
#27 北欧の海賊と中華バイキング
みなさん、おはようございます。
クルーズ船で働いているケントです。
現在、日本近海を航海しております。
航海日誌というタイトルをつけ3ヶ月前に始めたnote、ついに船でバリスタジョブをする時がやってきた。
これからはじまる7ヶ月の船旅。
たくさん見聞きし吸収するのはもちろんのこと、重きを置くのはどうやって発信していくか。
インプットとアウトプットのバランスに重きを置いて。
乗船クルーとしての限られた時間を有意義に過ごしたい。

ありがたいことに北欧の海賊による日本初就航クルーズが無事フィナーレを迎えつつある今、書きたいことは大きく分けて3つ。
◎どこをまわっているのか
◎いま船で何をしているのか。
◎半年後どうなりたいか。
今回のコントラクトは個人にとっても会社にとってとてもチャレンジングなプロジェクト。
ベストを尽くしたい。

乗船からこれまでの航路
11月12日 SHENZHEN 🇨🇳
香港へフライト、中国の深圳から乗船。
欧米系の乗客と1週間かけて上海へ船旅。
厦門(Xiamen)、舟山(Zhoushan)で外出成功。
ショッピングモールで飲んだタピオカ(バブルティー)はあまり口に合わず。
選ぶべきはふつうのお茶だったのかもしれない、先輩バーテンダーが買ってくれたセブンのお茶が香り高く上品なお味でお気に入り。

広い道を大きな電気自動車ばっかり走っている中国。
歩道もお構いなく走ってくるノーヘルメットの電気スクーターには気をつけて。

11月19〜20日 SHANGHAI 🇨🇳
上海の外灘(The Bund)に停泊。
ここでアメリカ人が大半のインターナショナルゲストは下船。
オーバーナイトだったので夜景も存分に満喫。

個人的には5年ぶりの上海、なつかしの南京東路でマネージャーたちとローカルフードをいただく。
新旧が融合した素敵な街、歩くのが楽しい。

中国を後にし2日間海の上、日本へ向かう。
ゲストはいないけれどけミーティングやメニューの差し替えなど準備に大忙し。
茶色かった海の色はいつしか青に戻っていた。

11月23日 KOBE 🇯🇵
大きな虹が神戸の街にかかった勤労感謝の日。
某旅行会社のチャータークルーズ1週間で初の日本発着航路がキックオフ。
ゲストはほぼほぼ全員日本人。
出航の際には数多くの方にポートターミナルまで足を運んでいただき、学生さんの生演奏とともに船を見送っていただいた。
ありがとうございます。

神戸〜新宮〜別府〜種子島〜長崎〜釜山(韓国)〜神戸
このブログを書いている今日は長崎に寄港。
冬にかけて波風が激しさをます日本海であった。
船は比較的小さめで飛鳥より少し軽い4.8万トン。
20万トンクラスのメガシップ化がトレンドのクルーズ業界において会社にはこのスタイルを貫いてほしいところだが。
小さな港への寄港が可能になり豊富なオプションのクルーズをできるのが最大の魅力。

船で何をしているのか
ニュージーランドにいた時、見つけた求人。
応募した職種はバーテンダーだったが流石に無理だったのでバーウエイターでどうですか?とのお返事。
船内各所にあるカフェやバーでドリンクのオーダーを受け、提供するのがメインタスク。
そして今回初の日本シーズン。
日本語を話せるクルーが少なくバーデパートメントの純ジャパは筆者のみ。
使命は日本人ゲストとのコミュニケーション

各レストランにてテーブルを巡回。
料理提供のタイミング、会話の盛り上がり方などを見ながらおしゃべり開始。
自己紹介にはじまり、どちらから来られたのか?よく船は乗るのか?など答えやすい質問をいくつか連打。
色んな船に何度も乗っている方ばかりかと思いきやチャータークルーズの場合初めての方も多くびっくり。
いずれにせよ共通すること。
それは船旅に興味があり数ある会社の中きら選びお金を払って乗ってくれていること。
できることはF&Bエリアでのカスタマーサービス。ゲストの期待に出来る限り応えたいもの。

高齢の方が中心のクルーズ旅行。
外国人ばかりの船でおじいちゃん、おばあちゃんは日本語が聞こえると安心するのだろう。
ときには寄港地の話、Wi-Fiの設定、軽井沢やニュージーランドでの出来事…なんでも話す。
それに加え料理の感想やワインの説明も。
そこて得たフィードバックはマネージャーやゲストサービス、そしてシェフに共有しよりよいクルーズを全員で目指したい。

日本語を話せることが武器になる世界線
さらにクルーの日本語教室も毎日1時間担当。
半年間の日本コントラクト、みんなどこまで会話できるようになるだろう。
あいさつ、レストランやバーでの決まったフレーズ、注文の取り方など覚えてほしいセンテンスはたくさん。
健気にノートを書き声に出す姿は見ていて頼もしい。
成長が楽しみである。
半年後のビジョン
中国クルーズの最中はほぼオフィスにいた筆者。
ドリンクメニュー全般そしてワインメニューの翻訳を担当することに。

シャンパン、スパークリングワイン、デザートワイン、ロゼ、そして白赤と50本近くある英語のワインリスト。
英語のメニューから品種と特徴を訳していく。
アロマ、ニュアンス、ノーズ、アタック、フレーバー…横文字は苦手なのでひとまずググるりブドウの品種や産地も片っ端から検索。
オフィスにあったソムリエの国家資格、WSETレベル3の本も読んでみたり。

ただやはり表現に幅がなく言葉足らず。
そこで軽井沢(前職)の時にお世話になったお気に入りの本、ワイン一年生を長崎の紀伊國屋書店で入手。
食事中には日替わりのハウスワインが無料で楽しめるこの船。
品種と産地そして香りや味わいを伝える努力。
それだけは怠らずに続けていきたい。
朝はロビーにてバリスタのスキルを安定させること、そしてお昼は寄港地で息抜きの外出。
夜はダイニングでソムリエのサポート役(日本語対応)になる。
それが現段階での理想。

私たちクルーは何を食べているかというと…
花椒とニンニクがたっぷりの美味しい中華料理バイキング。
クセになるお味。
これから続く半年間の日本シーズン、水を得た魚のように活躍し実績を残し髪を伸ばす。
次の目標はヨーロッパのリバークルーズ。
そんな妄想をしながら今日も働く。
人の夢は終わらない。
最後まで読んでいただきありがとうございました!