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ことばのリズム

引っ越した土地に長く住んでいて方言がうつった、という話はよくある。自分はそういう経験をしたことは(少なくとも意識する限りは)ないと思うが、初めに感じていた「ことばの違和感」が段々薄れていくのを今は感じている。

実際的なことばの理解というのは、辞書を見て一つ一つを自分の中の既存の概念と照らし合わせていくというのとはまた違うと思う。日常の中で少しずつ、そのことばの使われる空間に入っていく。理解したかどうかは分からずとも、なんとなくその言葉が使われる状況を把握し、気づいたら使えるようになっているのかもしれない。子どもが母国語を習得する過程と同じだろう。少なくとも同じ言語体系なのであれば、そういう方法で体得してゆくことができるはずだ。
違和感が薄れていくというのはそんな過程の一部なのかもしれない。


方言が持つ独特のリズムは、土地の人々のさまざまなリズムにも影響を与えているのではないかと思う。例えば、「〇〇やなぁ〜」というふうに語尾を長めに伸ばす方言の人々は、どこかのんびりしている感じがする。

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基本的には日記ですが、たまに深いことを書いたり書かなかったりします。分量で著者の疲労度が測れます。

少し遠くに行ってみよう。人生が変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。あるいは変わったとしても、気づかないかもしれない。だから、何か…

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昔々、あるところに読書ばかりしている若者がおりました。彼は自分の居場所の無さを嘆き、毎日のように家を出ては図書館に向かいます。そうして1日1日をやり過ごしているのです。 ある日、彼が座って読書している向かいに、一人の老人がやってきました。老人は彼の手にした本をチラッと見て、そのま