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【放送後記】#11 親への辛い気持ちを軽くする【3】過去の自分の想いを「今」に持ち込まない勇気

今の私の価値観を大事にするには勇気がいる

 自分の価値観は家族からの影響が大きいことは誰でも実感できると思います。その価値観が良いものであればいいのですが、「悪いもの」と感じる場合は、自分のことが嫌いになったり、自分が誰かに悪い影響を与えているんじゃないかと不安になったりします。そのように感じると、その価値観を否定するために、自分に与えられた価値観とは逆の行動をして、自分を別の存在にしようと試みます。しかし、実際はうまくいかないことが多く、それどころか、余計に苦しむことがあります。
 与えられたくなかった価値観で苦しまないでポイントは、嫌な価値観と反対のことをしようとしないことです。なぜかということ、逆のことをしようとしていること自体が「基準」として意識していることになっているからです。「厳しく育てられたから、子どもには厳しくしない」という自分ルールで子育てをしていると、子どものわがまま放題な振る舞いにキレてしまいそうな自分に嫌悪したり、爆発してしまったりして、親と同じじゃないかと落ち込むことにつながりかねません。子どもにとって必要なことを必要な時に、必要な方法で伝えることが大事であって、「反対のことをすること」は大事ではありません。親として叱らなかければいけないことがあるときは、育てられ方は脇に置いておいて、叱るということを自信をもってできれば一番いいのです。でも、それは勇気がいることでもあります。「必要な叱り方」ってなんだろうと思いますし、何が正しいかがわからないと不安だと思います。でも、よく考えてみてください。いろんな子がいて、いろんな親がいます。愛情をもとにして、自分の感情を処理するために叱らなければ、それはきっと正しいことなのです。

幸せが近くにあることに安心しきっている?

 過去に辛い経験があったりすると、そのことばかりを考えてしまい、辛さがなかなか消えません。それでも、幸せは近くにあると言ったら、あなたはどう思うでしょうか?綺麗事だと思う人もいるかもしれないですし、そんな甘いことを考えられないぐらい辛いと思う方もいると思います。それはある意味真実だと思いますが、しかし、あなたの苦痛と同じだけの幸せが近くにあるとは言いませんが、幸せは確かにあると思います。親への辛い気持ちを抱える方の中には、理解のある配偶者や子どもに恵まれている人もいます。しかし、日常の幸せな家族の状態には意識が向けられず、喧嘩をした時だけ「昔と同じ」と感じてしまう人もいます。意識を変えることは難しいことかもしれないですが、今ここにある幸せに意識が少しでも向け続け、過去と距離をとっていけると、より幸せを「今ここ」に感じられると思います。
 幸せは意識しにくいものですし、意識しないほどに近くにあるときは、その幸せに安心しきって、過去の辛いことを考えていることがあります。今の幸せはいつでも特別な幸せであることに意識を向け、その人に感謝のことばや愛情を伝えることで、より幸せを大きくすることができます。

心理学の知識を楽しくご紹介できるように、コツコツと記事を積み上げられるように継続的にしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。