【放送後記】#14 大人になってから心理学を学ぶ方法
実用的な心理学を学ぶためには
「大人になって心理学をちゃんと学んでみたいという気持ちになったんです」とお話ししてくださる方が増えている気がします。心の大切さがより際立つ社会において、心理学が社会に浸透しているとは言い難く、それならば自分で学んで実践しようと思われることは素晴らしいことだと思います。カウンセリング的な心理学ばかりではなく、育児やビジネスにも心理学を生かしたいという方はたくさんいらっしゃいます。そして、実際に心理学を生かして成功している方もたくさんいらっしゃいます。そこで問題になるのは、どうやって学んだらいいかということです。
ちゃんと心理学を学ぶとなると、大学や大学院に入ることが頭に浮かぶと思います。大学も社会人入試があったり、通信制のシステムで学びやすくなっていたりします。大学などの学びのメリットは、心理学全体を広く学べることです。専門的に学ぶというのは大学のシステムによって異なる気がしますが、座学(講義で学ぶスタイル)では実践するのにはハードルが高いかもしれませんので、どのような実践方法を提供してくれるかをよくよく調べる必要があります。あとは、時間とお金の問題です。通信制の場合でもスクーリングといって、大学に実際に何回かいかなければいけない科目もありますし、入学院等含めかなりの高額になります。そうなると、「資格」を取ろうと考える方も多いのですが、実際にそれらの資格を使うかどうかや、また、使える資格かどうかは慎重に判断された方がいいと思います。
もう一つの方法は、セミナーなどを利用する方法です。子育てやビジネスの心理学講座はたくさんありますし、魅力的なタイトルがついているものも多くあります。セミナーを選ぶ際のポイントは、講師の人が心理学を教えられる人かどうかです。たとえば、不登校セミナーを担当している先生が、どんな背景でセミナー講師をされているかということは大切です。たとえば、公認心理師や臨床心理士の資格をもっているかも基準になるかもしれません。どんな心理学のアプローチをする先生なのか説明されているかも大事な基準です。もちろん、資格があってもなくても素晴らしい先生はいらっしゃいますが、「学びを活かす」となると慎重になった方がいいと思います。「何千人の不登校の子を支援してきた!」というフレーズが前面に出ているセミナーの場合は、それ以外の情報が細かく掲載されているか確認してみてください。
ビジネスにしても、子育てにしても、なんらかの分野で心理学を学びたいという場合は、そのような活動履歴を明示している専門家やカウンセラーに依頼することが一番コスパがいいと思います。大学に比べて時間とお金の負担は少ないですし、自分の興味関心にフィットすると思います。また、必要があれば、どの大学や専門学校などに入ったらいいかということも、業界事情に詳しいでしょうから、ネットや雑誌では知れない情報をもとに、受験ができると思います。
私自身、大人になってから心理学を学んだ経験がありますので、多くの方に心理学を学んでほしい気持ちがありますが、なんの根拠もなく「脳科学的」「心理学的」というセミナー講師の被害者を見てきて複雑な気持ちを抱えています。みなさんが、自分の目的とする心理学と出会い、実践できるように、少しでも情報発信を続けていきたいと思います。