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伴走支援は、クライアントのたぬき寝入りメンバーを認識し、こまめにケアすることで成果につながることもある

伴走支援をしていると、クライアントの代表や職員がたぬき寝入りするのを見ることがあります。

ここで言うたぬき寝入りはことばの意味”都合の悪い時などに、わざと寝たふりをすること”ではなくて、「やれるのにやらない」「やるといってやらない」「わざとやらない」などをする人たちのことです。

いろんな種類のたぬき寝入りのパターンがあります。

  • お客様意識たぬき

  • 愛嬌たぬき

  • 職人気質たぬき

  • 豹変たぬき

  • プロたぬき

お客様意識たぬき

多いのは、無意識的・意識的に誰かから作業詳細を指示してもらうことを待つ。組織的に整ってからでないとやらないといったたぬき寝入りのパターンです。

昨今のNPOにおいて、すでに仕組みとしてルーティーン化した仕事は多様な担い手によって(外注やボランティアやプロボノ、インターン、障がい者雇用枠での職員など)実施されることが増えてきています。

職員は、新しいニーズをとらえて、そこにアプローチするために新しい活動を企画して、必要性を企画書にまとめ、意思決定者に伝え理解してもらい、組織の仕事として取り組んで、結果を報告して改善することが基本スタンスでないと停滞ムードが組織全体に伝播してしまいます。

お客様意識たぬきは、誰からも言われていませんとか、経験したことがないのでできませんなどキーメッセージを発言しつつ、自分の仕事を縮小させてなかったことにしようとはたらきかけてきます。もちろん大人なので最初はほんの小さなことから言ってきますので、その小さな要求を受け取らないことが大切です。

お客様意識自体が批判する言葉になっているので使わず、それはあたなのお仕事ですよとお伝えして理解してもらうことが大切です。

特にファンドレイジングは皆さんが半歩ずつはみ出してやらないと始まらないものです。自分が割与えられたものだけやる思考を持っている人がたくさんいる組織だとうまくいかないのはこれが原因になっています。

愛嬌たぬき

打ち合わせなどで会った時は愛嬌たっぷりで楽しい時間を過ごせるのですが、実は何もしていないというたぬき寝入りのパータンです。

これは人生経験豊富で様々なことをやり遂げてきた方や、対面コミュニケーションが異常に高い方の場合が多いので、序盤は騙されてしまいます。

日頃は何もしていないか、少ししかしていないが、打ち合わせの時はやっているように見せて、円満に終わらせようとします。

NPOはリソースが限られているので、助成金を複数とってうまくやりくりしないといけません。とよくいいますが、それは具体的にいうと1人の職員に複数の役割を担ってもらい、複数の事業をまわすということです。そこで資金的利益、非資金的利益を出していくには、充当してる部分を少し大きく申告し余剰分を他事業にまわしたり、組織基盤強化にあてることです。

もちろん、合意されている結果を出した上で、その余剰を配分するのであれば文句はいえませんが、だいたいみあった結果は出ていません。

序盤は騙されてしまいますので、気付くのに時間がかかってしまうのが一番恐ろしいことです。なので、序盤から小さな成果物を出してもらうことが大事です。

こうした対人コミュニケーションに長けた方は、相手の要求に的確にこたえた資料を作成するのが苦手なことが多いので、一回のやりとりで求めるものが出てくるとは思わず、2・3回やりとりをして成果物をつくっていくことが重要です。

ここで注意なのは、あまり伴走支援者側でケアすると「ワンチャンやってくれるのでは?」と思われるので、その線引きをしておくことやあまり懇親会や個人的な間柄にならない距離感も大事です。

職人気質たぬき

細かい作業にこだわっていて全体感がない方がとりがちなたぬき寝入りのパターンです。

「なんでそんなことする必要があるのですか?質を高めるのが一番の寄付者を増やすことだと思うのですけど?」

かけてきた労力に比べて寄付が集まっていない団体さんに多いです。外に向かって発信するタイミングなのに、これまでやってきたことの質をあげさえすれば寄付がもらえると信じています。気持ちはわかりますが、何かに挑戦しないとファンドレイジングは成り立ちませんから、それを受け入れるわけにはいきません。

組織全体で何を新しくしないといけないのかをわかった上で、組織のいち構成員であるその方は、何を手放し、何を新しくするのかを考えてもらうはたらきかけをするしかありません。

豹変たぬき

ここまで挙げてきた、お客様意識・愛嬌・職人気質の各タイプについて、それはたぬき寝入り行為として(もちろん違う表現で伝えますが)お伝えしていくと、どこかのタイミングで豹変します。

これまで部外者なのでていよくあしらっておけばいいだろうと思っていた伴走支援者に対して、自分の変化が必要だとわかったとたん、怒る・すねる・泣く・無視する・上司にいいつける・体調不良を訴える・組織内の別の人にハラスメント行為をする、などその方のタイプによって異なります。

NPOはリソースがない団体が多いので、正直たぬき寝入りする余裕はありません。そのため、そういう方がいると一気に雰囲気がよどみ、対象者への支援の活力を削ぐことになります。そうした人には少しづつ変わってもらいたいと思います。

豹変は感情的なことなので、伴走支援者としてはウッときます。1人で耐えるのが厳しいときもあります。でも変化しはじめているここが踏ん張りどころなのです。

プロたぬき

組織の代表や主たる職員が、たぬき寝入りを長年しているプロたぬきの状況とわかったらすぐにその案件から離れてください。歴史ある団体、規模が大きい団体など外見がいい団体にたまにいます。

何か組織外の利権にからめてそのNPOを利用しようとされていたり、マウントを徹底することで多くの人を退職させ自身の有能さを相対的に高めている、事業承継が必要とかいいつつ昭和気質のマネジメントが根強くてモラハラ・パワハラが横行している、などなどグレーなことがはびこっていて、事業や組織をよりよくする善意がそもそも効かない団体です。

プロなので一般の人にはわかりませんが、伴走支援しているとその存在を知ることになります。いち伴走支援者の手には負えませんので、自分を守るためにも、そういうクライアントからは離れるようにしてください。

さいごに

伴走支援のクライアントのたぬき寝入りメンバーを認識し、こまめにケアすることで、その団体の雰囲気がじょじょに変わっていきます。その先に寄付が集まったり、大きな助成金の採択が決まったりといった成果につながります。

伴走支援の目的はクライアントの団体さんに変化してもらい成果につなげてもらうことです。変化することは大事なことですが、人に負担をかけるものですので、そのあおりを伴走支援者が受けることになります。

特に、変化が多い団体であれば不確実性が高いメンバーがいらっしゃいますが、これまでの変化が少ない団体であれば、不確実性に耐えられずキレてしまう人もでてきます。

伴走支援をしていてつらいのは説明した豹変たぬきですが、これは変化のいち過程ですので、うまくいっている証と前向きにとらえてください。

そして、伴走支援者として長く活動するには、プロたぬきを全力で避けてください。


noteのメンバーシップを始めました。ひとりでファンドレイジング担当をしている、いつかはNPOの伴走支援者になろうと思っているが、経験がなくて不安なことが多い方のためのオンラインコミュニティです。

今回の話しでいえば、たぬき寝入りされているメンバーを前にどうしたらいいのだろうか・・・みたいなことも具体的な相談をしながら取り組むことができるようになります。気になる方は以下のnoteを御覧ください。

また、NPOの伴走支援について連絡とりたいよという方は公式LINEやホームページからどうぞ!


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今給黎 辰郎(いまきゅうれい たつお)
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