映画「劇場版センキョナンデス」 タミガシュナンデス
□『劇場版センキョナンデス』(2023年2月より順次公開)
別の映画を観に行った時、ロビーに人が溢れていて、隣のスクリーンに補助席用のパイプイスが運ばれていった。
この活気は本作の舞台挨拶のせいだった。
プチ鹿島氏は新聞14紙を読み比べる時事芸人で弁舌さわやか。
ダースレイダー氏は脳梗塞で左目を失明した東大中退のラッパー。
このふたりが気になる選挙区を見に行くというロードムービー。
なんだか面白そうじゃんと鑑賞に至る。
ふたりのことはほぼ知らなかったけど。
□大画面だから見える本性
香川でうどんをうまいうまいとすすり、「さぁ候補者はいるのかな」と小躍りしながら街にくり出すふたりの珍道中。
だいたい立憲民主党や共産党の候補者は好意的に話をしたり、一緒に写真を撮ったりしてくれる。
保守系政党の候補者は警戒感全開で、「この撮影は何ですか?党の了承をとってください」とつれない。
まあ双方とも事情と思惑はわかるけど。
街頭演説で声はガラガラで、そのことをふたりは「仕上がっている」と表現して遊んでいる。
政治家になる人なんてどっかイカれてるか、カン違いしているからキャラはなかなかおもしろい。
選挙中でテンションも高いし、地元で気が大きくなってるから、おもしろさに拍車がかかっている。
話もうまいし、話のそらし方や無視の仕方もうまい。
ふたりがワキャワキャと政治家に突撃することで、一瞬垣間見える政治家の”本性”。
これ、劇場の大画面だから見逃さない。
□2022年夏の記録
途中、プチ鹿島氏が四国新聞の記者に取材のあり方がおかしいじゃないかと問う場面があった。
芸人の表情から笑顔が消えた。
彼は政治家に対してもそうだが、かなりズバズバしつこく質問をぶつけていく。
芸人と言いながらジャーナリストのような気骨が頼もしい。
2022年に大阪エリアの参院選挙を見に行っているとき、安倍元総理襲撃の一報が入る。
ふたりが沈痛な面持ちになる。
彼らなりに思うところをポツリポツリと語る。
死去の知らせが入る。
言葉を失う。
この映画は奇しくもあの日の生な記録となっている。
ダースレイダー氏の言葉で印象的だったものがある。
おおよそこんな感じ。
「自分は民主主義を疑っている。本当に民(たみ)が主になっているのかというとなっていない。民がもっと政治に意見や文句を言わないと民主主義にはならない。それなのに政府=日本のようになってしまっていて、『文句を言う奴は日本を愛していないのか』というような流れになってしまっている」
日本をデザインするのは民だ。
極言すれば「民=日本」なのだ。
それが違うというのなら民主主義という看板は降ろさないといけなくなる。
いろいろ物議を醸しているが成田悠輔氏が選挙を「粗い制度」だと言っていた。
確かにそうだ。
自民党に投票したからと言ってすべての政策を肯定しているわけではないし、共産党に入れたからといって共産主義にしてほしいわけではない。
選挙は政策単位で民意を伝える機能がないから、民主主義のツールとしてはずいぶんと粗い。
しかしすぐに「アルゴリズム民主主義」になるわけではないから、われらは何としても民意を伝えなければならない。
民主主義は憲法にそう書けば実現するものではないですもんね。
国民のやる気はかなりヒツヨウナンデス。
この企画渡辺満里奈もファンナンデス。
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