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女優、テレビに出てる人 ってだけでは全然ナイナイ!『岸恵子自伝』
ずっとゆっくり読みたかった『岸恵子自伝』をやっと読みました。
この方の書き物はいつ出しても人気だなぁと思います。
ご本人の年齢からして70-90代がコアファンかなぁ、ファン層が読書世代だということなのかなぁ。
…いや、それ以上でしょう!!と思う岸さんの文章の魅力をお伝えしたいと思います。(*^^)
大女優と現代世界史のリアル
私の場合は、学生時代に『30年の物語』というエッセイを読んだのが初めてだと思うのですが、そこからこの方の書くものにハマってしまいました。
映画の黄金時代に大スターという存在だったからこそ、
その日本を出て夫イヴ・シァンピ氏のもとに行き当時のパリから世界を体験したからこそ、
ーだけでもない、この方の才覚でしか書けないことがギッシリ。
読む度、何度読んでも読みきれない、そんな感覚がします。
どの本も、当時の日本映画界のあれこれが書かれている、というよりは、現代世界史の中の私のリアル、という感じでしょうか。
小説も出されていますが、そこは通底していると感じます。
快い立ち姿
少女の頃は、バレリーナか作家になりたいと思っていて、親戚のつてで川端康成に原稿を見てもらう機会もあったという岸さん(そのとき結局原稿は見せず、の心境はぜひ本書にて!)。
巡り合わせで女優になるも、「女優」とか「スター」というレッテルの中に埋没したくはない、という鋭い個、行動性。
その時々の自分の人生と取っ組み合いながらも、世界で起こっているリアルー紛争だとか未開地ーへも飛び込み取材していく姿。
岸さんの人生観、世界観は、人情や義理ということでダラダラと続いてきた時代の停滞を、鮮やかに切り抜く風のようで、快く感じます。
ハマッ子
ここは私的な思い入れなのですが、
岸さんはちょうど私の祖父母世代にあたり、暮らしていた場所も同じ横浜。祖父母もよく横浜大空襲のことなど話していました。
半世紀ほど生まれ遅れた私からしても、山下公園だの外国人墓地だの伊勢佐木町だの、あの一帯が高校までの生活の地でした。大学時代にはSciences-Poというパリの大学へ研修に行ったのですが、岸さんの文章を読んでいると、勝手にノスタルジーを感じるところがあります。
本書に出てくる蛇の薬屋さんも、あそこのことじゃ?と思い当たるとことです(*^^*)。
いやはや、月とスッポン、美女に醜女、というところですが、
ー横浜でちっぽけな暮らしをしていた私からして、世界最前線を颯爽と歩く岸さんの人生はとても眩しいです!
眩しすぎて気後れし…、でもなぜか、祖父母と同世代の岸さんの潔癖なような人間性にどこか懐かしみも感じるように思います。
好きな作家は自伝も小説も
作家の自伝と小説、両方読んでいると、小説のこの場面はあの体験が投射されて…など、楽しいです。
岸さんの小説は特にくっきり反映されているなぁ、と感じます。
たくさんの方がまた読まれますように\(^o^)/
●もっと鼻息荒めに(*^^*)書いた過去記事はこちら
●こちらは共著も出されているご友人について
(いずれもマガジンとして括ってもあります)