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〈映画評論〉ナミビアの砂漠

うーちょっとグロい。

わかりみ深過ぎて、と書くと何を分かっているのか、本当のところ何も分かっていないのではないか、わかるわからんとか二元論じゃなくて、ふけーふけー深淵なのか、ただのあるあるのクソ怠惰なリアリズムなのか。

それか、それの"定点観測"に過ぎないのか。

映画として提示されているのは、
タイトル通りの目論見なのだと思うし、
そこにかんして、ナラティブの文脈には無く、徹底的な俯瞰、三人称視点のドライな目。

ただ在る感情と行為と多層的レイヤーによる現代人のペルソナの羅列。

一つ一つの行動の動機を、現代人なら全て察することができるはずだ。

恋愛心理学、及び広義な心理学なんかをかじっていれば、
ヒロイン、元彼、今彼の心の動き、キャラ設定、動機、すべてプロファイリングするのに易い。

端的に表せば、
元彼:パートナーシップ強いけど、男としては魅力なさ過ぎ、敏感肌用の化粧水みたいすぎ

今彼:ガールハントスキル高いけど、パートナーシップはずれ過ぎ。ヒロインとはIQ格差あるから別れた方がよいのでは?すぎ。

ヒロイン: くさったリバタリアン過ぎ、中途半端に地頭良いが研磨してないから行動が稚拙すぎ、女性性の権化過ぎ、自分は女性を使って堅牢に自己防衛するのに、ピにお門違いな大正論で殴りに行き過ぎ、

音使いは「光が死んだ夏」の擬音描写にも近いし、それは"体験"したからこそ分かる事でもある。くだらない友達の会話よりもノーパンしゃぶしゃぶに耳が傾くのは、主観として正しいし、ブリブリの集音と位相も表現として面白い。

第三者視点なのに、あくまで主観であるという、自分を俯瞰で見ることに慣れ切っている現代人の人間性がはっきりと浮き彫りになっている。

世間体を気にする、見え方を気にするのも、本当は好かれて欲しい、嫌われたくない、けれども取り繕うのも違う、なんていう自己肯定感と自己意識のチグハグなバランスのあらわれであると思う。

そういうの踏まえて、個人的にはやっぱ女性性って面倒くさいな。
ということと、結局男女の強弱のバランスが歪んだせいで起こる不一致だし、愛のための独占欲の私と、女として愛されたい刺激求むる私と、どーでもいいけど一応繋いどこか、傷つけられたら傷つけてやんで、な精神性も、自分を棚上げして、三大欲求の不満を根っこにした喧嘩の火種も、枠にはまって所属しておきたいが、独りにもなりたい、けど絶対的味方を手元にも置いておきたい、怠惰な現状を丸抱えで愛して欲しいし、今が満たされればそれでいい、我が儘な自己愛のハマりどころは、現代には歪になってしまうのかも。

というか三つ子の魂百まで理論で、それが世にとって非であるなら、どうしてそんな精神性が発生したのか?蛙の子は蛙理論適用?

そんなこんなをジャッジされるのは、もう少し社会が衰退するか進化するかによってで、今ではないのかもしれない。

別にフェミでも男根主義でもないけれど、
男が男を発揮出来なくなった、あまりにも潔癖なホワイト社会になり過ぎたが故の話というか、かつては
男社会は男社会のレギュレーション、
女社会は女社会のレギュレーションがあったはずで、
それぞれ平等に慣らそうとしたのが逆に不平等になって問題勃発を助長したのではないか?

なんて社会派ぶってみても何が変わるわけもなく、クリティカルな問題提起なわけもなく。

こうした全てがただ的外れで、
悉く自分圏内の発露で。
世間ズレしているのかもしれない。
と思う反面、これこそがこの映画の見方であり、核心であり、意義である。
と思いたくもある。

そうだそうだと首肯され、
いいねのハートマークを無限に浴びたいのである。

そう、私も結局は、
くさったリバタリアンなのである。

深淵をみつめているのは〜とニーチェで締めてもいいけど、なんか違う。

20〜30代にはわかりみ深すぎる映画だろうけど、それ以外の人にとって、自分毎レベルで共感できるだろうか?
それともこんな時代もありました。なのか。

ジェネレーションによっても評価は分かれるだろう。

製作者のジェネレーションが鑑賞者に近いほど共感度は上がるだろう。
ジェネレーションが違えば、金原ひとみのデクリネゾンなんかにもこの映画と通ずるものをかんじる。

なんにせよ、これだけ語れる映画というのは、良作であり、世に突き刺さった意義のある映画ではある。

正直こんな真面目な長文を書くような映画ではないのかもしれない。

共感る〜とだけ言っとけばいいのかもしれない。

それこそこの文章さえも蛇足。不毛。無駄。

まるでこの映画のように、
不毛なことをこれからも言い続ける。

言いたい事言ってスッキリしたので、
これで終わってみます。
走り書きスマソ。

河合優実は最高。

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