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メインコンテンツ:ショートショート、書評、映画評、思索、詩作 (Instagram、フィルマークスなんかの集積場)

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  • 映画

    映画の感想。フィルマークスの転載が多めです。

  • inox詩集

    詩集です。

  • 書評

    読んだ本の感想を読みやすくネタバレ無しでざっくり書き記しています。

最近の記事

【映画感想】ジョーカー2の本質考察

「アーサー、ジョーカーやめるってよ」 ダークカルトヒーローとして、 熱狂乱巻き起こす教祖的偶像的道化ではなく、 赤スーツとピエロの化粧を置く山口百恵で、 その先に巻き起こる現実。 殺人を犯した重犯罪者という厳然たる事実に直面し、 裁きを受ける、というあまりにアンドラマなシリアスを真っ向から打ち、 ジョーカーがジョーカーを俯瞰し、メタ構造を作る。 一人の男として、一人のジョーカーファンの女を愛し、 ロマンチシズムのシロップ漬けに耽溺し、 悪の華の香りに偽られた自己評価と他

    • 〈映画評論〉ナミビアの砂漠

      うーちょっとグロい。 わかりみ深過ぎて、と書くと何を分かっているのか、本当のところ何も分かっていないのではないか、わかるわからんとか二元論じゃなくて、ふけーふけー深淵なのか、ただのあるあるのクソ怠惰なリアリズムなのか。 それか、それの"定点観測"に過ぎないのか。 映画として提示されているのは、 タイトル通りの目論見なのだと思うし、 そこにかんして、ナラティブの文脈には無く、徹底的な俯瞰、三人称視点のドライな目。 ただ在る感情と行為と多層的レイヤーによる現代人のペルソナ

      • 〈書評〉シュルレアリスム宣言

        「感想」 刊行100周年とどっかのネット記事で見かけて、積読していた本書を手に取る。 ライフワークとしてシュルレアリスムに関して調べていて、いつかは読まなければ、が今に至る。 訳者解説にもあるが、シュルレアリスム宣言自体は、もともと溶ける魚の序文としてあった。 溶ける魚の執筆(編纂)後に、宣言として立ち変わった。 訳者曰く、シュルレアリスムは、「非理性主義あるいは非合理主義ではない。むしろ偏狭な「絶対的合理主義」にうちかとうとする「運動」なのだ。」とある。 既知を用い

        • 〈書評〉成瀬は天下を取りに行く

          Score(0.1~5):3.7 —————— thoughts : 一言で言えば「天才というポジショニングからみた凡人の貴重さ」 M-1出場.西武閉店残り30日毎日テレビ出演.マジック.東大オープンキャンパス.かるた部入部で快挙...etc... 圧倒的主人公感を、その人以外の視点から照らして、ラスト、その人本人の視点で語られる。 そのギャップにシビれる憧れるーが、 そのまた逆にはシビれて憧れてしまう。 詰まる所、人間というものの良し悪しなんてものはプラマイゼロで、長

        【映画感想】ジョーカー2の本質考察

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          〈書評〉若山牧水歌集

          Score(0.1~5):3.4 —————— thoughts : 恋の歌、酒の歌、旅の歌、 息子に旅人とつけるくらいだから、きっと旅は氏にとって思い入れの強い事柄なのだろう。 解説の中で、良い短歌とはなにか? という問いに対し、誰しもの共通項になり得る共感力の高い歌が良い歌、そしてさらに、 そこに深い洞察、示唆、訓示のようなものがあればなお良し、ということが言われていた。 禿同。 個人的にはそこに加えて、31文字の中に、 ・一眼レフで撮った20MBほどのraw規格の写真

          〈書評〉若山牧水歌集

          〈書評〉みどりいせき

          Score(0.1~5):3.9 —————— thoughts : フィクションと言い切って仕舞えば、 ブリってる描写も表現の自由に守られて、 でも主人公は知らずかかずったわけで、なんていう倫理的守り。 ジュブナイル、現代版不良遊び。 世のティーンのリアルか言われたら、 嘘と言いたい。 でも一方で、こんな事だってある。 起こりうる。 タコピーの原罪や、チェンソーマン的時代性の切り取り、冷えた目、生活、学校、外、大人、幼馴染、野球、青春、裏っ側のどんつき、が同居する学校、

          〈書評〉みどりいせき

          【ショートショート】サブスク彼女

          「お前、彼女に毎月1万円渡してるんだって?」 「ああ」と今野は答えた。 「記念日か何かの祝いかい?」 「いや、何という事もないけど。単に毎月1万円渡してるんだよ。だってお前、風俗行ったら金、払うだろ?」 「そりゃそうだ。風俗はそういうサービスへの対価だからな」 「そうだろ?じゃあお前、彼女とはヤってないのか?」 「無論ヤるけど」 「月どれくらいヤるんだ?」 「月10回くらいかなぁ」 「お盛んだな。まぁいい。風俗行って本番まで込んで、安く見積もって1回1万円としよう。月10

          【ショートショート】サブスク彼女

          「児子衣切れ」

          「児子衣切れ」 児子が園に佇む 草臥れた影が 遠い眼差しをしている 後ろ姿では 喜怒哀楽の欠片を掴み取れない 上を見上げている 空には何もないのに 鼠色のオリエンタルな壁に守られて 緑生い茂る園に佇んでいる 何を思うのか 児子は何を 感じているのか 私は何を感じていただろう この時分に 私も佇んでいる 児子を中心に捉えながら 世界で 児子の精神性は神聖な怠惰と 強欲のみで出来ている訳ではなく 浅葱色に萌ゆる空路の無に ただ一心に在るようで その存在は悲しみに暮れる様子も

          「児子衣切れ」

          【詩】チューリップ

          チューリップ 卑屈な絨毯が 灰色で キミはモヤモヤして 座り込む 難解なパズル解くような顔で 頭の中は 気怠くてぬるい 玄関を出ても 灰色で カラーバス遊びも できない 残り香を 頼りに 鉛筆を 皮切りに 通りの角の家の花壇に 咲き誇る花を見つけた 赤白黄色のどれかが ウソの現実に 本当に ウソのように キミが産まれる前から 生きてた人間たちが なんにもしてないわけじゃない わけがない わけじゃない チューリップの花びら の奥の雄蕊の 花粉を運ぶミツバチの 行き先を

          【詩】チューリップ

          【読書感想】三島由紀夫の潮騒

          三島式「ダフニスとクロエ」だと 佐伯彰一が解説していた。 言わば現代版ロミジュリのような、 ど古典を当時風にアレンジしてるきらいがあるらしく、確かに話は王道で、複雑怪奇な展開は微塵もなく、少々肩透かしをくらうくらいすんなりとハッピーエンドで終わる。 それは何処の馬の骨かもしれない小説家が書けば、良く出来た小品に過ぎないが、 三島が書いたとなれば話は違う。 小説家のキャリア序盤のLGBTQよりかGHQのほうが馴染みがある昭和の只中に、 ゲイをカミングアウトした人間が、

          【読書感想】三島由紀夫の潮騒

          【読書感想】殺人買います

          90年代後半、ノストラダムスによれば世紀末も世紀末な時代のミステリーアンソロジー。 タイトルのパワーワードっぷりで、 名コピーライターであるシュガーマンの 「盗品売ります」というコピーを思い出した。 (余談ですがこのコピーは、不良品を買い取って修理して物を、会員制クラブを通じて売るという商売のもの) 高校生の時にブードゥーチャイルドを読み、 その子供騙しにもならないトリックで、危うくふざけんなと本をぶん投げたくなった。 そのせいで歌野晶午嫌いだったんですけど、今回の話でも

          【読書感想】殺人買います

          【読書感想】たけまる文庫 怪の巻

          物語の文章を、一字一句疑ってかかる事は、 反対にその物語を信じて読む事に等しいのではないか? 結局作者の掌の中でいいように転がされる道化だ。 どれだけ先を予測して寸前までよみ切ったとしても、最後の数行で容易く車線変更してしまう。 思うようなラストにならないし、 そもそもミステリに思うようなラストなど望んではいない。 「思惑が外れる方が、 外れれば外れるほど面白いなんて、 おかしな話だなぁ。 当たれば当たるほどいい、占いとは正反対だ」 賢いふりして馬鹿みたいに転がさ

          【読書感想】たけまる文庫 怪の巻

          【読書感想】月世界へ行く / ジュール・ヴェルヌ

          映画・月世界旅行の原作。 1869年刊行。約200年前のSF。 地球から月へとの2部作だと本書の中で知る。 月に向かって撃ち出された砲弾の中で3人の男が外を眺めながらあれこれ喋って飯食ってるだけの話と言ってしまえば身もふたもないが、 そんな箱モノ設定であれだけ興奮させる筆力は凄い。 今ではWikipedia一つで、 月の情報は容易に手に入る。 だからこそ、 月に行くまでの行程を深く考えはしないし、 地球と月との距離を計算したり、 表面や経緯の詳細に躍起になったりし

          【読書感想】月世界へ行く / ジュール・ヴェルヌ

          【詩】愛とは真心なのだと思う。

          愛とは真心なのだと思う。 何の打算もなく差出せる、 心からの行動を与える時、 与えられた時よりも、 気分が良い気がする。 愛を素直に伝えられた時、 愛を素直に受け取った時の、 心の交流は、 何物にも代え難い素晴らしさがある。 心同士が触れ合った時、 そこには言葉も必要だけれど、 言葉以上の豊かさが、 声音や表情、文面などから滲み出る、 色んな角度から増幅された愛が、 一心に向かう魚群の様に押し寄せ、 私の大海原を駆け巡る。 優しさの世界は平和で、平穏だが、 その環境は

          【詩】愛とは真心なのだと思う。

          レッドスニーカー効果

          走り書きで申し訳ない。 個人メモとして書いてたのを載っけてます。 参考になれば幸いです。 一目置かれる人になる 自分の評価を高める靴を選ぶには? 「赤い靴を選ぶ」 高級革靴、高級ブランドの靴では、 自分の評価は上がらない。 なぜ? 「普通の人が赤色の靴を選ばないから」 この効果の本質・イシュー 「大衆の流れと逆のことをすると一目置かれる」 ある研究で、 ・高級ブランド店にスーツで行く ・高級ブランド店にTシャツ・ジーパンで行く の2通りで店員の印象がどう変わ

          レッドスニーカー効果

          取るに足らぬ背景の雑記

            取るに足らぬ背景の雑記    気が付けば何時も同じ場所を順繰り辿っている。それは比喩的であって、時間は間違いなく進んでいるし、着るものも部屋の景色も一様ではない。いわゆる精神性の問題であって表面的なものではない。何かしなければと頭の中でタスクを捻りだしてみるが、行き着く先は数年前からしているテレビゲームに行き着く。カチャカチャと数十分もプレイすれば忽ち興も冷め、試合に負けたのを区切りに電源を落とす。何の生産性もなく、無駄な壁当てを一生やっているようなものである。  

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