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【書評】詩の無限、詩の有限、シュールレアリスムの円環……詩とは超現実であり、イロニーであり、ポエジーである……?西脇順三郎の「詩学」。戦前・戦後詩を貫く、詩の定義を探る旅
詩学 西脇順三郎
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えらい苦戦しました。
哲学書とか学術書によくある、
これがそれであれがどうである。
だからどれがそうやねん!と珍紛漢紛になりながらもページを繰り、
匍匐前進の兵隊のような気持ちで読み終えました。
西脇順三郎版詩学。
もっとこう、テクニック本を想像して本をひらけば、
ボードレールとかマラルメ、ブルトン、ポー.etc...
詩とismの話がほとんどで、後々知ったんですが詩学ってアリストテレスらへんからある詩の学問的なや〜つなんだった〜のね。そりゃこうなるわ。
氏にとって、
詩とはシュールレアリスムで、
シュールレアリスムとは超自然主義と自然、
超現実と現実である。
超現実はグロテスクで、イロニーで、
それこそがポエジーであり、
それこそがシュールレアリスムである。
論は円環して一貫し、
つまるところボードレールが形作った、
ラールプールラール、芸術の為の芸術、
諧謔、ウィット、エスプリの風味が効いたモノが至高な志向の嗜好であり、
詩の定義であるとする。
その芸術至上主義としての詩の在り方、哲学には非常に感銘を受けたし、
シュールレアリスムを腹落ちさせるには充分な論拠。
無限は無限でないものも含めて無限であり、
永遠は有限の中に、有限は無限の中に在る。
・・・言いたいことはわかります。
一体何を言っているのかしら?とお思いでしょう。
こんな事が徹頭徹尾一矢貫徹続いておりまして、
そりゃあ苦戦もしましょうやと同情頂ければ、
どぜうも掬って踊ろうかといった塩梅です。
本書の内容が全て理解できたわけではないけど、
シュールレアリスムの一端は掴めたような気がする。
戦前〜戦後詩史における詩作法、
詩人の在り方なんかがうっすらはっきりしたようで、してないようで。。。
シュールレアリスムが叫ばれた当時、
日本はまだチョンマゲ江戸時代だったことを踏まえると、
えらくギャップを感じてしまう。
まぁ何にせよ、
西脇順三郎作品なり戦後詩なりの理解を深めるために読んでみるのはアリ。
古本屋で見つけたら手に取ってみてください。
内容の割に安価で買えるはずです。
21.4.30.
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