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【映画評】椿の庭


日本人がロストしたリテラシー、

ジャパニズムと明治維新の合の子、

つまりグローバル化のはしりの絶妙な和洋折衷文化。

(個人的な体験の中では、奈良の志賀直哉邸に趣が近い)


が、なんとも嫋やかで、

明快簡潔の中に複雑な滋味を感じ、

所作に慮りを通す。


こんなにも欧米化してしまった現代の僕達には、それは別次元の生き方で、

婚姻も、食事も、庭の手入れも、葬式も、つまり全ての道理が、違ってしまっている。

それは仏教由来の思想形態が根深く、

ジャパニズムとは仏教と共にあると言っても過言ではないのかもしれない。


そして、人があって家があり、家があって人がある。


家は庭と言い換えても言い。


作中の、

「物によって記憶が保存、喚起されるのだとして、もしこの家がなくなってしまったら私は、、、」

と嘆く祖母。


その答えを孫はラストシーンで出した。


椿の庭には、

今日でも赤く咲く花がある。

鮮やかに。艶やかに。



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