クラフトジン:廃棄食材などを活用したエシカル・ジンも登場。ジンの懐の深さと持続可能性。(CASE: 83/100)
▲「クラフトジン」とサステナビリティ
最近、よくジンを飲みます。実はウイスキー発祥の地であるイギリスでは、ジンの市場規模がウイスキーのそれを上回るほど、ジンの人気が高まっています。ジンの人気は世界にも広がっていますが、その大きな要因の一つがクラフトジンの登場です。世界各地で生まれ広がるジンの文化の背景には、ジンの特徴である「自由」が大きく関わっています。
ジンはベースとなるニュートラルスピリッツ(アルコール度数95%以上)に、ジュニパーベリーを基調とするボタニカルを加えて再蒸留することで作られます。実はジンの定義は非常に緩く、基本的にはジュニパーベリーで香り付けした蒸留酒であればよいため、ベースのスピリッツの原料や、他に加えるボタニカルの自由度が非常に高いです。日本で生まれたクラフトジンでは、ボタニカルとして抹茶、昆布、森林資源などがあり、スピリッツの原料として酒粕を使うものもあります。原料の個性を受け入れ、特徴として昇華させるジンの懐の深さが近年のクラフトジンブームにつながっています。
最近では売れずに余ったビールや、廃棄予定のコーヒーの出し殻などを活用したエシカル文脈でのジンも登場しており、これまたその懐の深さ、広がる可能性から循環における便利屋的扱いになっているのも面白いポイントです。
一方で、ジンそのものの持続可能性に視点を移してみても、クラフトジンの出現には意義があります。僕の感覚ではジンと言えばバーで飲むお酒、ウイスキーなどと比べると日本ではあまり馴染みのないお酒のように思います。ジンの持つ「自由」さを活かしつつ、その土地や風土、味覚に合うものを草の根的に作っていくクラフトジンの活動が、日本(や世界)におけるジン文化の定着と発展に寄与しているように思います。
まだまだ暑い日が続きますが、引き続き色々なジンを飲んで、すっきりさっぱり乗り越えていきたいものです。
▲参照資料
▲キュレーション企画について
イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。
▲今回のキュレーション担当者
i.labビジネスデザイナー 鈴木斉
▲i.labについて
i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。
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