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月の公転運動:「月は落ちてこないのに、りんごは落ちてくる」ニュートンは、着想した。(CASE: 91/100)

▲「月の公転運動」とサステナビリティ

「月は落ちてこないのに、りんごは落ちてくる」 − そうした現象を理解するものとして、ニュートンは万有引力の法則を着想したと言われています。このエピソードでは、「りんごは落ちてくる」の部分が注目されることが多いのですが、個人的には「月は落ちてこない」の部分の方が、実はニュートンにとって大きな洞察を得る対象だったのではと想像しています。
ニュートンが見出した万有引力の法則によると、月もりんごも、地球からの引力に晒されています。現象としては、りんごは地球の地表に落ちてきますが、一方の月は地表まで落ちてきません。その違いに対する違和感が、ニュートンの閃きの源と考えられます。

月は、約27.3日の周期で地球の周りを公転している天体で、その公転運動に伴い常に遠心力が月から見て地球とは真逆の方向に生じています。月は、地球からの万有引力と、月における遠心力が釣り合う形で、地球との距離をほぼ一定に保ちながら衛星として公転運動をしています。小さい頃にやったことがあるかもしれませんが、バケツに水を少し入れて腕をグルグル回しても、水が落ちてこない現象がありますが、それと似た状況と言えます。
仮に地球からの引力が強すぎると、月は地球に落ちてくることになり安定的な公転運動とはなりません。逆に、月の公転スピードが速すぎて、外に向かう力としての遠心力が強くなりすぎても、安定したものとはなりません。地球との引力と遠心力が釣り合うことで、月は安定的な公転軌道を描くことができています。

組織と従業員との関係、製品とユーザーとの関係、様々な関係性を持続可能なものとしたい場合に、この月の公転運動は示唆に富んでいると思います。関係性を強固にしたいがために、引力を強めすぎると、その関係性は持続可能ではなくなるかもしれません。従業員やユーザーなど、社会生活の中にはさまざまな関係があり、それらをバランスをとりながら人生を営んでいるからです。
関係の持続可能性を実現する要素として、引力(内に引き寄せる力)を強めることに注力するだけではなく、遠心力(外に向かう力)の存在も前向きに捉え活用して、それらの絶妙なバランス点を探索することが有効ではないでしょうか。

▲参照資料

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イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.lab マネージング・ディレクター 横田幸信

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